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整うということ

数年前から、「整う」が流行っているらしいですね。
サウナは何度か入ったことはあるものの暑いのも寒いのも苦手なもので、サウナで整う経験はついぞしたことがありません。
日々の家事をこなしていると、ごはん作りで「整う」タイプの人をうらやましく思います。
昨日何食べたのシロさんとか、衛宮ごはんの士郎君とか。奇遇ですね、どっちも「シロウ」くん。わたくしも「シロウ」という名だったら料理で整っていたのでしょうか。残念。
料理を作るだけならまぁ嫌いではないのすが、食後の食器洗い。
ダルい。休日なんかは本当に一日中、炊事→食器洗い→炊事→食器洗い→炊事→食器洗いということを繰り返している気がします。
しかも調理器具も都度洗う。これが面倒。本当に面倒。
食洗器という作戦も考えたものの、一度に出る食器の量から考えると食洗器に頼るほどでもなければ3食分となると多分都度食洗器を使っていたら乾燥だなんだというのが間に合わないですねという結論に至り、手動。
家事全般で整うタイプの方、本当にうらやましい。
ではわたくしはなにで整うかというと、読書でした。
先日引っ越しまして。
都心からかーなーり離れた山の稜線がよく見えるところです。
ミンミンゼミやアブラゼミよりもひぐらしの声がよく聞こえる。
そして一番近くの図書館・・・という規模でもなく、ほぼ図書室。
蔵書数は蔵書検索でヒットするタイトルから考えると以前住んでいたところのおそらく10分の1程度なんだろうなという規模感。
ただ、小さいだけにとても流れる空気がのんびりとしている。
カウンターはシルバー世代の方で、引っ越してきた旨と図書カードを作りたいと申し出るとにこにこと穏やかに丁寧にご対応いただき、手作りのしおりもありますので是非、と勧められた。
和紙で作られたシンプルだけれど文庫本や少し昔のハードカバーにも似合う色とりどりのしおりがペン立てに入れられていて、深い藍色のしおりを選びました。
よく見るとカウンターや本棚のそこここに折り紙で作られたフクロウや猫が飾ってあり、勤めているどなたかが好きで作っているのだろうなぁという感じ。
そして利用者も顔見知りが多いのか、本を返す時と借りる時など近況を話したりしている。
それも近所の井戸端会議的なものではなく、本が好きなもの同士の会話という感じで、ほかの利用者の邪魔になるほどの音量でもないため非常に牧歌的。
こんなところで本に囲まれて、たまにしおりや本棚の飾りを作ったり、今月のおすすめや新刊のポップを作って過ごせたら幸せだろうなぁと。
何冊かタイトルで選んで借りて出たときにふと、「あぁ、整うとはこういう感覚なのかな」と気づいたわけです。
引っ越そうと決めてからここ数か月とても目まぐるしい日々を送っていたため、疲れたなぁ、くたびれたなぁと思うばかりでなかなか新しい土地の暮らしにも慣れず少し落ち込み気味だったのですが、図書館の空気を浴びてずいぶんとすっきりしていたのですね。
自動貸し出し機もない、返却ボックスもない小さな図書館です。
他人と話すことはあまり得意なほうではないのですが、そこに勤める方はきっと本が好きであるだろうし利用者も本が好きなわけで、貸出や返却時に交わす一言二言の中に「本が好きな仲間」としての思いも込められている気がして大変好ましい図書館だなと思った次第です。




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