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【魔法少女】【感想】アニメ『ハートキャッチプリキュア』〜自分の弱い部分を受け入れる〜

こんにちは、唐梨です。
今日は『ハートキャッチプリキュア』の感想について書こうと思います。
それでは早速いってみましょう。



ハートキャッチプリキュアとは

2010年2月から2011年1月まで放映された、プリキュアシリーズ7作目です。
プリキュアは全部名作揃いなのですが、その中でも特に名作として名前が上がることの多い作品です。



視聴したきっかけ

しかし、リアルタイム視聴時の私は女子高生だったため、とっくにニチアサは卒業していましたし、大きいお友達として帰ってくるにはまだ若すぎました。笑
じゃあなぜ私は『ハートキャッチプリキュア』を視聴したのかというと、理由は以下2つ。


もともと気にはなっていた

実はもともと気にはなっていたのです。
心の問題に深くフィーチャーした作品であると聞いていましたし、絵柄を見れば分かるように『おジャ魔女どれみ』スタッフの方々が多く起用されていたためです。

あの、とても丁寧な精神面の描写、丹念に作り込まれたストーリー展開に定評のあるおジャ魔女スタッフが、プリキュアという枠で仕事をしてくれている。
一体どんな作品なんだろうか、と思っていたのです。


無料公開していた

そんななか、ついに機会がやってきました。
2021年8〜9月にかけて、東映アニメーション様が期間限定の無料公開をしてくださったのです。
しかも1週間に10話ずつも!!!
なんて太っ腹なんだと思いながら、この機を逃すわけにはいかない、と全話視聴しました(今でも1話だけは無料公開なのでぜひご覧あれ)。



忘れられない作品に

そして結果、私にとってとても思い入れのある、忘れられない作品になりました。

ここからは私事ですが、実は視聴当時の2021年8月に仕事でクライマックスを迎えていたのです。
8月31日が納期で、しかも今までの自分が挑戦したことのない規模のものだったため、まさしく心の成長が試される時でした。

そんな自分の状況と『ハートキャッチプリキュア』の登場人物たちが重なり、私も心を強く持たねば、と思わせてくれた作品です。
本当に感謝しています。



大人の心にクリーンヒット

このように、『ハートキャッチプリキュア』は大人にこそ見てほしいメッセージ性が多く盛り込まれています。

なぜかというと、心の弱い部分を描いているから
人には見せたくない部分、蓋をしておきたい部分、自分自身にすら気づかないフリをして隠しておきたい部分
そういった部分をすくい上げ、受け入れ、変わっていく過程を描いています。



第37話と第38話

自分が自分を傷つける

その「受容と変化」のテーマが濃密に描かれたのが第37,38話です。
もう私の中では伝説の回です。

ここはパワーアップするための試練の回で、その試練の内容が、自分を模したもう一人の自分と戦うというもの。
鏡の存在ですね。
その名もミラージュプリキュア。

このミラージュプリキュアがなかなかシビアで、物理攻撃のみならず精神攻撃も仕掛けてくるのです。
前述の、自分の触れられたくない弱い部分に、これみよがしに言及してきます。
これホントに対象年齢が幼稚園向けのアニメ?むしろ保護者の方にグサグサ刺さるのでは?と思うくらいの精神攻撃です。

自分が自分を肉体的にも精神的にも傷つけにくる
これって人の心の中を分かりやすくデフォルメしてくれています。

「なんでこんなことやっちゃったんだろう」
「またやらかした、だから私はダメなんだ」
「自分なんて大嫌い」

そんな心の声がある人にこそ見てほしい。
きっと痛いだろうし、もしかしたら途中でテレビを切りたくなるかもしれないけど、それでも見てほしい。
それくらいメッセージ性が深い。


「消す」のではなく「受け容れる」

この第37,38話で一番すごいのは、ミラージュプリキュア(=自分の弱い部分の象徴)をなかったことにせず、存在を認める、受け入れる、抱きしめることで試練をクリアすることができるという点。
消してしまう、倒してしまう、消滅させてしまう、というわけでないのです。
むしろそれでは試練は失格になっていたでしょう。

私にはダメダメな部分もあって、時に目をそらしたくもなるけれど、そんな私も必要だ、そんな私も含めて私は私なんだ。

プリキュア達はそう気づくことで試練をクリアし、見事パワーアップフォームを手に入れるのです。
もう本当に名シーンです。
以下、ミラージュプリキュアを受け入れた時のメインキャラクターたちのセリフです(セリフは文字に起こしたものなので、おおよそのニュアンスなことご了承ください)。


だから私はシャイで引っ込み思案な私も大好きです

主人公キュアブロッサムのセリフ。
第1話の時点では、内気でおとなしかった彼女。
そしてそんな自分を積極的な性格に変えたいと思って行動してきた彼女。

シャイで引っ込み思案なところはコンプレックスだったはずなのに、それを「大好き」と言える心の器…!
成長を感じる瞬間です。


あたしって自分のこと全部大好きだから

こちらは主人公の相棒、キュアマリンのセリフ。
彼女は第1話の時点では才色兼備の姉にコンプレックスを感じていましたが、元来はセルフイメージ高い性格だと思うんですよね。
才色兼備な姉を羨むのも、自分だって才色兼備になれるはずだという気持ちがどこかにあるからこそ「羨ましい」という感情が出てくるわけで。

そんな本来の素質が、物語が進むにつれて良い方面に出てきた集大成のセリフ。
やっぱりキュアマリンはこうでなくっちゃ、と思わせてくれる、頼もしいセリフ回しです。


かつての頑なだった私も、好きなものに素直な私も、両方とも大切な私

こちらはキュアサンシャインのセリフ。
もともとは跡取り息子の代わりとして、女の子だけど男の子の恰好をして生きていました。
そんな背景から、本当は女の子らしいものが大好きなのに、ずっと隠して抑圧していたのが初登場時。

だけど、プリキュアになる過程で、二律背反じゃなくて両立できる、どっちも取ってよいのだ、と思えるようになっていきます。
『ハートキャッチプリキュア』全編を通じて、一番「受け入れる」がテーマになったキャラクターではないでしょうか。


私は悲しみを背負って生きていく、そしていつかその悲しみを愛で包んでみせる

こちらはキュアムーンライトのセリフ。
彼女は一番重い設定を持つキャラクターで、身近な人たちを亡くしてしまいます。
それも、自分の落ち度と、自分ではどうしようもない不条理と、両方の理由で。

意図せぬ悲しみが自分の身に降りかかった時、それをどう乗り越えていくかが彼女の成長のテーマだったわけです。
それにしても、キュアムーンライトのこのセリフ、もはや宗教や哲学のレベルに達していて、10代とは思えない悟りの境地です。

本当に幼児向けアニメとは思えません。
もしかしたらスタッフ陣の方々も、いつか大人になって分かる時が来ればいい、と思いアニメ制作をしてくれていたのかもしれませんね。



最後に

子どもはもちろん、大人の鑑賞にこそたえるアニメ、それが『ハートキャッチプリキュア』です。
本当に名作なので、ぜひみてください。

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