ボランティア3

【2016年12月発行:白堊通信】台風被害にも負けない!岩泉・久慈で奮闘する白堊OBを訪ねて<番外編>

●背景:この特集で原稿を書くにあたって

今年度の白堊通信編集委員は平成7年卒のメンバー3名ですが、図らずも全員が、5年前に発災した東日本大震災や、本年(2016年)8月末の台風10号で被害を受けた被災地の復旧・復興に向けて、仕事を通じて関わっていました。

これも縁ではないかと感じた私たちは、白堊通信でできることとして、岩泉町・久慈市在住の白堊OBを訪ね、誌面で紹介することにしました。

ただし誌面には限界もありますので、このようにネット上の場も活用し、内容を拡大して掲載することを編集会議で承諾いただきました。従来とは異なる取り組みに理解を示してくださった学校職員の皆さま、同窓会理事の皆さまには感謝申し上げます。

尚、この記事は編集委員活動とは異なり、担当した白堊通信編集委員・藤野個人の責任で書いています。事実誤認やお問い合わせ等ありましたら、お手数ですが下段にある連絡先までお知らせいただけますと幸いです。


岩泉にはまだ支援を必要とする場所があります

写真(下)は、2016年9月17日、私が非営利団体のSAVE IWATEさんの炊き出しボランティアに参加し、盛岡から岩泉中心部に向かう道の途中で撮影しました。2車線の道路の片側が崩落し、数日前まで通行止めになっていましたが、この時点では片側交互通行ながらも通れるようになっていました。

(2016年9月17日撮影)

(2016年9月17日撮影)

現在は復旧していますが、小本川にかかる個人宅への橋は崩壊したままであったり、壊れた旧道は手つかずであったりと、被害の爪痕が残る部分もまだあります。

最近の報道を見ると、仮設住宅への入居が始まったり、社会福祉協議会が受け付けるボランティアはいったん終了するなど、平時の生活に徐々に復旧している印象もありますが、東京都23区ほどあると言われている広い岩泉町。地域によってはまだ支援を必要とする人もいます。

私が個人的にウォッチしているFacebookページもありますので、もしお力を貸していただける方がいればご支援をお願いします。

【Facebook】岩泉町の人たちを本氣で応援!具体的な支援をしていこう
このFacebookページは個人の浅井さんという方が運営、活動、情報発信しているもので、現在は「薪割りプロジェクト」が進行中です。私もここを見るようになって知ったのですが、薪で暖をとる岩泉町の一部地域では、今年の冬を越す分の薪がまだ不足しています。

いつもなら住民の皆さんが自分たちで薪を準備するそうですが、チェーンソーや斧が流されたり、自宅の片付けや整理などで手が回らず、冬がやってきてしまいました。

浅井さんの投稿によると、木材を提供する方はいらっしゃるのですが、現在は主に以下2点の支援を求めています。お心当たりのある方がいればぜひお願いします。

・2トンダンプ(軽トラックより運搬能力がアップします)
・薪を割る斧の提供、もしくは購入資金

【補足】この呼びかけは浅井さんに頼まれたものではなく、私自身の判断で紹介しているものです。浅井さんとは共通の知人がいて、岩泉町の炊き出しボランティアの現場で偶然お見かけし、声をかけたこともあります。言ってみればその程度ではありますが、Facebookでの情報発信を見ている限りは信用できる方だと思います。ご支援いただける場合は各自の判断でお願いします。


復活の狼煙をあげはじめた岩泉

被災直後は津波と錯覚するほど激しい被害状況だった道の駅いわいずみも11月には営業を再開。「龍泉洞の水」も10月には営業再開にこぎつけています。観光の要となる龍泉洞も来年(平成29年)3月中旬には再開という目途がたちました。

道の駅いわいずみFacebookページでは、動き始めている岩泉の今の情報がご覧になれます。

●東京駅で龍泉洞の水が買えます!
東京駅の丸の内南口改札内にある「ニッコリーナ」というお店には、台風前から龍泉洞の水、じっ茶ばっ茶、龍泉洞缶コーヒーなどの飲料品を取りそろえていました。私は東京駅を使う際は必ず立ち寄り、ここで水を買います。台風直後には棚から消えていた龍泉洞の水が復活していたのを見た時は、思わず駆け寄りました。東京駅を使う場合はぜひニッコリーナをのぞいてみてください。


10月下旬、早野先輩を訪ねて龍泉洞会館へむかう

岩泉と久慈を特集記事で紹介したいという提案の中には、初めから訪ねたい2人のOBが思い浮かんでいました。ひとりは平成4年卒の早野さん。3学年上なので高校時代に接点はありませんでしたが、2011年の東日本大震災後にご縁があって現在に至ります。

早野さんを訪ねたこの日は、東京から250名近いお客様が龍泉洞会館にバス数台で来ていました。東日本大震災後から毎年欠かさず修学旅行で岩泉にやってくる私立中学の一行で、台風被害を知った後も、岩泉行を変更せずに来てくれたとのこと。早野さんはこの日のために、一時休止していた龍泉洞会館2階の食堂をオープン。1階の売り場はいつもより商品が少ないものの、中学生は思い思いにお土産を買っていってくれました。

▲早野商店取締役 早野(旧姓・小笠原)崇さん(平成4年卒)

甘酸っぱさが口いっぱいに広がる「フルーツほおずき」

紙面でも紹介しましたが、早野さんご夫婦が始めたフルーツほおずきの、南国を思わせる香りと甘酸っぱさは男女問わず評判です。

早野さんは立ち上げ当初から「ほおずきんちゃん」の商標登録も済ませ、知名度0のフルーツほおずきを普及させるためブランド育成に取り組み、加工品もジャムやソース、ジュースなど徐々に増やしてきました。

フルーツほおずきは暑い時期に収穫されます。8月下旬、これからという時に台風が直撃したものの、陸前高田市など岩泉町外にも契約栽培先があったため、原料の全流出を免れました。

生果は首都圏の飲食店に提供されているほか、新宿伊勢丹でも催事で販売されています。今年の生果での販売は終了していますが、ジャムやジュースなどの加工品は盛岡市内でも手に入れることができます。

◆盛岡市内で購入できる場所
ナナック1階
カワトク本館
※旬の情報は早野商店公式サイト


久慈市の復旧・復興に従事する同級生・上森君を訪ねました。

台風10号による久慈市の浸水被害は、東日本大震災を上回っていました。恒例であった9月中旬の久慈秋まつりは中止され、特産品のひとつである琥珀も、採掘場が土砂で埋まり、復旧の目途はたっていません。


▲上森義則さん(平成7年卒)

私たちの同級生・上森君の実家や自宅は無事でしたが、当時は市役所の1階が50センチ程度浸水。駐車場に停めていた車も動かせなくなり、近隣から避難してきた方への対応もあり、この日は市役所に泊まり込んだそうです。

彼は現在、久慈市長秘書を務めていますが、このことが幸いし、編集委員のひとりである兼平と出張先の東京で数年ぶりに顔をあわせることになります。これを機に上森君の現在の様子や連絡先を知った私たちは、今回特集で久慈をとりあげることにして、すぐに連絡をとりました。

久慈を訪ねたこの日は10月下旬の日曜日。上森君には、休日で復活したばかりの「あまちゃんハウス」や水族館「もぐらんぴあ」を案内してもらいました。

久慈のシンボル「あまちゃんハウス」

あまちゃんハウスは、NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」で使用されたロケセットや衣装など300点が展示されているファンにとっては聖地のような場所でした。

久慈駅前にありますが、この付近は高いところで床上浸水2.2M。展示品のほとんどが冠水で泥を被りました。9月にはドラマキャストがここを訪れ激励。10月から1階だけを使い、一部の展示品と物販で仮オープンしています。

中では台風で冠水した町の様子も写真で紹介されていますが、車が天井付近まで水に浸かっているなど、その被害状況は訪ねたこの日からは想像もできない内容でした。

元あった場所で再開している水族館「もぐらんぴあ」

「もぐらんぴあ」は東日本大震災後、久慈駅前に移転して一時営業していましたが、クラウドファンディングなどで再建資金を調達し、現在は海沿いの、元あった場所で再開しています。この日はお天気も良く、家族連れで賑わっていました。

建物の向かいには防潮堤に使われるのであろうテトラポットの金型がいくつもあり、少し離れたところには大量のゴミ置き場もありました。ゴミはこの付近のものだけだそうですが、台風被害で出たものです。

駅前付近は一見元に戻ったように見えていましたが、久慈市がまだ復旧・復興の途上にあることを改めて思い知らされた光景でした。


久慈の美味しいもの

深刻な話題が続きましたが、久慈を訪ねた一行の中には、上森君に会うのは卒業以来という者もいたので、現地では思い出話に花を咲かせ、楽しい時間も過ごしてきました。私たちおすすめのお店やお土産をご紹介しますので、久慈に遊びに行く際にはぜひ立ち寄ってみてください。

◆パスタを食べるなら:りすとらんて Passo
【住所】岩手県久慈市長内町第17地割89-11
地元でも評判の"生"パスタのお店です。「おいしい!」を連発しながら完食してきました。お近くにお立ち寄りの際はぜひ。

◆お土産を買うなら:道の駅くじ やませ土風館
【住所】岩手県久慈市中町2丁目5−6
今回寄れなかったラーメン千草の家庭用3食セットや、土地柄か青森産のりんごもあり、購入してきました。久慈秋まつりで使われるはずだった山車が展示されていましたが、高さといい装飾といい、その迫力に圧倒されました。

◆久慈でおすすめのお土産:竹屋製菓の黒豆シリーズ
黒豆ケーキ(ミニサイズ)、黒豆ゼリー、黒豆どら焼き
盛岡市内では川徳キューブ館で常時黒豆ケーキが購入できます。残念ながら黒豆ゼリーは夏場のみの取り扱い、どら焼きはお取り寄せになるそうです。
ということで久慈へ行ったら、レアなどら焼きとゼリーがおすすめです。
そのほかに、すき昆布(Iさん)、ラーメン千草3食セット(Yさん)も購入し、久慈を満喫して戻ってきた私たちでした。


●最後に

白堊通信編集会議で今回の特集内容を提案した際、学校職員の皆さんや同窓会常任理事からもご賛同いただき、満場一致で決まりました。助言やご指導をいただきましたこと、この場を借りて感謝申し上げます。また、早野さんと上森君も復旧途上で多忙を極める中、取材にご協力いただき、ありがとうございました。この紙面には名前が出ていませんが、裏方でいろいろと協力してくれた同級生有志にも改めてお礼を述べたいと思います。ありがとうございます。

両市町とも、命に関わる緊急支援は終了していますが、まだ支援を必要としている方もいます。この原稿が、微力ながらも岩泉・久慈への支援継続のお役に立てればうれしいです。

文・写真/藤野里美(2016年12月発行 白堊通信編集員)

●この原稿に関するお問い合わせ先
連絡先:satomi[at]kmdr.co.jp
※お手数ですが[at]を@マークに変更してお送りください

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