見出し画像

自分向きの体験デザイン事例集

最近私が心ひかれた体験デザインについての記録です。
3つの事例と、そこから見えた自分の気持ちについて書きました。


1つ目は、イッセイミヤケのホリデーギフト「FLORIOGRAPHY」。デザインファームのTakramが企画を担当しました。

FOLIOGRAPHYは、花のコサージュが、特別なラッピングペーパーで包まれているギフトです。
ラッピングペーパーには、WARMTH・TOMORROW・DINNER・SMILEなどの言葉がたくさんかかれています。ギフトの贈り手は、相手に贈りたい言葉に丸をつけ、そのまわりにメッセージを書いて添えるのです。

相手に何か言葉を贈りたいけれど、最初の書き出しがどうしても苦手。そんな人が一歩が踏み出せるようにした、とデザイナーの方が語られているのを読みました。
新しくて粋なのに、あったかい、素敵な言葉の贈り方だなあと感じました。


2つ目は、自殺を考えている人へ向けたGoogleコンテンツのリデザインに関するアイディアです。Mediumの記事で見つけました。

現在Google検索で "How to kill myself" と打つと、Google側は相談窓口の電話番号を表示するようです。が、相談先をただ提示するというのは不親切だというのが、この記事の書き手であるデザイナーLucasさんの考え。たしかに、自殺方法を調べるまでに追い込まれている人は、「相談したい」ともはや思えていないのでしょう。
Lucasさんのアイディアは、一人ひとりの悩みに寄り添った内容のコンテンツを表示するというものです。"How to kill myself" の検索結果として、"There's always a better choice than taking your own life. Tell us what's bother you.(自らの人生を奪ってしまうよりも良い選択が必ずあるはずです。何に悩まされているのか教えていただけませんか。)" という文とともに、人間関係・健康・社会などといったカテゴリの選択肢が表示されます。カテゴリと、さらに表示されるサブカテゴリも選ぶと、自分と近いことで苦しみ、自殺を考えたけれども踏みとどまった人の体験談やメッセージが現れるのです。

このようなほんの少しの「寄り添われる」という体験が、誰かに頼ってみようかなという気持ちを芽生えさせるかもしれません。これだけでは救いきれないかもしれないけれど。


3つ目は、神保町にある定食屋「未来食堂」。

メインのメニューは一種類だけれども、一人ひとりの好みに応じて作るおかずを提供してくれる、「あつらえ」というサービスで有名な定食屋さんです。ほかにもユニークな制度があり、例えば50分お店の手伝いをすると一食無料券がもらえる「まかない」と呼ばれる制度があります。さらに、この「まかない」による無料券、自分が食べる代わりに誰かにプレゼントができます。お店の入り口の壁にこの無料券を貼っておくことで、通りがかった食に困った人が「ただめし」を利用できるのです。

「誰もが受け入れられ、誰もがふさわしい場所」というコンセプトで作られたこのお店。まだ行ったことはないものの、感じられる音や匂い、流れている空気が想像できてしまいます。


心ひかれたものをこうして集めると、その共通点から、自分の気持ちが少し見えてきます。

愛のある体験を届けたい。
「あなた」や「わたし」を大事にしたい。
一歩踏み出す力になりたい。

そんなふうに、思っているみたいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?