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silent 6話感想文(DC版含む)

silent放送1周年記念?木曜更新の各話感想文6話です。

結局放送されたのが完成版では?という気もしますが、私はsilent制作陣を全面的に信頼しているので、課金して(しかもお安くない)円盤を買ったファンに届けようとしてくれたDC版を信じる。
放送されたのしか見てないよー、シナリオブックもDC版もネタバレしないでーという方はここで閉じてくださいね。よろしくお願いします。

トークインベントで村瀬Pが仰っていた「世の中の考察はほぼハズレ(でも楽しませてもらいました)」という言葉は常に胸に刻んでおきたい。
これは考察とかではなく、ただの私の偏愛の叫び集です。

※確認不足のシーンもあるかと思います。申し訳ございませんが、ご指摘下さると助かります。
不快に思われる方はどうかここで閉じて下さいませ。

6話はsilentにしてはめずらしく、脚本通りにいかなかった話なのかも、と思います。
圧倒的に時間が足りなかったのかなあ。
でも最後の奈々のシーンが素晴らしかったのでよし。
シナリオブックとDC版で補完できるし!
シナリオブックにしかない(しかもわりと重要!それは言ってくれないと分からん!というような)シーンが多いのでいつもより引用多めでいきますね。

大学生想くんの回想シーンから。
周りに頼れない想くんが孤立していくのをまざまざと見せつけられる。
しかもこれ、2話で紬の電話でれなかった教室のある大学で、俺じゃなきゃ良かったねって言ってた頃の想くんだよなと思うとしょっぱなからもう胸が張り裂けそうです。

奈々とセミナーで初めて会って話すシーン。
想くんの内面を見てる側も奈々と一緒に聞く構造になってるのうまい。
そして想くんの苦しみに寄り添うほどに、奈々が静かに聞いてくれることに見てる側も一緒に救われていってしまう。ううう、うまい。

(奈々に友達にノートテイクしてもらえば?と言われて)
想「大学でも、話しかけてくれる人とか、みんな気を遣われてるとしか思えなくて……友達とか、そんなの全然」
(中略)
想「全部嫌で、大学で(補聴器)着けないでいたら、話しかけられたのに気付かなくて無視するなって……」

「silentシナリオブック p190下段」

このシーン、見てる方が息するの忘れるほど、ずっと音楽が入らないのがすごい。
制作陣のこの余白を作る覚悟にほれぼれしてしまう。
高校時代のキラッキラしてしてる想くんが全員の記憶にあって、紬や湊斗と同じようにそこから8年間のことを知らなくて再会して、そこを知っていくことでどんどん想くんに寄り添っていってしまう……。

このシーンの最後、想くんのモノローグでカットされてる部分がすごく好き。

想M「音がなくても楽しめることはいっぱいあるよ、と言って、外に連れ出してくれた。真似をするみたいに手話を覚えて、静かに生きていけることを教えてくれた」

「silentシナリオブック p193上段」

“真似をするみたいに手話を覚えて”って、すごく重要じゃないですか!?
想くん手話独学だと思うんだけど、そんなこと可能なのかなあっていうのと、8年間奈々としか手話で喋らないってそんなことある?って思ってたけど、
実はあるかもしれない、ってすごく説得力のあるセリフだと思う。

しかしこの回想シーンの夏帆さんすごい。
いいところのお嬢さんなんだろうなっていうのと(現在のターンでもにじみでてる、余談だけど毎回着てるコートが可愛い)
この後の春尾先生との関係性でも出てくる耳が聞こえないからこそ、きっと葛藤が多かった人生だったからこそ、正しくて強い感じがひしひしと伝わる。佇まいの圧倒的存在感の説得力。
川口さんもずっと素晴らしいけど、夏帆さんも素晴らしい。
あと字がとても可愛くて癒される…。

そのまま回想シーンで、想くんが奈々と2人だと思っていたのに美央ちゃんがいて居心地悪くて席立ってしまうところ。

美央「安心して。これから他のろう者の友達も来るから。男の子も呼んでるから」

「silentシナリオブック p193下段」

“男の子も呼んでるから”ってカットされてるんだけど、この一言が本当にうまくて唸っちゃう。
この一言で想くん席立っちゃったんじゃないかなと思う。
奈々ちゃんの“俺まだ聞こえるし”って想に言われて“一緒にしないでってこと?“って言うのも切ないんだけど、
それとはまた別で、
想くんの奈々とは喋りたいけど友達を作りたいわけじゃない、でも奈々のことを恋愛的に好きなわけじゃないって、いやそれも分かるけど、でもそれはあまりに酷すぎる。でもきっとそれが佐倉想……。
ここのもやもやする感じ、あとで華ちゃんがきっちり回収してくれます。
まじで脚本が鬼。(褒めてます)

あとあれだよね、コガセンのハガキの“高崎グランドールホテル”ね笑。
スノ担喜ばせてくれてありがとう!
こういうの、すごくフジのドラマって感じする!笑

5話の最後、すっごいお腹減った!って言った紬ちゃんとお好み焼き屋さん行ってるの可愛い。
ここで奈々から電話かかってくるシーン、すごい好き。
『電話』って裏テーマここから始まってる。
通話ボタン押しちゃう奈々。
代わりに出てって紬にお願いする想くんのシーン、とてもとても好き。
想いあまって通話ボタン押しちゃう奈々と、その時聞こえる女の子と一緒にいてその子に電話出てってお願いする想の対比、震える。

奈々からの電話で明らかに不安そうになってる紬に
「この人も耳聞こえなくて。ちょっとドジっていうか。リュックのチャック開いてたり」って言っちゃうところー!もうーー!想くんさあ!!!笑。
そんなこと聞いてないし、聞きたいわけじゃないんだよう!
しかも寂し気な紬、ってト書きのあとに、想安心した様子で笑って、ってト書きがある。
このすれ違い、酷すぎる!ああもう!なんておもしろいドラマなんだ!
想にグッと寄り添ってから、ちょっと女子の気持ちとしてついていけない感じ出されると、紬ちゃんと一緒に恋してるみたいな気持ちになってしまうじゃないか……。

その後、DC版にだけ入ってるシーン。

奈々の会社
奈々、スマホを見る。
想からのLINE【なんだ。びっくりした】と。
奈々【電話、想くんが出たの?】
想【一緒にいた人がでてくれた】
奈々「……」
奈々、トーク画面の通話履歴を削除する。

「silentシナリオブック p197下段」

トーク画面の通話履歴を削除させるのうまい。
奈々も拗らせていっちゃう。
それに奈々はずっと映画の返信待ってるのに、誰かと一緒にいるんだ……ってなる。ああ、こっちも恋してる。大変だ。

その後、シナリオブックにしかないシーン。
ほんとに友達?っていうセリフは本編の店内で言ってます。

レストラン・外
店から出る紬と想。
2人、手話で
紬「ビデオ電話、しなくて大丈夫?」
想「大丈夫。話し出すと長いから」
紬「(手話せずに)……ほんとに友達?」
  想「ん?」と
紬「(首を横に振って)ううん。じゃあ、またね。ごちそうさま」
と、手を振り、想に背を向けて歩いていく。
想「……」
声をかけそうになって、やめる
紬を追いかけ、肩を叩く。
紬「(振り向いて)ん?」
想「次、いつ会える?」
紬「あ、次……あ、じゃあ、シフト確認して、LINEするね」
想「(頷く)」
紬「うん。うんうん(と何度も頷く)」
2人、目が合って照れくさくなって笑う。

「silentシナリオブック p197下段」

ここの会話もめちゃくちゃいい。
“話し出すと長いから”って、ああいつも奈々と長くビデオ通話してるんだ……って思っちゃう。
でも追いかけて次いつ会える?って聞いてくれてめっちゃ嬉しい気持ちになれたり。
もう片思いの思考になってしまう。
やっぱり想くんのとなりにいると、真子が言ってたぽわぽわ女子じゃいられなくなるんだよなあああ。
奈々のこと気になって寂しい気持ちになってても、次いつ会えるって聞かれてうんうん!って何回も頷く紬ちゃんかわいい。
こういうところが紬のかわいいところだと思う。
結局照れくさくなって笑いあっちゃうところとか、この2人きっと高校の時から相性というかノリが合うのよな。
あと、
“想「……」
声をかけそうになって、やめる“
ここ!映像化して!欲しかった!ほんとに!!!!
あと、紬がごちそうさまって、そっか想くん……いつだって伝票持ってくれる男子。めっちゃ想くんぽい。

この後の光くんが湊斗の部屋にいるシーン、なんでいきなり光くん湊斗の部屋にいるんだろうと思ったらDC版に入ってたし、なんで2人とも急にアイス食べてるんだろうと思ってたらちゃんとシナリオブックには書かれてた。

湊のアパート
湊斗、冷蔵庫を開けて、
湊斗「お腹減ってる?」
光「アイス食べる」
と、冷凍庫を開け、アイスを2つ出して
光「あげる」
とアイスを1つ渡す。
湊斗「ありがと」
2人、アイスを食べながら

「silentシナリオブック p200上段」

この辺カットされてても光と湊斗の関係性がちゃんと書かれてるから、まあそんなもんかな?って納得しちゃうんだよねえ。
でもこうやって補完されてみると、よく分からせたなって感心してしまう。
ちょっとシーンが前後するんですが、DC版に入ってるシーン、
そのまま光と湊斗の会話で、

湊斗のアパート
光、湊斗にスマホで写真を見せて、
光「あっ、ねえ、これ姉ちゃんにもらった。いいねえ、青春だねえ」
湊斗「ああ、これ想がすごい写真嫌がってさあ、拓実とかが無理やり。だからあんまりばら撒かないでね。ばら撒く相手いないか(と笑う)」
光「……」

「silentシナリオブック p202下段」

このさ!!!コガセンのフットサル場で撮った写真がすごくいい!!
あー見られて良かった、本当にDC版ありがとう、ありがとうDC版……。
この写真って世の中に出てないよね……?もったいなさすぎる。
写真を想が嫌がって、っていうエピソードもすごくいい。
ああ、6話だけでも90分スペシャルで撮り直してほしい……。

この写真、こっちでも出てきます。これもDC版に入ってる。
華と萌のシーン。

萌、スマホで写真を見せる。
想と湊斗たちのフットサル場での集合写真。
華「え、楽しげじゃん」
萌「ね、時々湊斗くんたちとフットサルしてんだって。萌、感謝されてもいいくらいじゃない?」
華「へぇ……え、最近の想、こんな写真送ってくれるほど元気なの?」
萌「あー、違う違う。これは、あの紬ちゃんの……あ、うん、共通の知人から……」

「silentシナリオブック p202上段」

自撮り送ってくる事“元気なの?”って表現する華ちゃんいい。
この後はシナリオブックにだけ。
私、実は律子さんに引き続き華ちゃんもあまり得意じゃないんだけど、このシーンの姉妹の会話めっちゃ好き。

佐倉家
華「共通の知人?奈々ちゃん?」
萌「違う違う。違う知人。あ、でもあれだね。奈々ちゃんにとってもよかったかもね。お兄ちゃんに他の友達できて」
華「いやー、嫌でしょ」
萌「そうかな。奈々ちゃんこそお兄ちゃんのお守りじゃん。他に相手してくれる人いたほうがいいでしょ」
華「いやいや、だって奈々ちゃん好きでしょ。想のこと」
萌「……そうなの?」
華「そうでしょ。知らないけど、普通にそうでしょ。想、でしょ」
萌「え……だとしたらこんなにずっと2人でいて付き合わないわけなくない?」
華「想は好きじゃないってことでしょ」
萌「……ド正論じゃん……」
華「(呆れ笑いで)普通にそういうことでしょ。わかるでしょ。萌やば。恋愛偏差値低っ」
萌、写真に写る紬と想を拡大して、
萌「……」

「silentシナリオブック p203上段」

さすがお姉ちゃん!辛辣で最高すぎる!
分かってなかった萌ちゃんもあまりにも妹で可愛い。
この姉とこの妹の真ん中っ子の想くんめっちゃ大変そうで、不憫可愛い。
回想シーンで想くんにもやもやした感じ、ここでお姉ちゃんが一刀両断してくれてスッキリする。
奈々ちゃんには本当に申し訳ないけど。
でもこれがやっぱり恋愛なんだよな、好きな人が自分を好きだとは限らない、優しくしてくれる人が自分を好きだとは限らないっていう……。
この辺、実に普遍的な恋愛モノなのに、そんなにドロドロしてなく見れる演出のさじ加減が天才。
あとばらまかないでねって湊斗に言われる前に萌に写真見せてる光、好き、かわいい笑。

はい!みんな大好き、想と湊斗の焼肉デート!
ここめっちゃいいよね~、もうずっと2人で焼肉食べててほしいよね~!
湊斗がめっちゃ焼いてあげてて想くんモグモグ食べてるだけなの、めっちゃかわいい、めっちゃ好き。
余談ですが、このシーンの前に鈴鹿くんがsnowmanのtiktokで目黒君が焼肉食べてるの見てイメトレしたって言ってて、目黒君があれ参考にしないで~!って言ってた可愛さ限界突破エピも書いておきますね。
すんごい食べてるもんね、あれ笑。


話を戻して、チラッとだけできた会話もシナリオブックではかなり深く話してます。

焼肉屋
湊斗「最近、実家帰った?」
想「(首を横に振る)」
湊斗「多分知ってると思うけど、俺、萌ちゃんから聞いて。想の耳のこと」
想「……(頷く)」
湊斗「俺のせいで、おばさんたちにも心配かけただろうなって。気になってて」
想、「大丈夫だよ」と首を横に振る。
湊斗「あんまうまくいってないの?」
想、【母親に気遣われてるし、気遣ってる】と。
湊斗「……」
想、【姉ちゃんと萌には、そのせいで迷惑かけてる。父親はその仲介で大変だと思う】と。
湊斗「……」
想【ここ8年そんな感じ】と。

「silentシナリオブック p209上段」

“ここ8年そんな感じ”って地続き感あって好きなセリフ。
地元の友達ならではこの会話良い。
家族のことも知ってるからこそ気になってる湊斗くんほんとにいい子。
あとお父さんの事もないがしろにしてない想くんもいい子。

このあともシナリオブックにしかないシーン。
紬の部屋に真子と光と紬がいて、

紬のアパート
光「佐倉くんってさ、彼女いるの?」
紬、手を止めて光を見る。
紬「……」
真子「え、なにそれ」
光「彼女じゃないって言ってるけど、彼女に近いものがいるって。湊斗くんに聞いた」
紬「あぁ……高校卒業してからできた友達、一人だけいるって言ってて。多分その人」
真子「彼女じゃなくて?」
紬「友達って言ってたけど……」
光「ちゃんと確認したほうがいいんじゃない?」
真子「うん、確認して。この短いスパンでまた振られんのはまじで見てらんない。こっちがしんどい」
紬「……」

「silentシナリオブック p209上段」

駅前で待ち合わせした想くんに(紬にほんとに真っすぐ見てくるねって言うところ)こないだの電話の人、どんな人?って紬が聞くの、
ずっと不安そうにしてるから聞いてもおかしくはないんだけど、文脈ないし唐突感ある割に決心して言った感じするしな?って思ってたらこういう事だった。
この短いスパンでまた振られるの見てらんないって言う真子ちゃん好き。
やっぱりこれだけの事言われてたからあそこで切り出したんだなあ。
真子ちゃん、いつも紬の背中押してあげててえらい。

想と奈々のシーンね、目黒連くん良いお芝居です。
奈々が言いすぎてしまう気持ちも分かる。
“ずっと奈々の気持ち無視して曖昧にしてたけど”
って、そ、そんな……!ってなるよね……。

そこからの奈々の夢が切ない。
想も奈々も聞こえてる設定なのに、奈々の中に音がないから一切音がしないの切ない。
(でものちにこの切なさを救うのもまた想っていうのが、本当にこの物語のおもしろいところだと思う)

そして夢からさめて、シナリオブックにしかないシーン。

奈々、頬の涙を拭う。
スマホを見ると想からLINEがきている。
【またあとでゆっくり話せる?】と。
奈々「……」
奈々、返信せずにLINEを閉じる。
検索エンジンで【手話ふぁみりー】と調べる。

「silentシナリオブック p216上段」

諦めずにLINE入れてる想くん……。
そして想じゃなくて紬に矛先が向かう奈々……おおおう。
そんなすぐに偶然会えるもの?って野暮は事は言わないお約束。

奈々と紬が対峙するシーン、紬が私注文します、何にしますか?って聞くんだけど、
“奈々、注文できないと思われているようで複雑“
っていうト書きでなるほど、ってなった。

図書館の回想シーンね、いいよね、ほんとに。
やっぱりこの2人には2人だけの世界があって、壊れなくて良かった、って思う。
でもさでもさ、“奈々だけに通じればいいから”
ってほんとに。佐倉くん。そうかもしれないけど、でもさ!笑
奈々といると落ち着く、とかさ!
一生懸命手話覚えてくれて、、、そりゃ好きになるってば。
でもそことは別に分かり合えてる2人は尊いなって思う。

そしてここでも想くんなんでそこにいたのって言わないお約束。
ここで裏テーマの電話を大回収。
想「ごめん。離れてたから。なんでLINE無視するの?」
(めっちゃいいところで余談だけど、想くんってLINEの返事絶対もらえると思ってるのが、モテてきた人生なんだなって思う)
想からの着信が鳴ってるスマホを、想の前で耳に当てる奈々。
“想、心苦しく電話が切れない。“
ほんっとに素晴らしい…………。
想くんは今まで何気なくしてきた行為だからこそ、
そこまでさせてしまったっていう表情、ほんっと素晴らしいんだよなあ。ああ。
目黒蓮さん、よいお芝居です。
silentってこのシーンもだし、想くんが紬のイヤホン耳にするシーンとか、見てる側にものすごい『ひっかき傷』を作るドラマだと思ってて、だから1年経った今でもこんなにいっぱい話したくなるんだろうなって思う。

素晴らしいまま7話に続きます!


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