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対人援助職は、職場の非常事態を“我慢”で乗り越えようとしてはいけない

対人援助職は、職場の非常事態を“我慢”で乗り越えようとしてはいけない
「サイコロジー・メンタルヘルス&日々のあれこれ」

 エッセンシャルワーカーの人手不足が喧伝されて久しいです。ご多分に漏れず、医療福祉介護業界も、慢性的な人員不足に悩まされています。

 私がお手伝いに出向いている社会福祉法人でも、職員の産育休や中途退職の一方で、欠員補充がままならないため、一時的(であると信じたいが)な人手不足に陥っています。

 このような非常事態にあって、部下に負担をかけまいと、上司が負担を抱え込んで痛んでいくのは、対人援助業界“あるある”ではないでしょうか。私のところでも、管理職が病み始めている(持病の悪化など)のが、気がかりな所です(逆に、現場や部下が抱え込んでしまう“逆パターン”に陥ってしまっている現場もあることでしょう)。

 職場のチームは、上司が病んでいれば、言葉で報告されていなくとも、それを敏感に察します。愛他的で凝集性の高い“よいチーム”であればあるほど、上司が病むことへの罪悪感や恐怖から、これまで以上に奮起するのかもしれませんが、これはいけません。被支援者も同様の罪悪感(私が迷惑をかけているから)を抱えてしまう、といったことにもなりかねません。対人援助職では特に、「傷ついた支援者による罪作り」(北山修の表現)には、敏感である必要があります。

 短期的には、現在の人員に見合った業務量に調整するしかないのです。被支援者の数を減らす、支援の回数を減らすなどすると、利用者様に迷惑をかける(ように感じてしまう)、または、報酬(収入)に障る可能性がありますが、「30分かけていた対応を、10分でまとめる」ことで業務を調整することは、充分に可能です(そのための“コツ”もあります)。

 私たちが健やかに働くことは、私たち自身のためだけでなく、被支援者のためでもある。「情けは人のためならず」。肝に銘じたいと思います。

(おわり)

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