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【刑務所からあの至高の山の頂へ】

【刑務所からあの至高の山の頂へ】

P. 90-133 第6章 刑務所、第7章 若い使徒、第8章 光、第9章 自由『天国からのメッセージ』リック・ジョイナー著、マルコーシュ・パブリケーション、2000年7月1日 初版発行より抜粋 (2018年4月現在出版社在庫切れ)

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第6章 刑務所


刑務所の人々

突然、私は大きな刑務所構内に立っていた。今まで見たこともないような巨大な塀があった。何百フィートもの高さで、非常に分厚く、私の視界のおよぶ限り延々と続いているのだ。塀の前には、別にフェンスがあり、有刺鉄線が張り巡らされていた。その塀の最上部には、数百フィートおきに監視塔が設置されていた。それぞれの監視塔にいる監視の姿も見えたが、あまりに遠く離れていたために、細部まではよく見ることができなかった。
その場全体が鉛色をしていて、暗く、陰うつで、その構内に立っている人々の集団を完全に反映しているようだった。構内全体に、人々がそれぞれのグループに分かれて座っていた。老年の黒人男性で一つのグループ、若い黒人男性でもう一つのグループができていた。白人男性もまた、老年層と若年層とで分かれており、女性も同様に、別々に分かれていた。あらゆる人種で、同じようにグループ分けがなされているようだった。幼い子供たちを除いて、はっきりした特色のある人々は、それぞれグループごとに分かれていた。
グループとグループの間を、多くの人々が歩き回っていた。見ていると、その人々は、自分たちによく似ているグループを見つけることで、自分たちのアイデンティティを見つけようとしているのだった。しかしながら、明らかにこれらのグループが、他の人をすぐに自分たちの仲間に入れることはなかった。
これらの人々をさらによく観察すると、彼らには全員、深い傷や多くの傷跡が見られた。子供たちを除いて、彼ら全員、目がほとんど見えず、自分たちのグループにとどまっているのが精一杯の様子だった。自分たちのグループ内では、誰か他の人が自分たちと違っていないかどうか、絶えず見つけようとしていた。そしてわずかな違いでも見つけたなら、その違っている人を攻撃するのである。彼らは皆、飢え渇き、病んでいるようだった。
私は年配の男性に近づき、なぜ彼ら全員が刑務所にいるのかと尋ねた。彼は非常に驚いた様子で私を見、自分たちは決して刑務所になどいないと断言し、なぜそのような愚かなことを聞くのかと言うのだった。私がフェンスや監視を指すと、「フェンスだって? 監視だって?」という返答が返ってきた。彼は、あたかも私からひどい侮辱を受けたかのような顔をした。さらに質問しようものなら、私に飛びかかってきそうな気配だった。
同じ質問を若い女性にすると、やはり返事は同じだった。そこで、彼らの目は見えず、フェンスや監視を見ることができないのだと悟った。これらの人々は、自分たちが刑務所にいることに気がついていないのである。

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監視

私は、なぜこれらの人々が刑務所にいるのか、監視に聞いてみることにした。フェンスの方に歩いて行くと、そのフェンスには、楽によじ登って通り抜けることのできる穴があいているのが見えた。塀にたどり着くと、その塀は表面がでこぼこしていて、私でも楽によじ登ることができた。誰でも簡単に脱出できたのだったが、誰ひとりそれを試みてはいなかった。彼らは、自分たちが捕らわれの身だということを知らなかったからである。
塀の最上部までよじ登っていくと、はるかかなたまで見通すことができ、太陽が塀の向こう側で照っているのが見えた。刑務所構内では、太陽は照っていなかった。塀がきわめて高く、その上を雲がかかっていたからだ。子供たちが集まっていた構内の遠く離れた端の方で火が見えた。この火から立ちのぼっている煙が、構内を覆う厚い雲となり、陰うつで息苦しくさせているのだった。いったい何が燃えているのだろうかと、不思議に思った
塀の最上部を歩いて行き、監視所にたどり着いた。驚いたことに、監視は、教会の教職者しかつけないカラーのついた立派なスーツを着ているのだ。彼は私を見ても、別に動揺することもなく、私を監視の一人だと思ったようである。
「失礼ですが、なぜ、この人たちは刑務所に入っているのですか?」と私は尋ねた。
その質問にショックを受け、一瞬のうちに、彼の顔に恐れと疑いの表情が浮かんだ。
「刑務所だって?」と彼は答えた。
「いったい何のことだ?」
「この刑務所構内にいるあの人たちのことですよ」と、不思議なほど大胆に私は言った。
「あなたは、確かに刑務所の監視ですね。監視所におられるのですから。でもどうして、あなたはそんな格好をしておられるのですか?」
「とんでもない、刑務所の監視だなんて!私は、れっきとした福音を伝える牧師だ。彼らの監視なんかじゃない。霊的指導者なのだ。これが監視所だって?主の家に決まっているじゃないか!いいか、たとえ今の質問が冗談のつもりでも、笑うつもりなどないからな!」
彼はそう言って銃をつかむと、今にも私に向かって発砲しそうな様子だった。
「ああ、お気にさわるようなことを言ってしまいました。どうぞ、お赦しください」
彼が銃を使うにちがいないと思い、私はあわててそう答えた。
そこを立ち去りながら、いつ銃声が聞こえてもおかしくないと思った。その男は精神状態がきわめて不安定で、もし脅威を感じたなら、何も考えずに発砲したことだろう。彼は本気だった。自分が監視だということを、本当に知らなかったのである。

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学校教師

私は塀を歩き、安全だと思える間隔をとってから、あの牧師の方を振り返って見た。彼はひどく興奮して、監視所の中を行ったり来たりしていた。なぜ、私の質問がそれほどまでに彼を動揺させてしまったのか不思議だった。明らかに、私の質問によって、彼が違った見方ができるようにはならなかった。むしろいっそう精神状態が不安定になり、過剰に反応したのである。(中略)次の監視所に近づくにつれ、再び私はその監視の外見に驚かざるをえなかった。今度は牧師ではなかった。年の頃二五歳ばかりの若い女性だったのである。
「ちょっと、お聞きしてもよろしいですか?」と私は尋ねた。
「どうぞ。どんなことでしょうか?」と相手を見下すような態度で、彼女は言った。
(中略)
その若い女性には、なぜ「その場所」に立っているのかと尋ねてみた。彼女はただちに応答したが、私がそんなこともわかっていないのに驚いている様子だった。
「私は学校教師です。教師が自分の学校にいるのは当然でしょう」
「では、ここはあなたの『学校』なのですね」
あえて監視所とは言わずに、私はそう答えた。
「もちろんです。今では、三年間ここにいます。このまま人生をずっとここで過ごすかもしれません。自分のやっていることを心から愛しています」
この最後の言葉はいかにも機械的で、もし追求したなら、さらに何か聞き出すことができたであろう。
(中略)
「(中略)この平和と安全が達成されるためには、何が一番いい方法だとお考えですか?」と私は尋ねた。
「もちろん、教育によるのが一番です。私たちはこの地球という宇宙船に一緒に乗っていますので、仲良くしていかなければなりません。教育によって、私たちは、一般大衆が野蛮で狭量なメンタリティーから解放されるように、その手助けをしています。そして、私たちは全員同じであり、もし全員が社会のために自分たちの役割を果たすなら、全員が共栄するのだということが理解できるよう、彼らを助けているのです」
「これはおもしろい考えですね」と私は言った。
「しかし、私たちは皆同じわけではありません。そのうえ、下にいる人たちが皆、以前よりももっと分裂して、バラバラになっているのは、興味深いことです。ことによると、あなたのその哲学を少し修正すべき時がきたかもしれないというふうには、考えられませんか?」
彼女は、驚きかつ興奮して私を見た。とはいえ、明らかにほんの一瞬でも、私の言葉が正しいと考えたからではなかった。

視力と恐れ

「失礼ですが、あなたの目は全く見えていないのですか?」
ついに、彼女がそう言った。
「いいえ、とてもよく見えています」と私は答えた。
「私は、ちょうど人々の中を歩いて来たのですが、グループ間であれほどの分裂と敵意があるのを見たことがありません。グループ間の争いが今まで以上にひどくなっているように思えるのです」
私の言葉によって、この若い女性がまるで顔を平手打ちされたようなショックを受けたことが、わかった。誰かがこうしたことを言うなどとは、彼女にはとても信じられないようであった。ましてや、こうした言葉にいくらかでも真実があろうなどとは、夢にも思わないといった様子だった。彼女の様子を観察していると、あまりに目が悪く、私の姿もかろうじて見えているにすぎないということがわかった。あまりに高い塔にいるため、下にいる人々を見るすべはなかった。何が起きているか、本当はわかっていなかったのだが、それでも彼女はすべてのものが見えていると、本気で思っていた。
「私たちは世界を変えているのです」
彼女は、高慢にも、そう言ってのけた。
(中略)
二人の女性が塀の上を歩いて監視所の扉の方にやって来た。(引用者注※五十代と思われる黒人女性と、三十少し過ぎくらいの非常に身なりのいい白人女性)(中略)二人とも自信に満ち、威厳があった。彼女たちは目が見えていた。塀の最上部に到達したことからも、それは明らかだった。
驚いたことに、その若い学校教師は銃をつかみ、彼女たちに会うために監視所の外に出たのだ。明らかに、この二人の女性にそれ以上近づいてほしくなかったのである。彼女は、うわべだけは愛想よく、優越感をちらつかせながら、女性たちに挨拶した。彼女たちに自分の優位性を印象づけたいようだった。驚いたことに、その二人の女性はおずおずした様子をみせ始め、自分たちよりもはるかに若いこの教師に、過剰とも言える慇懃な態度を取り始めたのである。
(中略)
傍に立っていた私は事の成り行きに驚いていた。教師はいらいらしながら、私のほうを振り向いた。私がその女性たちに何か言うのではないかと思ったのである。銃を指でいじりながら、彼女は私に立ち去るように言った。婦人たちは、彼女が話している相手を見ようと顔を上げたのだが、私を見ることができなかった。恐れのため、彼女たちは目が見えなくなっていたのだった。
私は、大声でその女性たちに叫び、勇気をもって自分たちの心で感じたことを信じるようにと、嘆願した。彼女たちは、単に何か物音を耳にしたかのように、私のいる方向を見た。彼女たちの耳で聞く能力もまた失われつつあった。これを見て、その若い教師は薄笑いを浮かべた。それから銃を私に向け、ホイッスルを吹いたのである。あたかも、私のことを、もっとも危険な人物であると知ったかのようだった。
(中略)私は、ほんの少し後ずさりするだけで大丈夫だとわかった。この若い教師の目は、それほど見えていなかったのだ。(中略)
二つの監視所の間の塀の上に立って、今までのことをすべてあれこれ思いめぐらしていた。すると、知恵の臨在を感じることができた。
「(中略)恐れのために目が見えなくなることがあるということを覚えていなさい。わたしがあなたと共にいるという信仰をもって歩くなら、行くべき道がつねに見えています。わたしがあなたをそのところに導いて行く人にしか、あなたが見ているものを示さないように、注意しなければなりません。視力は、監視が最も恐れているものです。(後略)」

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第7章 若い使徒

(前略)

目が見えることの価値

スティーブン(引用者注※霊的刑務所にいた若い黒人男性)が確かに私の言葉に耳を傾けているのを見て、彼のあまりの素直さや偏見のなさに感動した。彼とほぼ同年齢のあの教師とは、何という違いだったことか。この若者なら本物の教師になるだろう。言葉を続けながら、私はそう考えていた。
「私たちが究極の視力を与えられるようになると、肌の色や性別、年齢などによって人を判断しなくなります。外見ではなく、霊によって人を判断するようになるのです」
「同じようなことを、教師たちもよく私たち言っていました」
スティーブンは、少し驚いた様子で答えた。
「それでも、少し違いがあります」と私は言った。
「彼らは、私たちが全員似た者同士なのだという考えを植え付けようとしたのです。しかし、私たちは、理由があって、お互い異なった者として造られています。真の平和は、私たちがそれぞれの違いを尊重し合うときに、初めて到来するのです。自分がどういう者であるかが本当にわかると、自分と違う人に対して脅威を感じることなどありません。私たちが解放されていると、自分たちとは違う人たちに対しても敬意を払うことができ、いつもお互いから学び合おうとするものです。ちょうど、今あなたが私に対してそうしているようにです」
(中略)
「(中略)自分と違う人たちから学ぼうとして心を開くときはいつでも、私たちの視力は強化され、ますます見えるようになるのです。(中略)」
(中略)
「自分に与えられているものの中で、目が見えるということがもっとも価値があるということを、心に留めていなければなりません。毎日、視力を強化するのに役立つことをしなければなりません。あなたの視力を失わせるような人やものを避けるようにしてください」
「わかりました。気分が落ち込むことは、まさしくそれなのですね」
「まさにその通りです。落ち込むと、たいていの場合、視力が失われ始めるのです」と私は言った。
「私たちの目的を達成するためには、どんな形であっても、落ち込んだり、失望したりしてはなりません。落ち込むことで目が見えなくなるからです」
(中略)
「(中略)自分の目的を知ることは、視力を強化するために最も有効な手立ての一つです。さらに、それは、失望して視力を失うようなことを避けるための、もっとも有効な手立ての一つでもあります。(中略)」
(中略)
「(中略)実は、すべての場所で真実だと言える、ある一つの大切な原則があるのです。あなたは、生涯、その原則を覚えていなければなりません」
「それは何でしょうか?」
見える範囲でもっとも遠いところまで、つねに行くことができるということです。もし、塀の最上部が見えるのであれば、そこに着くことができるのです。塀の最上部まで行くなら、今まで見たこともないほど、はるかかなたまで見渡すことができます。見える範囲でもっとも遠い所目指して、進み続けなければなりません。さらに遠くまで見えるかぎりは、けっして立ち止まってはいけません」
(中略)
「もし、視力を用いて歩くことをしないなら、その視力を失うことになります。そして、ここで死ぬことになるのです」

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第8章 光


名前を知る

スティーブンは振り向いて、ふたたび塀を見た。「やはり、大きな恐れがあります」と彼は力なく言った。
「自分にできるかどうか、わかりません」
「あなたには視力がありますが、信仰がないのです。視力と信仰は一緒に働かなければなりません。あなたの視力が弱い理由があります」
「どうぞ、教えてください!視力が増すにつれて信仰の成長を助けるものが何かあるのですか?」
「ええ、あるのです。信仰は、知恵が本当は誰なのか、それを知ることからきます。あなたはその方の本当の名を知らなければなりません。その名を知るだけで、あの塀を乗り越えて自由になるための信仰が与えられるのです。その名を知るようになればなるほど、ますます、あなたの途上にある大きな障害や妨げを克服することができるようになります。そしてある日、どんな山をも動かすことができるほどに、その名を知るようになるのです」
「いったい、何という名なのですか?」
スティーブンは、ほとんど懇願するようにそう言った。
「あの方の名はイエスです」
スティーブンは地面を見ていたが、それから顔を上げて宙を見た。信じられないという様子だった。彼の心と頭とで葛藤が生じているのを、私は見ていた。ついに彼は再び私を見た。私はほっとした。その目には希望の輝きがあったからだ。彼は頭ではなく、心の語ることを聞いたのだった。

(中略)

「イエスの御名を用いている人を数多く知っています。ところが、彼らは自由人ではないのです。実際のところ、彼らの中には、私がここで知っている中でもっとも束縛されている人もいるのです。どうしてなのでしょうか」
「いい質問です。私としては、自分の旅で学んだことしか、あなたに言ってあげることができないのですが、それぞれのケースで違うと思います。主の御名を知ってはいても、主ご自身は知らないという人が数多くいるのです。そういう人は、主のもとに近づいて、主をありのまま見ることで自分が変えられるというよりは、主を自分のイメージどおりに変えようとしています。イエスの御名を知っているというのは、単に、その綴りや発音の仕方を知っていることではありません。はるかにそれ以上のことを意味するのです。主は実際にどういう方なのか、それを知ることです。ここから真の信仰が生じます」

すべての主

(前略)
「(中略)もし、あなたに定められていることを成就したいと願うなら、イエスの御名を用いる人に過度に失望したり、過度に励まされる必要はありません。私たちは、主の民に信仰を持つのではなく、主ご自身に信仰を持つようにと召されているのです。(中略)最も失望落胆している人であっても、視力と信仰が回復されることは可能なのです。これが、宝を探す者としてのあなたの仕事になります。どんな人間であれ、私たちは見捨てることができません。主にとっては、彼らは全員宝なのですから。しかしながら、本当に主を知り、真の信仰によって歩くようになるためには、最高の人であろうと、最悪の人であろうと、とにかく主の民を基準にして、主を判断してはなりません」
(中略)
「主は白人の神ではありません。主ご自身、白人ではなかったのです!けれども、黒人の神でもありません。すべての者を造られ、すべての者の主であられるのです。あなたが主イエスをある一つのグループの神として見始めると、主をきわめて小さな枠にはめ込んでしまい、あなた自身の視力をひどく低下させてしまったことになります」
(後略)

新たな旅へ

(中略)
「このフェンスは何でできているのですか?」と彼が尋ねた。
「惑わしです。誰かがフェンスを通り抜けて脱出するたびに、他の人が通り抜けることができるように穴があくのです。すでにここにあいている穴を通り抜けてもいいし、自分で穴をあけてもいいのです」
スティーブンは、有刺鉄線で厚みの増した場所を選び、腕を広げてまっすぐ歩いて行った。彼が進むと大きな穴があいた。彼は、いつかここに戻って来て、今自分があけている穴から、多くの人たちを外に導き出すことになるのか。そんな彼を見るのは、大きな喜びだった。私は知恵の臨在を強く感じたため、もし振り向いたなら、彼の姿を見ることができるとわかった。振り向くと、まさにそうだった。彼の顔にも、私が感じていた大きな喜びを見ることができたのだった。

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“Prince of Peace”©️Akiane Kramarik


第9章 自由


恐れの塀

(前略)
「この塀は何でできているのですか?」
「恐れです」
スティーブンが立ち止まって塀を見た。巨大な塀だった。多くの者は、決してフェンスを通り抜けることをしなかった。これは、スティーブンにとってきわめて重大なテストであった。
後ろを振り向くこともなく、彼は、再び大声でこう言った。
「私がよじ登るのを手伝ってくださいませんか?」
「もし、あなたを手伝ってあげようとするなら、時間が二倍かかって、もっと難しくなるでしょう。あなたが恐れに打ち勝つためには、一人でそれに直面しなければならないのです」
「見れば見るほど、難しそうだ」と、スティーブンがひとりごとを言うのが聞こえた。
「スティーブン、あなたは最初の間違いをしています」
「どんな間違いですか?」
彼がすでに恐れに満たされ、落ち込んだ様子で言った。
「立ち止まっています」
「じゃあ、どうすればいいのですか。足が重くて動かないのです」
「フェンスにできた穴を見なさい」私は言った。
「今度は、あの塀の最上部を見て、そして、歩き始めるのです。塀まで行ったら、とにかく先へ進み続けなさい。止まって休んではいけません。あの塀の壁面にぶら下がったなら、一休みできる所などありません。だから、最上部に着くまで、ひたすら登り続けることです」
(後略)

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高い山を目指して

(前略)
「(中略)あなたが話してくれた人たちのことを考えていました。主の御名を知っていながら、今まで塀をよじ登らず、主の御名を信じる信仰によって歩いたことのない人たちのことです。私もそうした人たちの一人になったかもしれないのです。たとえ下に落ちても、たとえ死んでも、それでも、あの刑務所にとどまるよりは、むしろ死んだほうがましだと思い、決心しました。塀の反対側にあるものを見ないなら、私がするようにと召されている旅をしないなら、むしろ死んだほうがましだと思いました。本当に大変でした。思っていたよりもずっと大変でしたが、そのかいはありました」
(中略)
私は、目にすることのできる一番高い山を見るよう、彼に言った。
「あの山を登らなければなりません。頂上に着いたなら、見える範囲でもっとも遠くにあるものを捜しなさい。これから行こうとするその場所をしっかり確認し、そこまでどう行けばいいのか、その道を探しなさい。そして、心の中でそこにいたる地図を描きなさい。それが、あなたが行くようにと召されている場所なのです」
(中略)
「(中略)最高の宝は、もっとも長く困難な旅の終わりにあるのです。あなたもまた、宝を探す者とされています。あなたは大きな恐れを克服しました。今は、全き信仰によって歩く時です」
「あなたの言われている事は本当です。今は一番高い山に登らなければならないのだと思います。そうでなければ、いつも自分のできることよりも小さなことを選び取るようになってしまいます。(後略)」
「信仰と忍耐はセットになっています」と私は言った。
「せっかちや短気というのは、本当は、信仰がないということなのです。せっかちや短気になるなら、決して神の最高の目的に達することなどできません。単に『良いもの』は、『最高のもの』にとっての最大の敵にもなります。『良いもの』に甘んじることなどできません。今や、あなたが、最高で最善のものを必ず選び取るという生き方のパターンを確立する時です。このようにして、知恵と密接な関係にとどまることができるのです」
(後略)

警告

(前略)
「真の知恵は主イエスです。今では、それがわかりますね。真の知恵とは、主を捜し求めることです。あなたを主イエスのもとに導かないような知恵は、どんなものでも偽りの知恵なのです。主イエスは、必ず、あなたを自由にします。偽りの知恵は、必ず、あなたを束縛へと導きます。しかしながら、真の自由は、最初は束縛のように見えることがよくあるし、束縛はたいていの場合、最初は自由のように見えるものなのです」
(後略)

訓練の必要性

「招待される者は多いが、選ばれる者は少ないのです。多くの者が婚宴に来ますが、花嫁になるのは少ないのです」
私たちは振り返り、知恵が後ろに立っているのを見た。彼は、スティーブンが言っていたように、若いスポーツマンの姿をしていた。
「あなたの前に設けられたレースを走りなさい。今は理解できないほどのすばらしい賞品が用意されています。そのレースに備えるためには、訓練が必要です。今は、義のために自分を訓練しなさい。わたしはすべての者を、走るようにと召し出しています。ところが、勝つために走る者はわずかしかいません。勝つために自分を訓練しなさい」
(後略)

(終)

P. 90-133 第6章 刑務所、第7章 若い使徒、第8章 光、第9章 自由『天国からのメッセージ』リック・ジョイナー著、マルコーシュ・パブリケーション、2000年7月1日 初版発行より抜粋(2018年4月現在出版社在庫切れ)

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“The Call” by Rick Joyner
https://amzn.to/2ZehHCD

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【関連聖句】

『10 見張り人はみな目が見えず、知ることがない。彼らはみな口のきけない犬、ほえることもできない。あえいで、横になり、眠りをむさぼる。11 この貪欲な犬どもは、足ることを知らない。彼らは、悟ることも知らない牧者で、みな、自分かってな道に向かい、ひとり残らず自分の利得に向かって行く。』イザヤ書56章10~11節聖書 新改訳©2003新日本聖書刊行会

【巻末付録】終わりの日の闘いに挑む主の戦士達の為の預言的啓示シリーズ・リンク集

①第一章 地獄の大軍が行く
P.14-17『ファイナル・クエスト』リック・ジョイナー著、生ける水の川・発行より
https://note.mu/risingdestiny/n/ncfe369341790

②【刑務所からあの至高の山の頂へ】
P. 90-133 第6章 刑務所、第7章 若い使徒、第8章 光、第9章 自由『天国からのメッセージ』リック・ジョイナー著、マルコーシュ・パブリケーション、2000年7月1日 初版発行より抜粋 (2018年4月現在出版社在庫切れ)
https://note.mu/risingdestiny/n/n1b1027de04ca

③【三つの主の軍隊】
P.136〜152 第10章 軍隊『天国からのメッセージ(原題THE CALL)』著リック・ジョイナー、マルコーシュ・パブリケーション発行より抜粋(2018年2月現在出版社在庫切れ)
https://note.mu/risingdestiny/n/nf2449b6d82ef

④【主の都市】
P.153〜161 第11章 都市『天国からのメッセージ(原題THE CALL)』著リック・ジョイナー、発行マルコーシュ・パブリケーションより抜粋(2018年3月現在出版社在庫切れ)
https://note.mu/risingdestiny/n/n1d520e895d48

⑤『聖なるたいまつと御霊の剣』(未邦訳)リック・ジョイナー著、「第3章 馬と少女」P.50-52, 53-55より
『The Torch and the Sword』2003 by Rick Joyner「Chapter three; The Horse and the Girl」『聖なるたいまつと御霊の剣』(未邦訳)リック・ジョイナー著、「第3章 馬と少女」P.50-52, 53-55より
https://note.mu/risingdestiny/n/n75b0bf8f8e96

(巻末付録終)

【福音】新しく生まれ変わる!(新生の祝福)
https://note.mu/risingdestiny/n/nb11945f61b7a

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