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音名と変化記号、異名同音の扱い

 かしこい音楽理論①の第1回です。
 今から頭がいい人向けの音楽理論の話をします。
 かしこい人は一発で理解できます。そうでなければ三発か四発くらいになります。このシリーズを読めば、とりあえず楽譜は読めるようになります。
 楽譜を読めるようになる前に、音そのものと、音と音の関係についてを第5回までかけて説明します。

今日覚えて帰ってもらうこと

・音名
・変化記号

英語音名

 音の名前は、AからGまでのアルファベットをあてて表します。これを英語音名といいます。
 AとBとCとDとEとFとGですね。普段みんなが言ってる「ド」というのは、これのCにあたります。

 ピアノでいうと、彼らはこういう場所に住んでいます。

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 ここでいうピアノの鍵盤はあくまで土地で、そこに彼らが住んでいるというイメージです。「かしこい音楽理論」では、音のことをまるで人間のように扱うことにします。

もっとかしこい話:英語音名以外の音名
 英語音名以外にも、ドレミファソラシドのイタリア音名、イロハニホヘトの日本音名など、たくさんの種類の音名がありますが、同じことを説明するのに違う名前を使っててもあまりかしこそうな印象がないので徹底的に無視をします。かしこい音楽理論ではそういうのを許しません。

変化記号:♭と♯

 白い鍵盤じゃないところ、黒い鍵盤に住んでいる人は今はいません。そのすぐ隣の白い鍵盤に住んでいた人がそこに動いてきます。

 低い方に移動した人のことは、♭(フラット:flat)と呼ぶようにしてあげて下さい。

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 それとは違って、高い方に移動した人のことは、♯(シャープ:sharp)と呼んであげると目の付け所がいいことになります。

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 繰り返すようですが、住んでいる場所に音名がついているのではなく、住んでいる人に音名がついている、というイメージで捉えておくとかしこいと思います。

 ♭や♯することを変化と呼び表し、その記号は変化記号ってやつです。変化した人のことを変化音といいます。
 一方、変化していない人のことを変化音とは区別して幹音(natural tone)と呼びます。幹音は♮(ナチュラル:natural)という記号をつけて呼び表します。

もっとかしこい話:黒い鍵盤の呼び表し方
 実は、黒い鍵盤に住んでいる人のことは、白い鍵盤にいた人が♯しているか♭しているか、という呼び表し方しかできません。言い換えると、黒鍵盤は変化音としてのみ言い表すことになります。
 黒い鍵盤の場所をそのまま言い表す方法はないのです。なぜなら、白い鍵盤しかなく黒い鍵盤がまだなかったような時代からの音の呼び名の仕組みが、今でもそのまま受け継がれているからです。
 昔と全く変わらないので、かしこくない方法のように思えます。しかし、そのことに文句をいうのはまだ早いです。音楽理論に文句をいうのは、もうちょっとかしこくなってからでも遅くはないはずです。

黒い鍵盤をまたがずに隣り合う白い鍵盤

 黒い鍵盤をまたがずに、白い鍵盤が2つ並んでいるところがあります。
 BさんとCさん、EさんとFさんの住んでいるところは黒い鍵盤をまたぎません。直通です。そのせいで彼らの間には生々しい関係があるらしいです。

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 ♯や♭の方向に黒い鍵盤がない人は、白い鍵盤に移動してきます。その結果として、E♯さん、B♯さん、C♭さん、F♭さんが出現することがあります。
 その場所に元々住んでいたFさん、Cさん、Bさん、Eさんは困るかもしれません。

異名同音

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 ♯や♭の結果として、同じ場所に住むことになっちゃった人同士の関係を、異名同音(Enharmonic)と言います。
 異名同音の関係にある二人のうち、少なくとも一方は必ず変化音であるということが言えます。
 図の例で言えば、同じ黒い鍵盤にいるA♭とG♯、白い鍵盤にいるC♮とB♯が異名同音の関係になっています。

 これがもし人間界なら生き地獄か同棲生活かスキャンダルのうちのどれかが始まっちゃうところですが、音階の世界ではそれと似たようなことが起こります。
 音階の世界では、同じ場所に住んでいる人はいないものとして扱います。もしも音階の世界でB♯さんが出現したら、上隣に住んでいるCさんは♯しているか、あるいはもっと♯している(ダブルシャープ)しているか、あるいは消え失せているかもしれません。詳しくは次回以降で話します。

 ともかく、変化して異名同音になった人たちは、別に隣人に成り代わろうとしているわけではないので、原則として、そこにいた人と同じ名前で呼ばれることはありません。全く同じ高さにいることだけは確かなんですけどね。

もっとかしこい話:異名同音の同一視
 発展的な音楽のシステム(体制・環境)では、異名同音を全く同一の音として扱うことがあります。これを音名の読み替えという言葉で表現することもあります。
 ただ変化するだけでなく「人格まで変わる」ようなイメージなので、日本語で言うなら「変格」という言葉を当てたらいいのではないかと思います。 ちょっと恐ろしい話になるので、また機会があれば詳しくお話しますが、今はそのときではない、ということです。

全音と半音

 「黒い鍵盤をまたがないふたつの白い鍵盤」
 「白い鍵盤と、その隣りにある黒鍵盤」
 「黒い鍵盤と、その隣にある白い鍵盤」
 これら3つの関係も全て同じ距離にあるという扱いになっています。この距離のことを半音といいます。
 定義上は、半音は♯や♭によって移動する距離と同じということがいえます。

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 また、
 「黒い鍵盤をひとつだけまたぐ白い鍵盤同士」
 「白い鍵盤をひとつだけまたぐ黒い鍵盤同士」
 「白い鍵盤をひとつだけまたぐ、黒い鍵盤と白い鍵盤」
 これら3つの関係は、全て同じ距離にあるという扱いになっています。この距離のことを全音といいます。
 定義上は、全音は隣り合う半音を2つ合わせたものと一致することになります。言い換えれば、♯が2回分、♭が2回分の距離のことです。

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人間関係による表現

 音楽はアニメとドラマと同じで、人と人の関係によって物語を作っていくものです。次回はその話をします。

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