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映画【キューブリックに魅せられた男】奉仕精神の極限をみれる作品、



キューブリックに囚われた男の話。


【キューブリックに魅せられた男】




映画界の異端児であり、天才。

スタンリー・キューブリック監督


そんな彼と生涯、深い親交を続けた2人の男の存在がいかに大きく、キューブリック作品へどのような影響をもたらしたかをみれるドキュメンタリー作品。


以前、キューブリックが生涯愛を注いだ友人であり付き人だった男を映した【愛された男】をご紹介しましたが、

今回ご紹介する【魅せられた男】
生涯をキューブリックのために捧げた男の話。

STORY:イギリスで将来有望な注目俳優レオン・ヴィターリ。ある時、「2001年宇宙の旅」を観て『いつかキューブリックと仕事をしたい』と強く思う。そんな中、キューブリックの新作「バリー・リンドン」のオーディションに見事合格したレオン。キューブリックと対面してから、より彼の魅力にハマっていき、レオンは生涯をキューブリックに捧げていくことになる…



◯人気俳優から裏方への転身


若手俳優として、
実力があり人気もあったレオン。
しかし彼は、キューブリックとの出会いでいわば"裏方"である製作スタッフへの転身を遂げます。

周りの人間からの「もったいない」
という言葉を切り捨て、
スタンリー・キューブリックという一人の男に24時間365日、全身全霊を捧げた。



私たち人間は、自分が一番大切な生き物です。
それはずるいことでもないし、自分の人生を大切にするということは大事なことだ。

しかし、レオンは自分のキャリアを捨てて
ひとりの男のために人生を費やしていく。

ここまで、自分ではない誰かのために消費できる熱量というのは相当なものだし、奉仕の極。奉仕のプロ。



【2001年宇宙の旅】を観て、
『キューブリックと仕事したい!』と思ったら
【バリー・リンドン】のオーディションに合格して有言実行しちゃうレオンの強運と実力もすごい。ドラマッッッッッッ!!!

作られたお話のようなレオンとキューブリックの話が実話だなんて、信じられないし、ドキュメンタリーの中でもかなりドラマチック。

レオンは、キューブリックに囚われてしまった。



◯「スタンリー・キューブリック」という監督


【愛された男】ではスタンリー・キューブリックというひとりの人間を見ることができた。完璧主義で凝り性な監督の人間らしさがみえる"意外性"を知ることができるドキュメンタリーだ。

しかし、この【魅力的な男】では
スタンリー・キューブリックというひとりの監督を見ることができる。
皆が思うスタンリー・キューブリックという鬼才で異端児な映画監督というイメージ"ありのまま"を知ることができるのだ。


レオンや以前キューブリック組に属していた製作スタッフから語られるキューブリックの監督像は、私たちの想像通り。

完璧主義、気難しさ、ストイックさ、キューブリックのイメージそのものだ。彼らが語るキューブリック像は私たち映画ファンを裏切らない。

「キューブリックはこうでなくっちゃ!!!」と思わせるほど。
全然会ったことないのに。常人であってほしくない。とにかくぶっとんでいてほしい。



キューブリックはレオンに対してほとんどすべての仕事を任せる。
ミスは許されないし、とにかく尋常じゃない仕事量をレオンへ毎日与える。

仕事の面では血も涙もない冷徹仕事人とでも言えるような監督。
それに対してレオンは真摯に、確実に応える。身体を壊しかけていても、寝る時間が一切なくても。
私だったら涙ちょちょぎれである。



キューブリックのシビアな現場で仕事を続けるレオンの健気な姿に胸が打たれると同時に、キューブリックの仕事に対する徹底されたストイックさにも感銘を受ける。

この映画は、キューブリックとレオンの関係を通して仕事への姿勢を映した作品でもあるのだ。



◯人間の二面性


【愛された男】【魅せられた男】
この二つのドキュメンタリーから語られる
スタンリー・キューブリックという監督。

人間らしさと監督らしさ。

これらがそれぞれ見えるものの、本当の彼らしさというものは私たちには解らない。それは彼の身近にいた人間さえも解らないものだと思う。

並外れた才能、異常なこだわり、人々を魅了する力。

彼は選ばれた人間であり、同時に人間ではない。
きっと、神にいちばん近い何か。


二つのドキュメンタリーを通して教えられた
スタンリー・キューブリックを完全理解する不可能さ。

それほど、キューブリックは偉大な人物であり
誰にもつかめない存在だったのだと思う。







キューブリックから
異常なまでの愛情を注がれた男と

キューブリックへ
異常なまでの愛情を注いだ男。


ギブとテイクです。
こんなわかりやすく対比できるドキュメンタリー、今までにあったでしょうか。
この没後20年という節目の年にキューブリックという人間をあらゆる視点から知れる映画が二本同時公開されるファンにとってはたまらない企画。


キューブリックを知っている方も、
キューブリックを知らない方も、
「スタンリー・キューブリックを知れる」映画たちです。

映像もユーモラスで、クスッと笑える場面があったり、過去のキューブリック作品裏側の秘蔵映像が見れたり。貴重や!この機会にぜひ。


【キューブリックに愛された男】
【キューブリックに魅せられた男】
11月1日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開!


キューブリック拝!!!!!!



ではでは




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