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東京

なぜだか焦っていて、隣席の紫煙が流れ込むのが、焦燥の刺々しさにフィルターを張ってくれている気がした。空調のフィルターに絡み付いた埃の臭いと煙草が混じった空気は落ち着く。ここは新宿だな、と思った。いつも行き来している丸の内のような取り澄ました感じも、下北沢みたいな寄り添う感じもない、ただただ剥き出しの人間に嫌気がさす。ここでは、音も、声も、文も、すべて生活に根差していて、地元にいるような居心地の悪さがある。

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