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あおのむらさき (詩、朗読)

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過去と云ってしまうには、まだ真新しい言葉たち。 2014→
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記事一覧

新詩集のこと(編集あり)

新詩集のこと(編集あり)

先日、こちらの記事を公開しましたが、詩集の上梓日が変更になりましたので、編集させて頂きました。
(読みながら、あちこち追加しております(太字)一度読まれた方もまた読んで頂けたら嬉しいです)

詩集の刊行は、7月です。

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新詩集を上梓することを決めた。
2年前に上梓するつもりで準備するものの、詩の活動自体を休止したため、無期延期していた。そもそもわたしは「ひつじの箱」で詩

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七月堂のヤバイ本フェア

七月堂のヤバイ本フェア

梁川の第二詩集「ひつじの箱」の版元である七月堂さんの
ヤバイ本フェア がはじまります!
梁川も寄稿させて頂いておりますので、ぜひはじまりましたらご覧ください。
このフェアでは、七月堂から出版されH氏賞受賞詩集「髙塚謙太郎『量』」を特集した冊子の無料配布もあります。TOLTAによる解説、37人の詩人、作家に聞いた「あなたにとってヤバイ作品」(←梁川はこちらに寄稿)これは二度とないチャンスです!

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「そして私は霊媒師になった 2階に住みつく父母の敵を一喝」を読んで思うこと

「そして私は霊媒師になった 2階に住みつく父母の敵を一喝」を読んで思うこと

「なかまある」というサイトの「もめない介護」からの記事「そして私は霊媒師になった 2階に住みつく父母の敵を一喝」を読んだ。

唸った。これこそが「傾聴」だ。文字にすればたった二文字を、これほどまでに実践した例をみたことがなかったからだ。以下の記事を読んで頂ければ分かるが、ざっとまとめてみる。

そして私は霊媒師になった 2階に住みつく義父母の敵も一喝 もめない介護97

義父母が「2階に誰かがいる

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終わりの予感

終わりの予感

風の強い夜。
海の底に引き込まれそうになる。
抗えない。
きっと、こんなふうにわたしは、ここを去るのだから。

明日の来ない夜に、わたしは何を思うのだろうか。

いつも終わりの予感ばかりにフラグが立ってしまう。さよならが怖くて、出会わないことにした。何もうまないし、何も育たない。
生産性に乏しいわたしは、今、ここにいる意味などないことを知っていて、それでも、また耳をそばだててしまう。

一番明るか

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「片袖の魚」全文書き取りをしました

「片袖の魚」全文書き取りをしました

先日、大好きな詩人である文月悠光さんの「片袖の魚」という、文月ファンの私が今最も好きな詩、を全文書き取りしてみた。

細やかな息遣いが聴こえてきた。

句読点。「その」という連体詞の配置。一連目と最終連の同一の一行「あなが誰かのものになっていく。」の効果。

小学生の頃、全文書き取りの宿題をよく出す先生がいた。きれいに書かないと駄目、指定された教科書に載っている小説を10枚以上を書き写すという宿題

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かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを
(アナグラム詩)

かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを (アナグラム詩)

ものさしはひとさえもしやにかく
くさきをたおるしももしらないふゆ

物差しは人さえも視野に描く
草木を手折る霜も知らない冬

しらゆきもふとやさしいはなをたおる
しのひくもにえかくさもしさ

白雪も、ふと優しい花を手折る
忍び、雲に描く、さもしさ

ふたつ作ってみましたが、類似が見られますね。どうしても「手折る」から逃れられなかったことが明白です。「る」ってしりとりでも断然難しいので、動詞にしたか

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ココア共和国11月号やながわの感想

ココア共和国11月号やながわの感想

今月号の詩のレベルの高さは、これまでで一番だったと思う。ひとつ感想(評)を書きおわり、ページを捲ると、また新しい言語に圧倒された。
ココア共和国の成長スピードがあまりにも速く、追いつけない。これは「やばい」レベルだ。ちなみに、これは佐々木さんの編集後記を読まずに書いている。引っ張られてしまう可能性を避けるためになのだが、書き終えた後、読んでみると、同じようなところを取り上げていたり、全く違うところ

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ココア共和国12月号やながわの感想

ココア共和国12月号やながわの感想

すでに1月号の告知が出ているというのに、12月号やながわの感想をやっとUPしている。
さて感想。

「ある日私が完成していたこと」あけめねす
「私」は、一昨日くらいに私は完成していたという。指も足も手も口も「僕」の言うとおりにしか動かない、それって、これまでは僕でないものでも「動かせていた」ということになる。完成した「私」は、川沿いの工場まで行かないことを悲しくない。完成したら「変わってしまう」。

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圧倒的な光と寂寥

圧倒的な光と寂寥

「トレモロ」とは、「単一の高さを連続して小刻みに演奏すること」らしい。「たたん、たたん」という音が表記された詩、「あけぼの」を、まずみてみたい。

 寝台特急「あけぼの」は、二〇一五年に運行終了となったブルートレインのことだ。「今はない」列車の旅は、2050(二十時五〇分)に上野を出発し、638(六時三十八分)に秋田に着くまで続く。作者の見ている風景は、記憶なのか、あるいはまったくの虚構なのか、そ

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ココア共和国10月号やながわの感想

ココア共和国10月号やながわの感想

ココア共和国10月号の感想です、やっと。

 様々な手段で、わたしたちの世界を(これは妄想や、目に見えない世界も含む)切り取る。切り取り方、差し出し方は違えど、「この世界を知ってる?」と微笑む少女のような生きものが現れたり消えたりする。
 出入国自由な此処は、毎月たいそう賑わっている。飛行機で、車で、小舟で、時には空気に紛れ込んだ粒子としてやってくる言葉たち。

 出来るだけたくさんの方の詩へ言葉

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星月夜

星月夜

海の上を水平に二本の帯が進んでゆく
ひかりと、やみの、狭間を泳ぐのは
わたしの脳のうちであり
きみの世界の一部だ

僅かな周期のなかで
わたしの生は保たれていて
ふと、踏み外した階段で
からだを斜めにした
降る前に触れた帯の一糸が
入れ替わり、捻れた

生きながら死んだり
死にながら生きたり
そのことにさえ気付かずに
形態としの硬直のみを畏れていた

あいまいなシグナルを
目をつぶり、

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夕焼けスムージー

夕焼けスムージー

橙色の温かい車内は
とろとろと溶け出しそうな匂いが
混じり合う

電車は駅に止まることもなく
乗っている者たちの眠りを継続しながら、街をくぐりぬけ見慣れた景色の中を周回している

夕焼けの電車の窓に映るのは二重にぼやけた唇の紅

白鳥座から点を残して飛び立った白鳥が
月をペタンと裏返して夜が始まる

このまま眠りから醒めなければ
心地良くしんでしまえるのかも
しれない

銀河を

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お友達の瑠璃ちゃんの詩を朗読しました✨

かくもうつくしきいし

梁川梨里(やながわ りり)

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