「体験を届ける」ということを考える #CXDIVE

9月4日、株プレイド主催の「CX DIVE 2018」というイベントに行きました。

CX(カスタマー・エクスペリエンス)について考える今回のイベントで、とても心動かされたプレゼンテーションがあったので、その内容と感じたことを共有します。

プレゼンターは、WITH ALS代表の武藤将胤さんという方。
もともと電通でバリバリ働かれていましたが、26歳の時に体の機能が徐々に失われていくALSという難病を発症。ALSの認知を高め、また患者の人々への支援を提供する活動をしています。

まず彼は、自身のように手足が動かせなくなった人でも主体的な活動ができるよう、目線の動きによって音楽活動(DJ)や、スマホカメラの操作、照明の操作ができるサービスをプロデュースしました。

「最低限の補完ではなく、自分らしく拡張された体験を作る。」

足が動かなくなってきても、彼は車椅子に乗ることには抵抗をもっていました。しかし、機能性・美しさともに優れた次世代型電動車椅子WHILLに出会い、愛用するようになりました。そして、このような素晴らしいプロダクトから得られる体験を、一人でも多くの人に届けたいと思い、WHILLを人々の間でシェアするサービスを作りました。

「一人一人にとって幸せな体験を届ける仕組みを作る。」

さらに、ファッションが好きであった彼は、手足が自由には動かせない彼でも快適に、かっこよく着こなせるような服「BORDERLESS WEAR 01」をプロデュースするようになります。こだわったのは、障害と戦う人だけでなく、誰もが着たいと思うようなデザインや機能を追求するということでした。

「誰にとってもバリューがある、新しい体験を作る。」

そして現在、2020年のオリンピック・パラリンピック開会式でのパフォーマンスを通じて、健常者と障害者の垣根を超えた「BORDERLESS EXPERIENCE」の実現を目指されています。

「すべての人の心を動かす体験を作る。」


一つ一つのメッセージが、私自身をはっとさせました。

「最低限の補完ではなく、自分らしく拡張された体験を作る。」
この言葉が、人々を生き生きさせるような体験を提供したいという私自身の思いを熱くさせました。人を生き生きとさせるものはさまざまですが、「自分らしくいられること」はその重要な一つであると思います。自分らしさを発見し表現する場を、力は、どのように人々に届けられるのでしょうか。模索していきたいです。

「一人一人にとって幸せな体験を届ける仕組みを作る。」
どんなに良いモノがあっても、それが人々に体験として届かなければ意味がないのです。何かを生み出すだけではなく、「届ける」ことを意識していかなければならないと、改めて思いました。

「誰にとってもバリューがある、新しい体験を作る。」
体験を考える際には、相手(ターゲットとなるカスタマー)にとって何が最良であるかを考えます。しかしその相手に焦点を当てるがあまり、体験がその人に閉じられてしまうことは、時に最良の体験にはなりえないのかもしれません。
自分にとっての良い体験が、他の人にとっても良い体験であるように願うことがあるようです。体験を共有したい、共有することでつながりを得たい、そんな思いがどこかにあるのではないのでしょうか。
体験価値を届ける相手はそれでよいのか?時に立ち止まって考えることも忘れないようにしたいです。

「すべての人の心を動かす体験を作る。」
心を動かすとは、必ずしも感動させるというだけではなく、相手をポジティブな感情にさせること、と広く捉えられると思います。体験をデザインする者として、相手の心を動かすという意識を常に持つべきである、と胸に刻みました。

新しい気づきが多く得られたと同時に、自分がぼんやりと考えていたことが言語化され、目指す先がクリアになったという実感です。
電通でずっとコミュニケーションについて考えられていた方なので、言葉の力が、とても強い。
その一端を、みなさんも感じ、体験を届けるということについて考えるきっかけになっていたら、幸いです。

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