VOCAL

渡会雲雀さんの3Dお披露目配信アーカイブを観た。

渡会さん、喋っているのを観たことがある程度で、名前とビジュアルくらいしか知らなかった。デビュー直後から「歌うまい」と言われているのも耳にしていたけど、私は男性ボーカルをあまり聴かないのでスルーしていた。しかし今回の3Dお披露目があまりにも絶賛されまくっている。気になる。1日でアーカイブ再生数800K。すごい。期待できそう。再生ボタンぽちり。期待を軽々と飛び越えていかれた。歌上手すぎん?

歌上手すぎて思わず笑ってしまう。バンドで/ライブで映えるボーカル!という表現がぴったりだと思った。歌手でもシンガーでもなく ”ボーカル” と言いたくなるような。それも「ヴォ」ーカルじゃなくて「ボ」ーカル。

渡会さんの歌を聴いて、一時期好きだった真空ホロウというバンドを思い出した。私バンド本っ当に詳しくないし邦ロック全然知らないんだけど、真空ホロウは深夜の音楽番組で一目惚れならぬ一聴惚れした稀有なバンドだった。その時は男性3ピースだったんだけど、途中でVo.の松本さんを除く二人が脱退し、新たに女性を加えた2ピースバンドとして活動していたらしい。”らしい”というのは、私は3人時代の真空ホロウが好きだったので、そうではなくなった時点で曲を追わなくなっていた。辞めたメンバーが好きだったとか、新メンバーが好きじゃない等の理由ではない。言ってしまえば、作詞作曲とボーカルを手掛ける松本さんがいれば変わらず応援し続けると思っていた。でも、体制が変わってからは曲の雰囲気?も変わってしまって、それは私の好きなものでは無かったので離れた。

それまでの真空ホロウは鬱屈感・うまくいかない悔しさ・焦り・焦燥感・嫉妬・そういう醜い感情に呑まれかける自分の弱さへの苛立ち…そして暗さの彼方に確実にある夢のように美しい光景・過去へ置いてきた世界の煌めき…そんな曲を歌っていた(何を言っているんだという感じだがあくまで主観なので勘弁してほしい)。

惚れた曲。

夜。

https://youtu.be/hUci0ZYRgd4

朝も可。曲中は真夜中だけど

松本さんの曲は、自分に対して歌っているような、自分を表現しようともがいているような、雛鳥の様にと口を開けて待っているのでは与えられない救いを自らに与えようとしているような印象があった。皆(不特定多数)を元気づけよう!ではない。エンタメになる気は無い。SVOのOは自分でありその他大勢有象無象ではない。ファン含め。自分を見つめて自分のために歌っている…というのは只の外野の戯言だけど、松本さんには泣きながら謳ってほしい。パワフルでクールな歌声なのに、それと同時に意志とは関係なく波打ちときには荒れ狂う沸騰した感情を溢れさせてほしい。それは節々で感じられるけど、その究極とは涙かなと
(蛇足だが「感じられるけど」という表現はどうなんだろうか。コンテンツはクリエイターが100だと思っているので、私のような只のコンシューマーが分かった気になって我が物顔で自分のわきおを語るのはすごく愚かで出過ぎた行為のような気がする)

小説家が私小説を書くのは楽なことではないと思う。
自分の綺麗ではない黒くて脆くてぐちゃりとした部分に手を突っ込んで直に触って向き合って見つめて言葉で表現して世にさらす。それを読んだ有象無象に良いことも悪いことも好き勝手批評されるというオプションつき。松本さんは作詞においてこれをしているように感じられた。

しかし、新体制では矢印が自分から有象無象に向かったように感じた。自分ではなく他者のことを歌うようになったように感じた。100ルクスくらい明るくなった。今までの歌詞はかなり身を削って書いているような印象があったので、少し安心もあった。
有象無象の一粒である私にとっては好みではなかったけど、他の有象無象はそれを観て好きになったりもしたんだろう。



渡会さんは松本さんとは違うけど、個人的には歌い方のクセ?テクニック?パワー?にリンクするものを感じた。声も似てる気がする。「打上花火」のソロとかそっくり。メタい話だけど、松本さんの弟とか言われたら納得してしまうくらい。松本さんに弟がいるかは知らない。

渡会さん、歌以外だと、にこにこで真っ直ぐでずーっと楽しそうな人だなーという印象を受けた。そんなに高身長ではないと思っていたけどかなり背が高い。スタイルが良い。足と腰が細。あと手袋…これはただの好みか私の。衣装の背中部分に紐?が付いていて、後ろ姿にも遊びがあって良い衣装だなあと思った。紐がゆらゆらぴらぴら踊るの。そして煽りや動きがライブ慣れしている。歌を聴いているとどんどん好きになってしまう。まんまとチャンネル登録しました。やだもう自分ちょろい女で。

にじで他にこんな邦ロック映えする歌声の持ち主は圧倒的にコハックだと思うので、いつか二人の曲が聞けたら嬉しいなあー。真っ直ぐ通る透った声。


ちなみに真空ホロウ、今年2月に活動終了していたらしい。でもこれを機に私ももっと邦ロック聴いてみようかな

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