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2021.10.16 FC町田ゼルビア vs ブラウブリッツ秋田 J2第34節感想

ホームで2連敗して臨むアウェイ秋田戦。前回対戦では相手の土俵の上で戦ってしまい敗戦。球際の勝負に強く、どちらかと言えばストーミングと呼ばれるサッカーを苦手とする今のゼルビアにとっては難しい相手だろう。

さらに秋田のホームスタジアム、ソユーススタジアムは芝が長く、ピッチに水を撒かないためボールが走りにくく、最終ラインからパスを繋ごうとするチームにとっては対応が難しいスタジアム。今シーズンのゼルビアはアウェイ相模原戦で実際に水を撒かないピッチに苦戦したため、柔軟な対応がこの試合では求められた。


スタメン

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町田:ドゥドゥが累積警告で欠場。長谷川アーリアジャスールがベンチに下がり、平戸太貴が1.5列目、左SHに太田修介。SBの左右が変わっている。
秋田:前節山形に1-2で敗戦。そこから2トップを入れ替え。町田と同じ4-4-2を採用。


感想

さすがにやばいと思ったのか、理想を捨てて現実的なサッカーというか、相手を見てメンバーを選んだなと思った。それがアーリアを外して平戸をトップ下というかこの試合は普FWに置いたことと、太田を左SHに置いたのを見て思った。

秋田はJ2に再昇格したころのゼルビアに似ており、選手個々の能力の低さを11人が同じ絵を描いて個々がタスクに徹することでJ2を生き抜こうとしている。少しでも個人として頭一つ抜けていたら、夏にFC東京に引き抜かれた鈴木準弥のように上位カテゴリーに引き抜かれてしまう。

そんな秋田は最終ラインから繋ぐことはせず、ロングボールをサイズのある2トップに蹴って、セカンドボールを拾って前へ前へ押し込んでいき、クロスを上げて前線の選手のサイズを活かす。守備の時は前線から積極的にプレスを仕掛けて、それに引っ張られるように後方の選手も前へ出てきてインターセプトやセカンドボールの回収を狙っている。もしくはハイプレスを仕掛けて、相手にロングボールを蹴らせてそのセカンドボールを回収することで主導権を握ろうとするチームだ。もちろんそのためには圧縮もしてくる。既視感がすごいね。

ゼルビアもよく他のチームの監督からは「縦に速いチームだ」と評されるけれど、それは地上で一度スイッチが入れば、少ないタッチでパスが繋がってあっという間にフィニッシュに持ち込むことを狙いとしているからだろう。この「縦への速さ」を可能にしているのがアーリア。だが、このアーリアを外したということは、縦へ速く攻めないのか? 

答えは否だ。

あくまでも中央突破にこだわらないということだ。サイドから縦に速くというのがこの試合の狙いだったと思う。秋田の圧縮されたブロックに対し、最終ラインでサイドを変えて、相手のブロックを横に揺さぶっている間に空いている逆サイドの大外のレーンから前進するというのがこの日の狙いだった。

だから左は個人で突破できちゃう太田を、右はカットインを狙う吉尾海夏と大外突破でクロスを上げられる三鬼海を使ったのだと思う。実はSBのサイドが前節とは違うというのも重要だった。

実際サイドチェンジしてから縦にパスを入れるシーンは何度もあったし、これに対して秋田はなす術無しという感じで、ずっと走らされていた。走行距離的にはゼルビアが上回っていると思うが、受動的な動きの方が疲れは出やすい。なので秋田は55分から60分の間ぐらいにはもう何人か足が止まり始めていた。それが2点目に繋がったPK獲得のシーンによく表れていると思う。

結果的には前後半の立ち上がりではっきりとした対応、割り切って蹴ってしまうなど相手の土俵に上がらず、我慢をし続けて前半のうちに先制できたこと、後半の選手交代で相手のギアが再び上がる前に追加点を取れたことが大きかったと思う。

他にも相手のコーナーキックやロングスローの時の配置も太田とカイナの2人と髙江が攻め残ることで、福井の高精度フィードから一発を狙えるようになっていて、前半5分に惜しいシーンもあった。後半に2点差ついてからは元通りだったけど。


この試合での勝ち方、もちろん結果も大事だが内容がこれからの自信に繋がるのではないかと思う。次節が栃木ということで同じような戦い方をする相手だから余計に。アウェイでの前回対戦も天皇杯でも最悪の内容だったので、秋田栃木相手に連勝できればチームとしての自信だったり戦い方のバリエーションだったりが増していくのではないかと思う。

相手も早く残留争いから抜け出すために必死で来るだろうからそう簡単にはいかないと思うけど、柔軟なメンバー編成で戦って欲しいと思う。


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