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FC町田ゼルビア 2023シーズン総括① 開幕~エリキの負傷離脱

お久しぶりです。

FC町田ゼルビアに関わるすべての皆様、この度はJ2優勝おめでとうございます。

始動からJ2優勝、J1昇格を目標に掲げてきたチームでしたが、なかなか順風満帆ではなかったかと思います。

劇的な勝ち方もあれば、次の試合では負けたり、長年チームを支えてくれた選手との急な別れなどなど、印象的な出来事は数えたらキリがないと思っています。

今回は、シーズン総括として、前後編に分けてお話したいと思います。

なぜ、前後編になったかというと、今年のゼルビアは大きく4回戦い方が変わったように感じていて、その中でも大きくチームの流れが変わった、いや、変わらざるを得なかった出来事が、タイトルにもある8月19日のアウェイ清水戦での、エリキの負傷離脱です。

ということで、前後編に分けてシーズン総括していきたいと思います。


開幕~22節水戸戦「守れるチーム」

このチームは立ち上げ時から、かなり守備に力を入れていて、当初の目的は「勝ち点90、失点30」であった。

そのため、開幕までに黒田監督を中心に、守備の原理原則を叩き込んできた。そして、選手たちはTRMでJ1勢相手に5~6連勝(非公開の試合を含むかどうかでメディアによって数字が分かれている)することで、プロ1年目の監督の指導に対して自信をもった。

開幕の仙台戦こそは、引き分けに終わったが、その後は6連勝。ゼロで抑え続ければ、前線の個の力やセットプレーで点が取れるとチーム全体で自信を持っていた。

4-4-2を基本フォーメーションとしたチームは守備に関しては決まりがあり、その原理原則に沿っていくことで、翁長-池田(藤原)-ミンギュ-奥山のバックラインとGKポープの安定感によって堅い守備を誇った一方で、開幕戦は4-4-2の左SHで先発したエリキが、次の試合ではトップの位置に入っていたり、髙橋大悟の攻撃時のタスク、攻撃面は流動的で試行錯誤感があった。

だが、6節のいわき戦、8節の秋田戦など、ゼルビアと同じように、縦志向で、「走る、飛ぶ、闘う」という基本的なことを突き詰めてくるタイプのチームには苦戦を強いられ、そこがやや不安要素ではあった。

その後は10節の大分戦、15節の東京V戦、17節の清水戦など、ここぞという試合で昇格争いのライバル達から勝ち点3を奪う一方で、11節の甲府戦や18節の徳島戦など、その試合の準備期間から黒田監督が懸念や不安を覚えた時は、負けてしまうという、チームとしても少ないながら波があったことも事実である。

ここで、後半戦に突入するにあたっての1つのターニングポイントがあったと思う。

それが、天皇杯2回戦の金沢戦である。この試合は、控え組中心で挑んだ試合だったが、松井蓮之や安井拓也など、ここまでアピールの場が無かった選手たちがアピールに成功した一方で、カルロス グティエレスなどは立場が難しものとなり、夏にチームを離れた。

金沢戦だけでなく、続く3回戦の横浜FM戦も控え組中心であったが、当時J1の首位にいたチームに4-1で圧勝するなど、久しぶりに勝ち進めた天皇杯も、チーム全体で自信を深めることができた、重要な大会であった。

話をリーグ戦に戻すと、6月に21節の栃木戦、22節の水戸戦と、苦手な北関東で引き分けた。なぜなら、対戦が一巡してきて、相手に徐々に対策され始めたからだ。そして、現状維持でいいのか、それとも変容する必要があるのか、自問自答し、チームは変容する選択を取った。


23節大宮戦~31節清水戦「勝てるチーム」

変容を選んだチームは、守れるチームから勝てるチームに変化していった。

その代表的なのが、23節の大宮戦で、当時最下位の大宮に2点先行されるも、そこから3点取って逆転勝利した試合である。

春先に補強した藤尾翔太がようやくチームにフィットし始め、点が取れる怖いプレイヤーになってきた。これは、それまでは途中出場としてミッチェル デュークと同じポストプレイヤー的なタスクを求められていたが、徐々にペナルティエリア周辺で怖さが出てきたため、夏場の無双状態に繋がった。

しかも、エリキのパートナーの座をデュークから奪っての起用であるため、インパクトは大きかった。特に30節の磐田戦では、PKを2回もらうという驚きの活躍で、この夏場の静岡勢連戦の初戦で勝てたことは、今振り返っても大きかった。

だが、チームが変容を選択したことによって、失点が増え始めた。これはシーズンが進んでいったことで、慣れが生じたからであろうか。  

しかし、23節の大宮戦での逆転勝利、28節徳島戦での勝ち越しでの勝利、29節岡山戦でのポープのPKセーブで相手の流れを断ち切っての3-1での勝利など、勝負強いチームになっていき、首位にふさわしいチームになってきた。

一方で、27節の千葉戦は千葉に圧倒される形で、1-3で敗戦してしまった。言い訳をするわけではないが、これまで右サイドのユニットである、奥山政幸-平河悠のラインを解体し、新加入の鈴木準弥-バスケス バイロンのユニットに変わった節目のタイミングでもあった。

この2選手中心に、驚くほどにチームが動けていなかったのは確かであるが、ここであえて起用した黒田監督筆頭としたコーチ陣の決断も今思うと驚きである。

ここまで流れ良く来ていた夏も、31節の清水戦を境に状況が大きく変わってしまう。

この試合は、前半にホームでの対戦時と同様にプレスがハマる形で、ショートカウンターから2点を先行していたが、37分のエリキの負傷交代を境に、チームが落ち着きを無くし、逆転負け。結果もそうだが、それ以上に圧倒的な個の力でチームを最前線から引っ張ってきたエリキが長期離脱してしまったことで、チームは必然的に変わることが求められた。


さいごに

ということで、エリキの離脱まで振り返ってきました。

夏場は全然勝てなかったかのような言われ方をメディアでされていることが多かったけれど、振り返ってみると9月以降の方が全然勝てなかったよなーとか、髙江麗央ほとんどスタメンじゃんとか、気づくことが多くあったので、こういうタイミングを用意することで、さらに今年のゼルビアへの印象が良いものになっていく気がしています。

ただ、素通りできないのが、大一番で勝ったあとに1回負けていたりするのは気になりますよね。来年なんか、毎試合がそのレベル、それ以上の強度になるだろうに。

ここは選手の入れ替えや、キャンプでどういうチームを作ってくるのか気になるところではありますよね。

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