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分からないなりに寄り添いたいという気持ちはある。

新生活が始まった。
中学生になった娘が、「朝読書」に頭を悩ませている。
…いや、頭を悩ませているのは私の方かもしれない。
当の本人は、ぼーっとしていればその15分は勝手にすぎると思っているからだ。

娘は、全く本を読まない。
一方私が彼女ぐらいの頃は、ハリーポッターにハマり、あの分厚い本の続きが気になってどうしようもなく、とにかくページを捲りたくて、ごはんを食べるのも夜に眠るのも惜しいと思っていたほどだった。
当時、書店もAmazonもない田舎暮らしの中学生(私)は、月に何回か、「市内」と呼ばれる都会から通ってくる祖母の彼氏にお土産に本をねだったものだ。
祖父のように慕っていた彼は、南日本新聞の「書評」に載る本や広告掲載される話題の本を片っ端から買い与えてくれた。今でも、本当にありがたいと思っている。

そして娘が産まれてからは、もちろん、たくさんの読み聞かせをした。
絵本はもちろん、あらゆるおもしろいと思う文章は、分からなかろうが聞かせたりした。
私の妹も本好きで、よく読み聞かせてくれていた。
しかし、娘が興味を示すのは「分かりやすくおもしろいシーン」のみ。
幼児であればそれもそのはずなのだが、小学生になろうが、中学生になろうが、その感性は変わらなかった。

「読んで」と持ってくる本はいつになっても「パンダ銭湯」(絵本)ぐらいだった。

漫画なら、と思い一緒に読めそうなものを買ってみたが、どの順に読めばいいか分からないという。
気づけばいつしか我が娘は誘わず、娘の友達と推し漫画交換をするようになった。(やばい、返していないやつがある)

娘が本を読まないこと、それが悪いとは全く思っていない。
読めるなら、読めた方が人生は選択肢が広がると思うが、読みたくないものを強制しても仕方ない、その他の感性を伸ばせばいい、と思っている。

実際、私の大事な友人の中には全く本を読めないタイプの人もいるが、彼女たちは、そのことで特に困ってはいないし、素敵な感性をたくさん持っている。
文字からしか伝えられない感動は、本なりブログから私が切り取って伝え、なぜこれを読んでほしいと思ったのかを添えれば、その後の共感力やその本から広がるトークに関しては、抜群の切り返しを見せてくれて、十分事足りる。
で、娘になぜ今、頭を悩ませているかというと。

「朝読書」は、全員が必ず取り組まねばならないものなのである。
好きな本(制約はあるが)を持ってきていいという。
私の元には以前読書会をしていた頃の仲間や、本好きの諸先輩方が、今でもあらゆるジャンルの本を持ち込んでくれる、というたいそうありがたい環境にある。
そんなこんなで、せっかくのこの娘に訪れた「本を読む機会」を、ぜひチャンスと捉え、活かしてほしい。
これまで諦めていた、一緒に読みたかった本も、これを機に読んでくれるのではないか、そんな淡い期待が私をかきたてる。

ざっと、思い浮かぶ「もたせたい本」を眺めてみた。
自己啓発本、ミステリー、ノンフィクション、有名な本、流行った本、個人的に好きな本…
…ダメだ。
開いて2行、娘の意識がどこかに飛んでいき、結局15分ぼーっとする光景が目に浮かぶ。

本好きさんは、数行が意味がわからなくても、それとなく読み進めることができるだろう。
しかし、娘には、数行が意味がわからなければそこで試合終了なのである。

この、最初の本選びをミスってはならない。
普段はAmazonで欲しい本のみを買うが、今日ばかりはと、あたためた図書カード(娘にお祝いやらでいただくが使う機会のないやつ)を握り締め、書店に足を踏み入れてみた。
眩しい。書店は、時間とお金がいくらあっても足りない、沼である。だから普段は立ち寄らない。
しかし、今日は娘のための渾身の一冊を。

表紙も大事。ブックカバー禁止と書かれていたので、きっと「意味わからない」「ダサい」本は、娘に連れて行ってもらえないだろう。

ハッシュタグ#なんとか、という、時代にのった本。
映画化!と帯に書いた本。
本屋大賞!
ティーン向け!
ありとあらゆる本を、パラパラと覗いた。
あぁ、読みたい本ばかり。
でも、どれも、難しい言葉が出てくる。難しい言葉が一つあると、娘の集中力が一旦途切れる。
はてな?と首をかしげる娘。そのまま、読み進めずにぼーっとするを選択することが容易に想像できる。

そして、娘は自分に語彙力がないことをすでによく理解している。(たとえワードが間違っていようが、なんとなく空気で乗り切れると思っているし実際乗り切れている。)

せめてテーマに興味のありそうなものを、と思ったが、洋菓子店のかわいらしい表紙の本には
「うっとりするような甘い声を朗々と響かせて、語部が提案した。」と始まる。
ろうろう!!絶対わからん。
語部!!名字のチョイス!!田中とかにしてくれ。

前に踏み出す姿に感動の青春恋愛。続々重版!と書いたエモいブルーの表紙の本は
「植物が環境に応じて自身の身を適応させていくように、私自身も周りに同調する。」の書き出し。
いやめっちゃ分かるのよ。言いたいことはわかるし、思春期に刺さりそう。
でも娘には刺さらないよーーーー
植物の適応とか絶対ピンとこないよーーーー
その先は、「植物が環境に応じて自身の身を適応させていくように、私自身も周りに同調する。そうしていれば、仲間外れにならないし、ちゃんと輪の中で笑うことができる。たくさんの仲間がいるから、一人ぼっちになることはない。この場所が私にとって「居場所」になればいいのに、と願った。
けれど、私の心は曇りだし、笑うこともできなくなる。」と続く。
うん分かりやすい。
その先は分かりやすい。
でも、植物が〜のくだりがもう、アウトなのよーーーー

そんなツッコミを、一冊ずつにいれながら、本屋にいたこと数分。
結果これという本は見つからず、自らの気持ちだけがヘトヘトになる。
そして思う、お母さんしてるなぁ、と。笑

こんな、どうでもよさそうで大事な出来事が、新一年生にはめちゃくちゃ積み重なっている。
夜の母(父)たちよ、テーマは違えど、毎日毎日悩みと葛藤の連続、ほんまおつかれ。
当人の気持ちがわからんとは思いつつ、寄り添おうとするこの過程が、もう親として100点。笑

さて、久々に書いたnoteがこれなんだけど、この勢いで私が娘の朝読書用の本書こうかしら。笑
切実。中一、語彙力ない系女子に、オススメの一冊があったら教えてください。

ちなみに、娘は語彙力も運動神経も壊滅的で、音楽も美術もセンスはなく、入りたい部活がないことが悩みのようですが、とても思いやりがあって面倒見がよくて、私よりしっかりしていてユーモアがあって、愛情深くて、これから将来に何の不安も抱えておりません。笑
子育てって全然思い描いてたのと違ってて、おもろいよね。

#今読みたい本
#母という呪縛娘という牢獄
#本の引用ってなんか許可いるんだっけ
#出典とか書く
#こんな個人ブログにはいいんかな
#人生迷いだらけ
#教えて詳しい人


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