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デジタル化 2024/02/09

先日、ファイザーのIT部門でシニアアナリストを務める方と話す機会がありました。大学で生物学を専攻した後、1993年から1998年まで金融機関でクオンツとして活躍し、ファイザーでの職務に就かれたとのことです。クオンツの業務は私の専門領域でもあるため、まずは、その時代に金融界で流行していた様々な裁定取引の戦略についての話から始めました。具体的には、現物と先物を使った裁定取引、ADR(米国預託証券)を活用した裁定取引、プットコールパリティに基づく裁定取引などが話題に上がりました。これらの戦略は、1998年のロシア危機やそれに伴うLTCMの事実上の破綻(ただし、コンソーシアムによる資金注入により実際の破綻には至らず、後に借金を返済)やDEショーの損失といった出来事を経て、一時は勢いを失いましたが、今日でも活用されている戦略です。会話はそこから、パーソナルヘルスレコードやマイナンバーカードを利用した医療の最適化について、特に日本での普及がなぜ遅れているのかという点に移りました。また、マイクロソフトコーパイロットを使用することで日々の業務内容のログを取得し、それを基にした社員評価や、誰が誰にメールを送っているかをネットワーク分析を通じて可視化し、効果的な指示が出せない無能な上司を特定する話にも花が咲きました。このような話題を通じて、すべてを計算可能な状態にすることの素晴らしさは、理系の人々にとって魅力的である一方で、パーソナルヘルスレコードの共有やマイナンバーの利用に対して感情的に抵抗を感じる人もいることなど、技術的な進歩と社会的な受容との間のギャップを改めて認識しました。

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