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映画【ブラインドスポッティング】盲点から気付かされるものとは、


私たちが見逃している「盲点」の存在。


映画【ブラインドスポッティング】



この作品、
オバマ元大統領が2018年ベストムービーに選出した話題作!

アメリカ・オークランドを舞台に人種の違う二人の親友に焦点をあて、
それぞれから見える世界やアイデンティティの相違を描いた物語。

STORY:オークランドに住む黒人の青年・コリン(ダヴィード・ディグス)はある罪を犯してから時を経て、指導監督期間残り3日をむかえる。親友である白人青年・マイルズ(ラファエル・カザル)と仕事をしながら過ごしていたが、ある日偶然に白人警察が黒人男性を射殺する瞬間を見てから日常の歯車が狂い出し…



指導期間残り3日。
どうにか何も起こさず無事に乗り切りたいコリンの気持ちと
何も恐れず感情のままに楽しいことも厄介なことにも手を出すマイルズ。

同じ境遇で育ったはずの二人は
異なった人種から起きるマインドの違いにぶつかってゆく…



◯この作品、ギャップがすごい。


決して嫌なギャップではない。
ただ、観客を完全に持っていくギャップがあるのですよ。


劇中にはコリンとマイルズがふざけながら心地よくラップを口からこぼしていたり、ジョークを言い合ったり、元カノの悪口を言ったり…

と、思えば
イッキにシリアスでジョーダンピール的な恐怖さえ感じる事態に早変わり。

油断していると隙を突かれるみたいに、
まさに私たちの盲点を刺激するストーリー展開。

「飽きるわけない映画じゃん…」

と終始思わせる。めっちゃずるいぞ!




◯彼らが「オークランド」そのもの


映画の舞台は
アメリカのオークランドという街。

「地元感」が強く根付きながらも、
様々な人種が多様に生活し発展を続けている街でもある。


コリンとマイルズはオークランドで育ちながら、大人になった今でもオークランドを離れずに生活を続けている姿からは、「地元愛」が二人の中には大きく存在していることが伺える。

オークランドではニューヨークに続くラップの文化が発展した街、劇中で二人はまるで会話するようにラップを自然に使いこなしている。

《二人は地元を愛し、地元に縛られている》


しかし、
街では店の商品が健康志向に変わっていたり
街も人も昔の「地元」のままではなくなってきているのだ。

それに二人は異常な嫌悪感を示す。
自分たちが育った当時のオークランドのイメージが変化によって壊され始めているからだ。

それに対し、店でわざわざマズいグリーンスムージーを10ドル(約1000円)を払って飲み続けるコリンと、そんなコリンを小馬鹿にするマイルズ。

ここで、一度捕まり自身のアイデンティティの変化と新しい自分への準備を無意識的にはじめているコリンと
過去(自分の地元のイメージ)にとらわれながら、変化を嫌うマイルズの対比がみえる。


この二人の対比からは、
同じ境遇で育った二人の"二人三脚"がほどけてゆく瞬間を感じる。

そして、そこではじめて「異人種」という二人にとっていちばんの大きな違いに気付くけるのだ。



◯差別の「盲点」


コリンが目撃した
白人警官が黒人を射殺する瞬間。

今も残る白人主義社会の勢力。

見た目だけで偏見を持たれてしまう現実。

「ニガー」という差別用語の真意。



黒人であるコリンが自身を認識した当時から
受けていた社会からの静かで残酷な差別をこの映画は繊細かつ、ワイルドに描いている。


問題児で、喧嘩っ早くて、後先考えずに行動する
マイルズに対してコリンが放った

「お前こそニガーじゃないか!」

というセリフは、ハッとする言葉だった。



タイトルにもなっている
『ブラインドスポッティング(絶対盲点)』を体現したセリフ。

二通りの見方が可能なシチュエーションやイメージを、
一度に片方しか認識できずもう片方が"盲点"となること。


"白人が正義?黒人は悪?"

昔の白人主義な強いイメージがはびこった世界で
世間はそれらの概念を飛ばすもう一つの見方をしなければいけない。

コリンがマイルズに放ったセリフは、
白人主義のなかにある「盲点」を突いているのだ。






黒人の人間にとっての一生つきまとう苦悩、
今でこそ受け入れの視野が広くなった世界ではありますが、まだまだ、日常で起きるちいさくておおきな差別に彼らは立ち向かっていかなければいけないのだなと、感じました。

日本は人種で差別することはあまりない国だから、私が日本人だからかわからないけれど

黒人の人々は、才能あふれるひとばかりで
身体能力や音楽の才能が長けていてもっと重宝されるべき人種なのではないかと思うのです。

白人の人が悪いわけじゃなくてね。
黒人奴隷の歴史は拭っても拭いきれないけれど。
この映画が黒人の人々にとっての痛々しい部分をさらけ出してくれたから、ちょっとずつでも、映画を通して、観る人を通して、しょっぱい何かが変わっていけばいいななんて切実に思います。

映画は、人を、世界を変える力を持っていますからね!絶対!




それにしても、この映画を観て
絶妙なラップの数々に心を奪われてしまった。

なんでああも会話のように自然にライムが出てくるのでしょうか。
ヒップホップ最高だな、あまり詳しくないけれどにわかで知っているから今日からアップルミュージックで耳に垂れ流す。WILYWNKAのSTAYが好きです。





**映画【ブラインドスポッティング】

8.30新宿武蔵野館、渋谷シネクイントほかにて
ロードショー!**


是非、最高の緊迫感とリズムを劇場で。



では






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