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【魔法少女】【感想】アニメ『美少女戦士セーラームーンセーラースターズ』〜綺麗事を信じぬく強さ〜

こんにちは、唐梨です。
今日は『美少女戦士セーラームーンセーラースターズ』の魅力について書こうと思います。
それでは早速いってみましょう。

※ネタバレがあるのでご注意ください!
※漫画版ではなくアニメ版のみの感想なので悪しからず!




『美少女戦士セーラームーンセーラースターズ』とは?

1996年3月~1997年2月にかけて放送されたアニメであり、超人気シリーズであるセーラームーンの最終シリーズです。スターシードをめぐるギャラクシアとの戦いを描いています。

また今年2023年6月から『美少女戦士セーラームーンCosmos』として、新たに生まれ変わった映画が絶賛公開中です。

※過去シリーズの一つ『美少女戦士セーラームーンSuperS』の感想はこちら。



月野うさぎの真骨頂


戦いは新たな戦いを生むだけ

まず最終回まで見て思ったのが、うさぎちゃんはとことんギリギリまで戦う選択肢を選ばないということ。それは正体バレした後のスターライツとの不仲でもそうですし、ギャラクシアとの最終決戦でもそうでした。「話せばきっと私たちは分かり合える」と信じている

その理由はなぜかというと、争って勝敗をはっきりさせたところで根本解決にはならず、結局どちらかに遺恨が残って新たな争いを生み出すことを、心の底から知っているから。まさに、戦いは新たな戦いを生むだけ(宝塚歌劇ネタ)。

特に最終回で全裸になるシーンは圧巻。放映当時は公序良俗に反するなど物議を醸したようですが(あの程度なら、むしろ天使のようにデフォルメされてて、聖なる感じがして全然いいのではと私は思いますが)、これって争う気が一切ないことを表す、このうえない究極の表現だと思います。そして最後はセーラームーンとギャラクシアが互いに手と手を取り合う。力による決着ではなく、和解による決着がここに実現したのでした。

(余談ですが『Yes!プリキュア5』の最終回で、キュアドリームが自ら変身を解いてデスパライアに近づくのも、このシーンを彷彿とさせるなと思いました)


綺麗事の理想論を忠実に信じぬく強さ

悪を愛で包み込む。これは綺麗事です。特に作中ではセーラーウラヌスたち外部太陽系戦士がそう言っていますね。

私もこれには同感です。前述の力に頼らず和解による決着にしたって、和解に至らしめる過程で力が必要な時もあるからです。敵意のある相手にまず話を聞こうという姿勢を持ってもらうのに、口先だけでは通じません。「ちょっとタンマ!」と言えるのは、相手がむやみに攻め込めないレベルの力があるからこそ。だからウラヌスたちは正しい。もちろんうさぎちゃんも正しい。ただ、それぞれが正しさを押し付けると争いになるんですね。

私、実はうさぎちゃんのことがシリーズ初期はそれほど好きではなかったんです。いや、好きではなかったというと少し語弊がありますね。セーラームーンの登場人物は基本的にみんな好きなので、正確に言うならば、うさぎちゃん以外のキャラクターの方がより好きだった。

「そりゃうさぎちゃんも好きだけれど、いつもぴーぴー泣いてて、わがままで、守ってもらってばかりで、なんでそれでうさぎちゃんは人気投票上位なんだろう?ほかの戦士たちは身を挺して守っているのに?」と疑問だったのです。でも、泣き虫プリンセスのすごさがやっと分かったのが、このセーラースターズでした。

うさぎちゃんが真にすごいのは、綺麗事を忠実に信じぬいているところなのです。たとえ世界が破滅寸前になっても、たとえ仲間がみんな死んでいっても、綺麗事を貫いている。揺らがない。泣きまくるけれど、思っていることは決して変わらない。だからプリンセスたるにふさわしいのだと、未来ではクイーンとして国を治めているのだと、心から納得しました。

どこまでいっても愛が行動のベースにある。ギャラクシアと和解した時も、ギャラクシアに巣食っていたカオスがみんなの心に戻っていった時も、うさぎちゃんはいつもそうでした。私はこの世界が大好きだから、みんなが大好きだから、信じましょうと言い切るのです。

ギャラクシアはそんなうさぎちゃんに対して心の強さを褒めるのですが、こうして考えると、弱虫でヘタレですぐ泣く人こそ、打算や変なプライドがなくて結果的にメンタル強者になれる可能性を秘めているのかもしれないと思いました。ただし本人がピュアでいる限りですが。他アニメだとのび太くんとかもそんな感じですよね。


泣き虫プリンセスの人徳

繰り返しになりますが、ウラヌスたちの現実的な主張も正しいのです。でも、プリンセスの役割はこれでいいのだと思います。

危機管理などの現実的な役割はほかの優秀な人材でもできること。だけど、民の希望として、王国の象徴として、プリンセスだからこそ綺麗事の役割を担う意義はとても大きい。理念使命の部分を司っているのがうさぎちゃんなのです。

もちろん、当のうさぎちゃん本人はそんなことを計算してやっているわけではなく、素で行動しているだけです。だから、周囲の仲間たちが口をそろえて「ほうっておけない」「みんなうさぎちゃんのことが大好き」「つい未来を信じてしまいたくなる」といった内容のコメントを言うのでしょう。総じて「我らが月のお姫様はこうでなくっちゃ」という信頼を感じます。



スリーライツの魅力

と、ここまで月野うさぎちゃんについての文章でしたが、やはりセーラースターズといえばスリーライツ!!!彼らがいてこそのセーラースターズ!!!

シリーズ通してこれだけ登場人物が多いのに、よく差別化できて、こうも美しくかっこいいキャラクターを生み出せるよなぁと思わずにはいられません。武内直子先生は偉大です。

3人ともストーリー終盤までは敵対的な時もありましたが、冷静に考えれば、自分たちの星を失った亡国の民なわけで。祖国や火球皇女のために、痛いくらいのひたむきさで、一途に行動し続けている人たちなのです。目的も使命もはっきりしているからこそ、そしてそこに想いがあるからこそ、反動で敵対的な時があっただけなんですね。

そんな彼らの魅力を順に見ていきましょう。


星野光/セーラースターファイター

故・新山志保さんの演技が光る、うさぎちゃんに次ぐ今作のメインキャラクター。星野の時のやんちゃで青臭い男子高校生と、ファイターの時の心からの信頼で見守るお姉さんの声の使い分けが最高で、本当に若くして亡くなられたことが惜しまれます。

星野とうさぎちゃんが結ばれる世界線も見たかった、という視聴者の声が今なお絶えないほどの人気キャラクター。ていうか、事実だけ切り取って書けば「ヒロインが気になってちょっかいかけるも、ヒロインは本命と固く結ばれていて、結局フラれる当て馬ポジション」なんですよ。なのに、こんなにおいしい演出や名シーンの数々が両立しているのが、星野の魅力ですね。最後まで結ばれないからこそ、星野の魅力はさらに増したと言えます。

つい呼び捨てで呼びたくなる人。


夜天光/セーラースターヒーラー

個人的にキャラデザが1番タイプ。中性的な美少年で、よくギリシャ神話とかに出てくる美少年ってこんな感じなんだろうな~と思ってしまいます。でも、実際に夜天くんは水瓶座で、水瓶座の由来は「美少年ガニュメデスが神々にお酒を注ぐための水瓶を持った姿」から来ているので、あながち間違っていないのかも。

ただでさえセーラースターズは話数が少ないので、メイン回も少ししかないのですが、その中でのルナや美奈子ちゃんとの掛け合いが最高でした。クールだしつんけんしてるし厳しいけど、実は優しさが奥にありますよね。優しさの表現方法が分かりにくいだけで。

つい「くん」付けで呼びたくなる人。


大気光/セーラースターメイカー

あの天才美少女、セーラーマーキュリーこと水野亜美ちゃんと肩を並べる程の高い知能を誇ります。大気さんといえば、やはりなんといってもおでこ。よくおでこが広い人は賢いといいますが、それを体現してますね。

大気さんも夜天くん同様メイン回は少ないのですが、特にゲストキャラクターであるミサちゃんとの絡みがとても良かった。表現することの奥深さが伝わる名シーンです。

あまり口数多く喋るタイプではありませんが、心の奥に思うことはたくさんあるんだろうなぁ、周りの人のことをよく見てるんだろうなぁ、と思わせる落ち着きがあります。

つい「さん」付けで呼びたくなる人。



楽曲と作画が神

そしてセーラースターズで忘れてはならないのが、楽曲と作画!!!

『セーラースターソング』『風も空もきっと…』『とどかぬ想い -my friend’s love-』などなど、OPもEDも挿入曲も変身曲も、どれも歴代シリーズで1番好きです(2番目はSuperS)。

また作画も、特に下笠美穂さんの作画がかわいくてかわいくて…!もちろん前回のシリーズまで担当されていたレジェンド伊藤郁子さんの作画も大好きですが、それと同じくらい下笠さんの作画も素敵。伊藤さんは繊細で美麗な絵柄で、下笠さんはかわいらしくも少女漫画の夢夢しさもある絵柄。だいたい「今日のお話の絵柄かわいい!」と思ったらEDの作画のクレジットが下笠さんでした。



最後に

セーラームーンシリーズの最終章にふさわしい、美しいラストでした。原作準拠というよりは、アニメオリジナルの部分も多分に含むストーリーですが、私はとても好きです。

そして、現在はより原作に即した『美少女戦士セーラームーンCosmos』が映画館で絶賛放映中。ぜひ見に行かれてみてください。


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