仕事を休んで浅草ロック座へ行ってきた。

6年前の2016年5月。

大学4年の就活真っ只中のときに、僕は浅草ロック座(日本有数のストリップ劇場)へ行った。
その当時の僕は就活に疲弊し、精神的にも追い詰められ、限界を迎えていた。
そんな中で救いを求めたのが、推しのセクシー女優であった上原亜衣さんだった。

彼女の引退前、人前に出る最後の機会として、浅草ロック座で20日間限定のストリップ公演に出演すると聞いて、「画面越しではなく、実際に彼女を見ることで活力をもらおう。」そう思い、僕はリクルートスーツを身にまとい、人生で初めて浅草ロック座に訪れた。

その6年後、2022年5月17日。
僕はまた浅草ロック座の前にいる。

今回浅草ロック座に訪れたのは、他でもない、上原亜衣さんが、期間限定でストリップ復帰をするからだ。

「この機会を逃すと一生後悔する」という謎の確信があり、仕事を調整し年休をとって、日帰りで浅草ロック座にきたのだ。

6年前に訪れた時から変わらず、入口を入ると出演者に送られた大量の花が飾られていた。
劇場の中も6年前と変わらず、こぢんまりとした印象のとおりで、踊り子さんが立つ、花道、廻舞台と客席の距離はさほどあるようには感じられなかった。

今回は公演の30分前に受付を済ませたのだが、その時点で空席はわずかで、公演の始まる直前には立ち見席も埋まっていたほどだった。

開演時間になると大音量で音楽が流れ始めた。
曲はモンキーズの「Daydream Believer」。
忌野清志郎の日本語カバー曲が有名である。音楽と共に上原亜衣さんの案内アナウンスが入り、第1景が始まった。

第1景は、踊り子さんたちが全員キャバレーを想起させる、ハイレグのカラフルな衣装で登場した。
派手なダンスパフォーマンスで、ストリップショーの明るさ、華やかさを全面に感じられる演出だった。
踊り子の橋下まこさんはすらっとしたモデル体型で、しなやかな肢体が美しく、目も心も奪われた。衣装の羽を使用した、見せる・見せないの焦らしに魅了された観客も多いだろう。
ロック座の1番最初の演目として申し分ない盛り上げ方だった。

第2景は、第1景とはうって変わり、荘厳な雰囲気で行われる、人形を彷彿とさせるような、踊り子3人による、ダンスパフォーマンスだった。
3人の一糸乱れぬ動きはマリオネットで操られているかのような精緻さが感じられたほどだ。
踊り子の広瀬あいみさんのソロパートでは床面に近い体勢での柔軟なダンスで、目を釘付けにされた。

第3景は、狐面と和装姿で登場した、赤西涼さんのソロの舞台だった。
絶世の美女化けた妖狐・玉藻前を彷彿とさせる演出で、赤西さんの美貌と妖艶さが際立っていた。
ストリップの演出として、全裸にならずに、衣装を少し身に纏った状態で、パフォーマンスをするのだが、和装と裸体の調和された美しさは目を見張るものがあった。

第4景は、宝塚を彷彿させる演出だった。華やかな衣装で背の低い男役の踊り子が背の高い男役の踊り子さんにアプローチをするようなBL要素を含んだダンスに見えた。
男から見てもカッコいい、と思える男役をされていた鈴木千里さんのソロパートでは、黒いドレスにフード姿で登場し、先ほどまでの男役とはうってかわって女性の柔和さとしなやかさ、それであって男性的なスタイルの良さと冷徹さが感じられるクールなダンスだった。

休憩を挟み、大型スクリーンでは第5景の予告映像が流れた。

西部劇を思わせる登場人物紹介が流れたかと思うと、全景の踊り子さんが一同にステージに上がった。
そこにはもちろん上原亜衣さんの姿もあった。
ホルスタイン衣装に身を包んだ上原亜衣さんをカウガールの長澤ゆきのさんが追いかける。
第5景のメインは長澤ゆきのさんなのだが、上原亜衣さんがステージに上がることで、客の注目がそっちに向いてしまわないか、ということを思っていたが、いざソロパートになるとその懸念も吹き飛ばされた。
客を盛り上げ、煽るダンス。
美しい裸体を見せ、エロスを感じさせながらも陽気な雰囲気は崩さないままで、堂々とした踊りっぷりだった。

続く第6景では、オタク少年を思わせるファッションの丸メガネ、ダサT、半ズボンに身を包んで踊り子の武藤つぐみさんが登場した。
そんなオタク少年を揶揄うように登場したのが妖精風の衣装に身を包んだ上原亜衣さんだった。
少年と妖精が邂逅したひとときの世界観を切り取った演出は見ていて、微笑ましさを感じるほどだった。
ソロパートになるとグリーンのドレスに身を包んだ武藤つぐみさん。
廻り舞台に立ち、天井から降りてくるエアリアルシルクに手を伸ばす。
シルクを伝い、天に登る姿に先ほどみた少年らしさはなく、むしろ上原亜衣さんが演じていた妖精のように感じられた。
エアリアルのアクロバットさを全面に押し出したパフォーマンスで、繰り出されるポージングには蠱惑的な美しさがあった。

そして最後の第7景。
待ちに待った、上原亜衣さんの舞台だ。
6年前は天使を彷彿とさせる白い衣装に身を包んだ上原亜衣さんが登場したが、今回は全身黒色の魔女を思わせる衣装で登場した。
上原亜衣さんは真ん中の玉座に座り、周りをダンサーが派手なパフォーマンスで盛り立てる。
衣装替えでは白のドレスに着替え、魔女からお姫様へと一変した。
廻り舞台に立ち、次々とポージングを決める上原亜衣さん。
6年前に経験した感動が、再度蘇ってきた。
観客一人一人を見つめる視線は、艶やかで虜にさせられた。

仕事をサボって東京まできてよかった。

心からそう思った。

最後は今まで出演した踊り子が総出で、ダンスパフォーマンスが行われた。
再度赤色のドレスで登場した上原亜衣さん。
流れる音楽はアニメ「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダーズ」のEDテーマでもあった、「Walk Like An Egyptian」だった。
別れには相応しいテーマだと思う。

今回のテーマはDaydream。
つまりは白昼夢。

浅草ロック座の踊り子がそれぞれの舞台で魅せた演目はまさに夢のようなものばかりだった。
エロいというよりも、感動が1番に押し寄せてきた。
もうこの舞台を見ることはできないが、また浅草ロック座にストリップショーを見に行こう。
そう思った。

#浅草ロック座 #体験レポ #上原亜衣

サポートしていただけると私のやる気につながります。