パリ・ウクレレフェスティバル2014レポート

Paris Ukulele Festival Report
Sat. 17 May 2014

【はじめに】

スイスでウクレレを1年ちょっと前にはじめた僕は、日本やハワイでのウクレレ文化にほとんど触れたことがない。
でも、さほど遠くない将来、それらにどっぷりと浸かって、ばばんばばんばんばんっと鼻歌でも歌うような日が来るのだろうと思っている。

とはいえ、折角欧州の地でウクレレを手にしたのだから、通常、日本にいては難しいウクレレ体験を求めるべきなんじゃないのか?日本に帰国した後、再びウクレレ背負って欧州を闊歩するようなことはあるまい。結構前からそんな風に思っていた。

冬も終わりかけ、シーズンを前にして思い立ったある日の午後、僕は欧州のウクレレフェスの情報をiPadに叩き出した。

候補国は3つ。欧州ウクレレ業界のキャピタルといっていいイギリスの各地。音楽の街プラハを抱えるチェコ。そして何かと縁の深いお隣の国フランスの都、パリだ。

面白いことに、たまたま偶然、僕はこの3国全てにツテがあった。
イギリスは以前3年半住んでいたところであるし、友達もいる。
プラハにもパリにも3、4親等程度の近い親戚が住んでいる。他の国に一切親戚はいないので、まさにピンポイントだ。
行こうと思えばどれにでも行ける。

もちろんツテがなくたっていけるわけだけれども、何かしらカコつけて、イベントを抱き合わせる感じで行けるのだ。

その中で僕はパリを選択した。
アクセスの良さとフェスの時期、そしてちょっとした個人的事情からだ。例えばヨメが好物の鰻重を食いたいとかいうどうでもいいような、ところが案外切実でむしろせつないような理由も含まれる。※パリには鰻屋がある。

僕はスイスにいながら毎日フランス人に包囲された中で仕事をしているのだけれども、フランス人とハワイ文化という因果関係に全くピンとこない。
そもそも「H」が発音できない人々だ。Hawaiiは「アワイ」になるのだ。でも、なんかどうなってるの?と興味がないこともない。

日本にいたらきっともっとピンと来ないに違いない。
一般的な日本人が抱くフランスのイメージは、おそらく半分はとても当たっていて、もう半分は恐ろしく間違っていると思う。
国土面積の広いフランスは地域によって文化や気質はかなり違うわけだけれども。

ま、それはいいとして、でも、ちょっとどうなってるか見てみたいという軽い好奇心はあるんじゃないだろうか。
だからといってそのために日本からフランスに行くというのも、吉野家で「カレギュウください。」と注文する以上の大冒険だ。

なれば、ちょっとの投資と他の用事を混入できる僕がちょっと行って見てくるよ、というのが今回の主旨なのだ。

自分でもいったい誰に向けてこのレポートを提出しているのか全くわからないけれども、見てくれた人の好奇心を少しでも満たすことができれば本望だ。

※ 本稿はあくまでもただの一般人たる私の主観に基づいた内容であることをご了承ください。


【基本情報】

本編に入って行くにあたり、僕のわかり得る範囲でイベントの基本的な情報を紹介したいと思う。

まず、このパリウクレレフェスティバルは今年で4回目である。おそらく2011年から開催されているのだと思う。前年もこの時期に開催されている。

会場は日本で一般的なアウトドアスタイルではなく、「La Belle Villoise」という施設を借り切ってのインドア開催。メインで使用するBAR付きのホールと2つの有料コンサートに使うロフトスペースを備えている。こじんまりとしたテラスはあるがイベントには直接使われない。

会場にBARがあるのでアルコールなどの飲み物の販売はあるが、フードの販売は一切なかった。但し少し歩けば食事するところはそれなりにある。

ロケーションは、パリの中心よりやや東側にあるMénilmontant駅からが一番近くて徒歩12分。わかりにくくもなく、わかりやすくもない場所にあった。行きは上り坂で運動不足ならそれなりにキツい。ちなみに昨年も同じ場所だったようだ。

会場は午後1時。最終イベントのコンサートが午後11時までなのでそれでイベント終了になる。

一軒飲み屋やカフェを借り切ってというローカルさではないが、会場はそれほど大きくなく、同時進行のイベントはほぼなかったので、あちらをたてるとこちらがたたないような葛藤に襲われることはなかった。

メインホールの入場は無料。オープンマイクを除くコンサートの参加には都度料金がかかる。詳細は次の項にて。

直接情報を拾うなら下記ページが詳しい。(但しフランス語)
https://www.facebook.com/pages/Paris-Festival-Ukulele/265733093502912?sk=timeline

今年のプログラムの詳細は公式ウェブサイトにまとまっている。(当然フランス語)
http://ukuleleboudoir.com/festival/


【プログラム】

本編進行のガイドとして、フェスで何が行われていたかを先にザッと解説することにした。また、見ることができなかったイベントはここに関連情報を載せて補足する感じで誤魔化したい。

○ スタンド (13:00-19:00)

フェスのスポンサーによる展示販売ブース。ウクレレメーカー2社。ウクレレショップ3社。ルシアーの展示が一つと、何故かヴィンテージスケートボードが1社。そして、フェスのオフィシャルグッズや出演者のCD販売など。後述。

○ エクスポジション (終日)

写真家Michel Sabah氏による大きな写真の展示。後述。

興味がある方はこちら。(フランス語。写真なので問題なさそう。)
http://www.michelsabah.com

○ ウクレレ取引仲介スペース (13:00-19:00)

文字通りウクレレの個人売買を仲介するためのスペース。売りたいウクレレを置いておけば、興味のある人からダイレクトに連絡が来る仕組みの模様。実際に利用していないので詳細はわからない。ちなみに仲介手数料などはかからないらしい。

○ ウクレレワークショップ (14:00-15:00)

大人ワークショップと親子ワークショップの2つに分かれて開催。どちらも無料。
主催はUkulélé Club de Champagneという団体。「ウクレレとシャンパン?」なんて反応したら、ただの音楽好きのノンベエだ。実際はウクレレの普及や技術の向上などを目的とした団体のようだ。もしかしたらフェスの主催者と関係あるのかもしれない、と言うかあると思う。
サイトリンクを見る限り、フランスには他にもウクレレクラブが結構ある模様。

興味がある方はこちら。(例によってフランス語)
http://ukulelechampagne.wordpress.com/about/

○ マスタークラス (14:00-15:00)

イギリス人の演奏家Ken Middleton氏による演奏と指導…と予想。参加したかったものの到着時刻的に参加できるか微妙だったために申し込めず詳細不明。こちらは有料で10ユーロ。

Ken Middleton氏はフェスの紹介ページ曰く、みんなが知っている著名なウクレレ演奏家、のようだ。

Youtubeのチャンネル登録者は7000人を超えており、人気のほどがうかがえる。ダニエル・ホー氏との共演もあるようなので、知らなかった僕は単純に無知なのだろう。

彼の演奏動画を見ていると、ハワイや日本とは違ったサウンドだ。イギリスにはイギリスの音楽文化をベースにした固有のウクレレのサウンドが根付いていると思える。国内のウクレレフェスの開催数などを見てもわかる通り、ウクレレの浸透度は他のヨーロッパの国とは比べ物にならないと思う。

それには複数の要因があるだろうが、やはりハワイとイギリスの英語という共通項が大きいような気がしている。
何はともあれ、やはり演奏を間近で見てみたかった。

また、氏のチャンネルには通常の演奏動画の他に弾き方の解説動画も多いので「先生的な立ち位置もありそう」と思っていたら、元々はまさに高校の音楽の先生だったらしい。
今は演奏家以外にも、アメリカはカリフォルニアのウクレレブランドOHANAのマーケティングマネージャーとしての顔もある。アメリカの楽器見本市NAMMショーのブースで演奏している動画もある。もちろん今回のフェスのOHANAブースも仕切っていた。

面白いところでは、ウクレレのインプレッションもしている。おそらくOHANAのビジネスに絡む前のことなのではないかと思うが、5年前にはイギリスのショップでKIWAYAさんのマホガニーのウクレレを自腹で購入して評価している。動画も残っている。

近年、自身でフロロカーボン弦ブランドを立ち上げたりして、60歳を過ぎて尚エネルギッシュなお爺ちゃんだ。

Ken Middleton氏の公式サイト(かなりわかりやすい英語。30曲以上の無料TAB譜もあります。)
http://www.kenmiddleton.co.uk/Pages/default.aspx

OHANAウクレレのサイト(英語)
http://www.ohana-music.com

○ コンサート ー 15:30-16:30

ベルギー人の演奏家Ukulelezaza氏によるコンサート。有料で10ユーロ。こちらもチケットがなく観覧せず。

情報があまりないのだが、ソプラノサイズかそれ以下のウクレレを好む傾向にある模様。テクニックに偏重せず、優しい演奏が多い。

おっと顔が写っていない。ちなみにこのウクレレはイタリアはミラノのウクレレルシアーのものでHistoria Ukuleleというブランドらしい。

この動画のセンターにいる方ですね。コンサートでベビーサイズのウクレレも使っちゃうくらい小さいモノ好き!?但し本人はかなり大きいのでサイズのギャップ感が著しい。

紳士で温和な雰囲気を醸し出しているものの、両腕にタトゥーがガッツリ入っていて、人柄を想像するに着地点がちょっと難しい。でも、ウクレレへの愛も感じるし、良い人そうだ。(おそろしく曖昧な情報で申し訳ない。)
ちなみに本名はRemco Houtman-Janssen氏。確かに呼びにくい。ウクレレザザにもしたくなる。

ベルギーでウクレレフェスを主催していたこともあるようだが、2011年以降の情報がない。おそらく未開催。

Historia Ukuleleのサイト
http://historiaukulele.wix.com/historia

○ オープンマイク ー 16:00-18:00

当日申し込みによる一般ウクレレ愛好家の演奏。後述。

○ くじ引き ー 18:00-18:30

ウクレレが当たるくじ引き大会。目の色を変えて楽しむためには、オフィシャルグッズショップにてくじの購入が必要。後述。

○ コンサート ー 19:00-23:00

4組のウクレレアーティストによる、本フェスの目玉イベント。有料で17ユーロ。

Adrien Janiak 
Royal Boudoir Orchestra
Jane for Tea
The Big Ukulele Syndicate

後述。

以上。当日の模様は次項にてレポート。


【本編】

「午後1時スタートだったら前日入りしなくてもいいよね?」

ヨメのこの一言からパリの宿泊費を一泊ケチった僕らは、パリ・ウクレレフェスティバル当日の早朝、スイスの標高1,000mにある街で目を覚ました。何のことはない、ただの自宅だ。

本来なら、パリに住む親戚が借りているアパルトマンで、お財布へのプレッシャーなく幾晩でも泊まれるはずだった。ところが、不幸にも今回はタイミングが悪かった。そのため、土曜なのに朝6時過ぎにベッドから這い出なくてはならない羽目になった。

5月は日本のGWに負けないくらいに休みが多く、勤労の感覚の薄い月なのだけれども、これまでことごとく休日は雨。恨み節を吐き出したのも一度や二度ではない。
実はその週も金曜日までは天気もあまり良くなかった。でも、土曜日は晴れた。これ以上ないくらい気持ちよく。そしてスイスからパリに至るまでひたすらピーカンの素晴らしい天気に恵まれたのだった。

それはさておき、寝ぼけまなこで用意をたんたんと済ませた我々は、あまり時間に余裕がなかったので勢いよく家を飛び出した。
日本のフェスなら自分のウクレレを持っていくのがセオリーなのだと思うけれども、今回必要だとはどうしても思えなくて、ウクレレを持っていくかどうかギリギリまで迷った。

だが、結局持ち出した。もしフェスで使わなくても、パリのどこかで弾けばいいのだ。それもまた「いとをかし」だ。
それに僕はウクレレ中毒なので、ウクレレを持って行かなかったら会場で買ってしまうかもしれないからだ。

そのまま電車に乗り、2度ほど乗り継いで順調にパリのリヨン駅に到着した。所要時間約5時間。

前置きでは「ちょっと行ってくる。」と書いてみたが、「(東京から)ちょっと広島までウクレレフェスに行ってくる!」そんなノリである。

僕はこのレポートを斜に構えたような書き方をしているが、どうしてなかなか。結局のところ一皮剥けば、ただのやる気満々なウクレレ好きの男に過ぎないのだ。

ささっと安いホテルに荷物を預け、地下鉄で会場の駅へ向かう。

地下から地上に上ると、まるで花火大会の会場のような人群だ。
彼らの進む方向に流されていって会場に無事到着・・・するわけがない。

駅からフェスに向かうらしき人は誰もおらず、進むべき方向をきっちり90°間違えて、激しく遠回りした挙句に会場に着いた。大体午後2時過ぎになっていた。

パリ・ウクレレフェスティバル2014の会場 「La Bellevilloise」

ちょっと文化会館っぽい雰囲気。

僕らは日常でフランス語を使っているものの、堪能というわけではないから、いつだってエントランスは少し緊張する。無料ではあるけれども。

・・・誰もいなかった。案内のお姉さまやおばさまなど、誰かしら常駐していたりするものだが、この先もほぼそんなことはなく、主催者グループの手作り感のあるイベントであることを伺わせた。そういう文化ってだけなのかもしれないが。

ただ目の前には、有料でも欲しいと思っていたポスターが積んであったので、プログラムと共にいただくことにした。
気づいたら早い段階でなくなっていたので、早めに到着して正解だったと思う。ただ、汚したくないポスターを持って行動するのはかなり面倒ではあった。

そして会場内へ。まずは、会場の中をさらっと探検してみる。

まだ、来場者はそれほど多くない時間だ。
大きな写真のパネルの懸けられた壁際に、思っていたよりはこじんまりとしたウクレレの展示販売ブースが連なっている。

奥の階段を登ると、それなりのサイズのスペースがあり、そこでもなにやらブースが出ている。

ちょっと見えにくいので、もう少し奥へ。

右側にちらりと見えるのがステージ。テーブルと椅子。そして階段横奥にあるのがBARだ。

ステージを正面にする側へ回ってみた。
これがメインステージである。オープンマイク、くじ引き、夜の部のコンサートはここで行われた。

イベント中。プロとおぼしきカメラマンが常駐していた。激写されているのは、このあと昼過ぎのコンサートに出演するUkulelezaza氏。ただし、会場はここではなく、エントランスからメイン会場に入らずに横の階段を登ったロフトと呼ばれるスペースだ。行っていないので写真はない。

また、この写真右奥の螺旋階段を上ったところに小さなスペースがあり、ウクレレワークショップの会場になっていた。

会場最奥からエントランス方向を臨む。

壁にかけられているのが、エクスポジションに位置づけられた写真家Michel Sabah氏の写真パネル。
ご覧のとおり結構大きめ。被写体がみんなウクレレ的なものを持っている。写真家の写真を写真であまり鮮明に見せるのもよろしくないと思うので、引きでのご紹介に留めるが、写真としては結構悪くなく、被写体は生き生きしていての動きや表情がとても良い。

なぜそんなことを強く思うのかと言うと、この被写体の人たちがほぼ全員この会場にいて、本人と比較できたからだ。ついでにほぼ全員、オープンマイクに出演していた。

つまり、コアな主催者の周りに一回りのウクレレ愛好者の輪があって、それによりイベントの骨格ができているということのようだ。日本の場合もそうなのかもしれないが、やはりパリのウクレレ人口はまだそれなりにボリュームが限られているのではないかと思う。

ただフェスを通して、主催者は自分が楽しむとともにフランス人によるフランスのウクレレ文化を盛り上げたいという心意気を感じた。

では、ここでクルッと向きを変える。

ごった返している階段の上はフェスのオフィシャルショップ。のちほどお伝えする。
あとでお世話になるBARの横に、テラスへの出入り口がある。いい天気なので外に出てみることにした。

気持ちの良い午後の日差しと、どこぞのヨメ。中華のテイクアウェイを食す女性たち。夜のコンサートに出演する演奏家、そしてオープンマイク出演の練習に余念のないおじさん。KoAlohaのウクレレを持っている。

そういえば、当日KoAlohaのウクレレを持っていたのはこのおじさんだけっだったように思う。僕のチェックした範囲では。

ハワイ製のウクレレは人気がないというより個体数が少ないのと、市場の一般的なニーズより少しお高いのではないかと思う。欧州で比較的健闘しているのはKanile'aかな、と思っていたけれども、今回はあまり見なかった。

すると何やらテラスの下の方からも、ウクレレの音が聴こえてきた。

吸い寄せられるように行ってみると、何やら大人数でリハーサルが行われていた。
事前に出演者のYouTube動画を見ていた僕にはすぐにわかった。彼らは夜のコンサートに出演する"The Big Ukulele Syndicate"の面々だ。

この時点で大体午後2時半。後にわかったことだが、彼らの出番は午後10時15分からだった。えらく長いインターバルだ。

では、屋内に戻って、ウクレレの展示販売ブースを見てみる。

エントランスすぐ横に展示されていたのが、ルシアーDominique Chevalier氏によるウクレレ。
ドミニクは女性の名前なので、フランス語風に言うとルシエールとでも呼べばいいだろうか。
検索をかけてみるも、ウクレレの動画や情報は結構な量ヒットするけれども、ご本人のサイトは見つからない。

マカフェリタイプのD型サウンドホールを見るとおフランスな感じがする。でも、開発者のマカフェリはイタリア人。フランス人のセルマーと仲が悪くなって出て行った。なんて細かい話は置いておいて、マカフェリならぬ、ウカフェリだそうだ。
僕は初めて聞いたネーミングだけれども、きっと誰かが既に命名していそうな気がする。

D型サウンドホールははじめはなんだかすっごく違和感があるのだけども、慣れてくると妙に可愛く見えてくる。カッタウェイの具合も可愛い、そしてなんとなく、マカフェリタイプのウクレレを作っている人は女性が多いような気がするのは気のせいだろうか。

次はどこの会社のブースだったか正確に思い出せないのだけれど、メーカーではなくショップのブースであることは間違いない。これを見てパリのウクレレショップに行こうと思う人はおそらくいないと思うので堪忍して欲しい。
新品も中古も扱っており、青いサンバーストのグレッチのキャンプウクレレも復刻版ではなく古いものだった。
今回のイベントでは中央に置いてあるFLUKEのウクレレやリゾネーターウクレレを使っている人が思いのほか多かった。

ちなみに愛らしいバンジョーたちの横にあったのはキワヤさんのウクレレ。確かこのブースには2本。
1年ちょっとくらい前に僕がスイスでウクレレを始めようと思ったとき、近場でキワヤさんのウクレレを見つけることができず断念したのだが、スイスの山奥でなく華の都パリにならある、そういうことのようだ。

そしてコレが、ヨネスケ氏別注の突撃隣の晩ごはんウクレレではなく、MOTUというブランドのウクレレだ。
ブランド名からしてヨネスケ風のおじさんを連想させてしまう・・・そう、これは僕が日本人だからイケナイのだ。ついでに居酒屋にも飢えているから、なお良くない。

日本には入ってきていなさそうなこのウクレレ。クォリティからちょっと手作り感が強いけれども、実はこのしゃもじのように薄いウクレレはソリッドボディではない。薄いけれども、ボディは中空になっており、写真には写っていないがサウンドホールがででんと裏にある。
いや、サウンドホールは表でも良かったんじゃないの?だとか、カッタウェイになっていながらフレットがそこまでないんですけど?だとか、そういうツッコミは不要です。アイデア勝負ですから。と開発者のおじさんは言うはずだ。

面白いのでジャンジャカ弾いて、隣で弾いていた見知らぬおばさんと微笑みあった。音は意外と出る。そしてウクレレを愛する人の表情はソフトである。

プログラムの項でご紹介したKen Middleton氏(というか夫妻)率いるOHANAウクレレのブース。

いろいろ弾いてみたのだけれど、正直に言って会場がおしゃべりでざわざわし過ぎていて、よく聴こえない。ただなんとなく思ったのは、僕はマホガニーの音が一番好きなんじゃないかということだ。(明らかに余計な情報だ。)
氏によるフロロカーボン弦ブランドの弦も置いてあり、お客にフロロ弦について熱く語る氏も目撃した。
どうせだったら1セット買ってこれば良かった、と、これを書いている今気づいた。失敗。

そしてLanikaiやLunaなど割と廉価なウクレレを中心に展示しているショップのブース。さきほどのショップもそうだったが、バンジョーウクレレも結構人気がありそうな気がする。ところで、なんとなくちょっと雰囲気の違うウクレレが一つあるのにお気づきにならないだろうか?消化器の前、一番端に置いてあるのがキワヤさんのウクレレなのだ。
なんとなく、品がある。ちなみに僕はキワヤさんの関係者でもなんでもない。ただ、海外生活で素敵な日本製品を見ると、元気が出る。

ウクレレの展示販売のブースは以上である。それでは、階段を上がって、オフィシャルショップに行ってみる。

ちいさなショップだが、この横にウクレレ売買仲介のスペースも備えている。またこのすぐ横に少々スペースがあり、ウクレレワークショップの会場の一つになっていた。

オフィシャルサイトをちょっと覗いた方はわかるかもしれないが、こういうイベントではお決まりのオフィシャルTシャツなるものがある。先ほどお見せしたステージに掲げられたイベントのロゴが胸にプリントされたTシャツだ。

オフィシャルサイトからリンクされた販売サイトでカラーやサイズなどを選択して注文することが可能だった。
しかしながら、個人的にはやはりものを見て、その時の気分や勢いで当日買いたいもの。
ところがなんと売っていなかった。つまり受注生産のみ。

数点でも現地販売があったら良かったのに。もしかしたら僕が到着するより前に、つまりオープン後1時間で売り切れたのかもしれないけれども。

販売されていたものは、コンサートの出演者のCDや教則本、スコア、缶バッジなど。とりあえず、Tシャツがないのでオフィシャル缶バッジは買おうと全種類一つずつ買ってみた。なかなか可愛らしくてよろしい。

それから夕方にあるくじ引き大会のくじを買おうかと、係りのお姉さんにシステムを聞いてみた。
ギャンブラーの言い訳のようだが、やっぱりドキドキするためには相応の投資は必要だと思うのだ。

「くじ引きに参加したかったらくじを買ってね。くじは1口、3口、5口で買えるの。18時からこのすぐ下の会場で抽選があるから。"すっごい可愛い女の子たち"がくじを引いてくれるから楽しみにしていてね。」

ヨメ付属で質問している僕に、何故そこを力説する???と思ったけれども、かわいくて何も困ることはないのでよしとした。くじは結局3口買ってみた。値段は忘れてしまったが、5口で10ユーロが最高額だったと思う。

そして缶バッジはこんな感じである。大きいのが5ユーロ。小さいのが2ユーロ。正直ちょっと、いや、結構高い。
薄っぺらくて大きい2枚はステッカーで、本来有料だが、くじを買ったときにオマケでくれた。
ウクレレケースに貼りたいのだけれど、エンボスのついた革or合皮素材のケースではすぐ剥がれてしまいそうなので、将来に向けて保存してある。

そんなわけで、会場の施設はこんな感じである。ぷらっと回ると、あっという間に終わってしまう。それ故、イベントがとても大事なのだ。特に遠くから来た僕には。

とりあえず、会場を一通り楽しんだ我々は、荒ぶる胃袋をなだめるため、ひとまず近所のレストランに腹ごしらえに向かった。

徒歩1分ほどのところにあるパブというかレストランというかお店に入って自家製ハンバーガーを白ビールであおる。
空腹が満たされると朝早かったこともあり、脳の活動が停止、眠くなってきた。
そんな身体をどうにか引きずりふわふわした感じで会場に戻ってきたのは、オープンマイク30分前。

すると、明らかにフラの衣装っぽい服装をした女性が数人いた。
これはひょっとしてフランスでフラをみるチャンスだぞ、と思っていたら、フライベントのフライヤーを巻いて去っていった。なんやフラっと来ただけかいな!と意味もなく息巻いてみた。

もしかしたら実際にオープンマイクに出演しようとしていたのかもしれない。ただ、このときオープンマイクの受付はすでに定員マックスに達していたようだった。

さて、特にやることもないのに、早めに会場に戻ってきたのにはわけがある。

まず、この会場には一見して椅子が明らかに足りないのだ。
夜中まで居座るつもりの我々には、この時点から立ち見はかなりしんどい。モチベーションみなぎる僕ならばなんとかなるだろうが、ヨメはどちらかというとお付き合い75%なのであるから余計にだ。

それともう一つ。既に行く前からこのしょうもないレポートを書こうと思っていた僕は、オープンマイクこそがパリのウクレレ文化の雰囲気を伝えるもっとも重要な情報源だと思ったからだ。

簡単に言うと、このレポートのメインディッシュはコレですよ、ということなのである。裏を返せば、他に効果的にお伝えする方法がないですよ、ということなのだが。
そのため是が非でもナイスポジションをゲットしたかったのだ。

そんなわけで、まずは黄色く発泡するアルコール入りエナジードリンクを用意!

見晴らしの良い座席をキープ!

オープンマイク直前のお座席は空席なし。

通りすがった男性に「良かったらウクレレクラブに入らないかい?」という突然のお誘いとフライヤーを頂きつつ、ビールを飲んでまったりそのときを待つ。

ウクレレとは程遠い、年齢ともちょっと遠い、B.BOY系の私服を着た主催者の一人であるおじさんが、オープンマイク開始の音頭をとって開幕した。ちなみに彼は後述のRoyal Boudoir Orchestraの一員である。

日本のオープンマイクの雰囲気がどんなものなのか、僕は知らない。もちろん、各々のオープンマイクによって違うと思うけれども。
このフェスでのオープンマイクはわりとざわざわしていた。とりあえずそれほど大きくない箱であるこの会場では、喋り声でも音は響くのだ。
聴く人は聴くが、聴いていない人はとにかくよくしゃべる。大体、しゃべりだすと止まらないのがフランス人。(というのが僕のイメージだ。)

そんな中、ポンっと出てきてサクッと"Everytime we say goodbye"を歌っていった最初の彼女の歌はちょっと良かった。

「・・・。」

なんて口で言っても伝わらないと思うので、録画してきたものを演奏順に高速ダイジェストで繋いだので見ていただければと思う。

全演奏全コーラスを録画したわけではないけれども、演奏データの中で演奏者がもっとも輝いていると思った場所を使った。
一つだけ心残りなのは、最後の男の子、編集上あそこを使わざるを得なかったが、道中はもっと歌が上手だった。

やっぱり歌が大半を占めた。演奏のみは2組、ウクレレソロになると一人だけだった。
この動画然り、Youtubeの動画然り、ヨーロッパではやはり歌を歌いたくてウクレレを弾いている人が多いようだ。アメリカ本土もそのような傾向にあるとハーブオオタJr.さんのインタビューで読んだことがある。

日本人はどうだろう。経験がないので予測でしかないけれども、割合的にウクレレソロやアンサンブルをする人がもっと多いと思う。歌を唄いたければカラオケ、という代替文化があるからかもしれない。

ただ、このあとのコンサートの反応を見る限り、ウクレレソロがまるで嫌いというわけでもないので、単純に練習と指導とスキルの問題かもしれない。僕にとってはソロより歌いながらウクレレを弾く方がとても難しいのだけども。

また、オープンマイクではハワイアンの曲もなかったように思う。あくまで自国の音楽文化に、ウクレレという楽器で対応しているということだろうか。ハワイは日本人にとってやはり距離的にも、メンタル的にも近い存在なんだと改めて思った。
「Hawaii」とプリントされたTシャツはこちらでもよく見かけるのだけれども。

ところで、動画をご覧になってデッキブラシの柄のようなものに紐が一本ついてるのをかき鳴らしているおじさんに気づいただろうか?実はあれはベースだ。詳しくはこんなことになっている。

詳しい演奏方法はわからない。おそらく、このデッキブラシの柄のようなものの傾きを変えて、紐の張力を帰ることによって音程を変えているようだ。オープンマイクにベースプレイヤーはあまりいなかったので、ほうぼうで借り出されていた。音はノーマイクでも他楽器に負けないくらいには出ていた。ちょっと僕も実験してみたくなった。

(2014/6/1追記)

この楽器はラグタイムジャズではむしろ一般的な楽器なんだと教えていただいた。面白い!まだまだ知識が浅いのでもう少し色々と見聞を広めなければ。

さて、予定通りきっかり2時間のオープンマイクも終了し、次は無料イベントとしては最後となるくじ引きのお時間だ。

写真を撮り忘れてしまったが、満員御礼な状態であった。

商品はウクレレ本体が10本程度。ヴィンテージスケートボードが1つ。
一つ一つのお値段はともかく、量的には結構な大盤振る舞いと思っていたが、販売されたくじの総数は1,000口もある。
つまり、1口で当たる確率はざっと1%。3口買った我々の当選確率は3%。消費税値上げ分程度のはかない望みだ。消費税値上げ分は意外と大きいのに、当選確率は限りなく小さい・・・。(詭弁である。)

結構な盛り上がりの中で、妙齢のご婦人1名とアシスタントのお若いご婦人2名によるくじ引きタイムが開始した。

賞品になっていたウクレレは覚えている範囲で。

・前述のOHANA。
・プログラムの項でUkulelezaza氏と他二人が弾いていたiUkeのピッコロウクレレ。
・知る人ぞ知るドイツのRISAという会社のスティック状のRISA Stickウクレレ。
・RISAプロデュースのKoki'oというウクレレ
・Just Cordesというウクレレの修理・販売店だと思うのだけれど、そちらからカスタムペイントのソリッドウクレレ。
・Kumalae。これは日本のディバイザー製なのだろうか。
・WIKIという名のウクレレブランド。初めて聞いた。ネット検索泣かせなネーミング。

複数協賛しているものもあったので、だいたいこんなものだったと思う。

このウクレレがカスタムペイントのソリッドウクレレ。
オフィシャルショップのお姉さんの言うことあながち間違ってなかった。確かにあの子可愛いなぁ、とかなんとかオッサンのつぶやきを漏らしながら。。。肝心の結果は???

もちろん聞くまでもなく惨敗。
ヨメともどもこの手の抽選で当たったことがない。関係ないが、じゃんけん大会なども鬼門だ。
それでも、帰りはウクレレ2つになっちゃったらどうしよう、などといらん心配をしつつ楽しむことはできた。
あくまでも、ドキドキが目的なのだ!(負け惜しみである。)

くじ引きが終わり、大体、時間にして18時半。
ここで一旦全てのイベントが区切られ、来場客は会場からはけることになる。
残すところ夜のコンサートのみ。これは有料イベントなのでチケットチェックと会場設営のために外で待つことになった。

陽はだいぶ長くなっていたので、外にいても特に寒かったりはしない。
19時から23時までを予定しているコンサートなので、その前に食事を摂る人もかなり多かった。前述の通り、会場で食料を調達できないからだ。
ただ例によって、座席数の少なさに恐れおののいていた老体2人は、空腹を忍んですぐに再入場の列に並んだ。
前から、7、8人目。流石に安泰だろうと思っていた。

そして、19時をまわり、少し遅れての会場。
チケットチェックと再入場用のスタンプを手の甲に押される。ちょっと急ぎ足で入場して、びっくり。
半分程度の席を既に設営などをしていた関係者がキープしてあったのだ。我々はなんとかギリギリ座席をキープできた。
つまりあとの人は、ほぼ全員立ち見、もしくはステージ前の床に体育座りだったのだ。
いや、芝生ならいいけれどもね。怖い怖い。

それはさておき、コンサートが始まった。

トップバッターはこのコンサート唯一のウクレレソロ奏者Adrien Janiak氏。
今回のフェスにぴったりのフランス人ウクレレソロ奏者だ。確か3回目の出演と話していたように思う。

流石に有料コンサートでのプロフェッショナルの演奏動画をここで流すのは申し訳ないので、拾ってきたオフィシャルと思われる動画を元に補足する。

はじめはピンで登場。
当然ながら、オープンマイクとは違うソロ弾きのクォリティに会場は盛り上がった。僕にプロレベルの演奏を技術的に解析はできないけれども、この動画と同じ曲ではないものの安定感の増した演奏だった。
知らない曲が多かったが、気持ちの良い演奏でとても楽しめた。ヨメも大満足だったようだ。

ソロで3曲ほど披露したあと、最近彼が相方にしているShai Sebbag氏が登場。
ギターとのアンサンブルになってからはカバー曲を中心にこの動画のGet Luckyの他にStayin' aliveやWhile my guitar gently weepsなどで会場大盛り上りの良いステージだった。
なにしろ本人がとても楽しそうで大興奮。良い演奏ができた証だと思われる。

そして、お次は"Royal Boudoir Orchestra"の出番である。

実はこのParis Ukulele Festivalは別名Ukulele Boudoir Festivalとも称されていた。
つまりこの"Boudoir"というキーワード、直訳すると「(ご婦人の)私室」という艶やかで神秘的な響き(でも、語源は女性が拗ねるための部屋)の言葉が共通するように、このメンバーがフェスティバルのコアな主催である。
フェスありきのバンドなのか、バンドありきのフェスなのか、おそらく後者だと思うけれども正確にはわからない。ただ彼らがこのフェスを運営をしていたのは間違いない。

ちなみに彼らの中にご婦人はいない。失礼を承知で言うならば、むさいオッサンばかりだ。
ご婦人の私室で、演奏する小さなプライベートバンドだよ、という意味だろうか。正直わからない。今度フランス語の先生に意図するところを聞いてみることにする。

構成
ウクレレ&ヴォーカル×2名
ウクレレorギター&ヴォーカル×1名
スティールギター×1名
ウッドベース×1名
バンジョーウクレレ×1名

実は今回のイベントでオーソドックスなハワイアンを演奏したのは彼らだけだ。公式サイトの紹介ではパリのハワイアンバンドとのこと。

演奏技術はそこまで高くはない。クォリティが低いとは言わないけれども、基本的に難しい技術は使ってなかったように思う。
ソロ演奏が入ってくるのはほぼスティールギターのみで、ある意味でそれがないとメリハリがなくなってしまう感じだった。元々ハワイアンの演奏がそういうものなのかもしれないが。
ただ、この場所でハワイアンをやるからにはその愛は並々ならぬものがあるわけで、ステージにもかなり慣れており、観客を楽しませるのは上手だったので、僕自身も普通に楽しかった。

フランス語版"Hula Girl"。動画ではメンツも少なく、ややアウェイな空間な空気だけれども、当日はもっとステージ観客一体の良い雰囲気だった。

"Honolulu Stomp"とってもアンダーグラウンドなステージ。

彼らの演奏した曲が楽しかったので、というか大好きなSweet Hollywaiiansのアルバムと重複する曲もあったので、日本に帰ったら彼らライヴにも是非行きたいと強く思った。
ただ、開催がほぼ関西というのがネックなのだけれども。

途中からUkulelezaza氏が飛び入りで参加。
彼らにとっては、準備に費やした全てが報われるライヴに違いない。演奏中は輝いていたし、ちょっと持ち時間長いんじゃない?と思ったりもしたけれども、それはご褒美みたいなものなんだろう。

僕もいずれはこんな風に輝くむさいおっさんになるべく演奏の精進をしたいところだ。

さて、お次は"Jane for Tea"である。

実は今回この場所で彼らのファーストアルバムがリリースされた。今回の出演者の中で最もプロっぽい彼らは、ほかの出演者に比べて全てにおいて完成度が高かった。
ヴォーカルとウクレレ(他、いろんな楽器)、ドラム(ウクレレも弾く)、ベース(今回はウクレレベース)の構成。

実は事前に見た短いPVが、とてもなんだかピチカート・ファイヴのような雰囲気だったので、おフランスな感じのエスプリの効いたサウンドなのかなと思っていた。

どっこい、確かにヴォーカルの女性はすごくかわいくて洗練された衣装を着ているけれども、ヴォーカルは情熱的でものすごいパワフルで熱い。ラテンな熱気である。正直、僕は熱いのが大好きだ。
ただウクレレを使っていることもあり、サウンドはただただ熱くなりすぎたりせず、やっぱりどこかしら可愛いらしく耳触りの良い音にまとまっているのだ。
ちなみに、このウクレレはカマカのパイナップルデカール付きのヴィンテージのような気がする。だとすれば、僕が今回のフェス訪問で見た唯一のカマカになる。それにしてもハワイ製のウクレレは少ない。

ステージの始まりは、ヴォーカルが洗濯板らしきものを二本のブラシでこすって音を出すパーカッションで、ドラムがウクレレを演奏。2曲目はヴォーカルはバンジョーウクレレを弾いていた。

最初はやや戸惑い気味の観客も、尻上がりにヒートアップしてくる。ヨメも未だに”バンビーノバンビーノ”と鼻歌を歌う。

バンビーノのフルコーラスはこちら↑

動画は野外の録音でわかりにくいけれども、ドラムもベースもコーラスがとてもうまい。すごく気持ちが良かった。
個人的には今回一番好きになったバンドだった。でも、実はCDを買いそびれてしまってとても悲しい。

最後の出番は、昼間リハーサルを覗き見したThe Big Ukulele Syndicateだ。

この時点で午後10時をまわっている。安ホテルでのチェックインがまだだったこともあって、帰った方がいいかもしれないと思ったけれども、さわりは聴いていこうと考え直した。

そしたら帰れなくなってしまった。つまり楽しかったのだ。

彼らは演奏もあるけれども、基本的にはエンターテイメント集団だと思う。
鉱夫のような出で立ちのウクレレ集団とベース・ドラム。それと上段にいるボケ・ツッコミのような女性と男性ヴォーカルから成る。

雰囲気をご紹介したいので一応、動画も載せるけれども、この動画はそこまで面白くない。
ステージはこれよりかなり面白かった。もっと良い動画を上げなきゃダメだと思う。ただライヴと映像はやはり違うのかもしれない。
基本は歌いながら上段で男女がせめぎ合うコメディ。当然ウクレレ集団とのやりとりもある。
また、このウクレレ集団は基本のネタに関係なく、それぞれに小ネタを繰り出すのだ。

コメディの内容を文章にしても面白くないのでこのへんで。

このあと夜11時を迎え、押していた彼らのステージをおそらくほんの少しだけ残して、我々は会場をあとにした。

朝6時過ぎからの長い長い行程だったので、当日の疲労は濃かった。それでもできるだけ楽しめた良い一日だったと思う。
なんにせよ、僕の「ヨーロッパのウクレレフェスを目撃する」という目標は達せられた。ハッピーだ。


【あとがき】

”レポートを最後までお読みいただきありがとうございました。”

スイスに住むウクレレ好きで好奇心旺盛なオッサンの小さな野望、今回やや重い腰を上げることでなんとか叶って嬉しい。
来年のこの時期には既に日本に帰国していると思われるので、今年が最後のチャンスだったのだ。

日本のウクレレイベントに参加できないジリジリ感をある程度相殺することができた上に、拙いながらもレポートを残すことで自分の中でもいろいろと整理できたと思う。

もしかしたら、僕のように興味がある方がいるかもしれないと思い書いたのだけれども、ご覧のとおりフランスでもフランスのやり方でウクレレは愛されている。

やっぱりウクレレって良いなぁ、音楽って気持ち良いなぁ、そんなことを改めて考えさせられ、考えて、そして考えずに感じて、レポートの結びとする。


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