見出し画像

【シリーズ摂食障害Ⅲ・#14】 摂食障害当事者の就労とその支援・まとめ

【シリーズ摂食障害Ⅲ・#14】 摂食障害当事者の就労とその支援・まとめ
「サイコロジー・メンタルヘルス&日々のあれこれ」

 摂食障害の症状が、当事者の社会生活、とりわけ就労に与える影響について連載してきました。ここでいったん、このテーマの「まとめ」をしたいと思います。

***

 摂食障害の症状を持ちながら働く当事者の数は、決して少なくないであろうこと、当事者が就職し働き続けることには、症状にまつわるさまざまな“困りごと”があることが、記事でも度々引用した日本摂食障害協会による調査で、明らかになりました。

 (摂食障害を含む)精神障がいをもつ方が利用できる障害福祉サービスには、当事者の就労を支援するもの(就労移行支援、就労継続支援A・B型など)がありますが、摂食障がいの特性上、これらの社会資源は当事者のニーズとマッチせず、利用が広がっていない現状が指摘されています(武田氏の論文など)。

 当事者の就労へのニーズを理解し、社会生活面の充実に配慮した治療・支援を行うことが、支援者には求められます。当事者の方は、病からの回復を諦めないこと、症状と関連する自己の特徴・特性を把握し、得意な部分を伸ばすことに加え、苦手なことへの対処、特に周囲にニーズを伝え配慮を求める努力をすることが大切でしょう。

***

 摂食障害と就労についての話題は、ここでいったん終わりといたします。引き続き、当事者の方の社会生活にとって重要な、挙児・育児について理解を深めていきたいと思います。

 当事者の方の就労を考えるために、また挙児・育児を考える上でも、病気の特性を理解することが欠かせません。ところが、専門職・支援者の中にも、病気・障害への“偏見”ともいうべき理解の偏りが散見されるように思えてなりません。改めて、摂食障害への“公正な”理解を訴えたいと思います。

(つづく)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?