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silent 3話感想文(DC版含む)

すっかり秋らしくなってきましたね。
ああ、Subtitleが沁みる空だ……。
さて、silent放送1周年記念?木曜更新の各話感想文3話です。
結局放送されたのが完成版では?という気もしますが、私はsilent制作陣を全面的に信頼しているので、課金して(しかもお安くない)円盤を買ったファンに届けようとしてくれたDC版を信じる。
放送されたのしか見てないよー、シナリオブックもDC版もネタバレしないでーという方はここで閉じてくださいね。よろしくお願いします。

トークインベントで村瀬Pが仰っていた「世の中の考察はほぼハズレ(でも楽しませてもらいました)」という言葉は常に胸に刻んでおきたい。
これは考察とかではなく、ただの私の偏愛の叫び集です。

※確認不足のシーンもあるかと思います。申し訳ございませんが、ご指摘下さると助かります。
不快に思われる方はどうかここで閉じて下さいませ。


湊斗くんの優しいモノローグで始まる3話。
人が恋に落ちる瞬間の映画はハチクロですね……。竹本くん役、櫻井翔くんでしたね……(余談)

同窓会の回想シーン。
“想の姿はない”のト書きが苦しい。

この回想シーンのファミレスでの紬ちゃんがほんと良くて。
あとで真子ちゃんにもチクチク言われたりするけど笑、想くんがいなくなったから湊斗にいったんじゃないの?って思われそうなところを、
川口さんの抜群の演技力で『ああ、これは湊斗くんに寄りかかりたくなる、好きになっちゃう』って納得させてしまう。
「犬と猫、スペース、仲良し」ってここで2話の“パンダスペース落ちる“をリフレインさせてきてうまい。紬と湊斗が過ごしてきた年月を感じさせる。
それに、ここのwifi掴まえてくれる湊斗くん、いいよねえー!こんなことされたらときめいちゃう。
ちらほらと差し込まれるハイスペック湊斗くん。良い。
なんとなくいいところにお勤めしてそうな雰囲気も醸し出てるし。
そんな湊斗くんの、
「やればできるってやらせるための呪文だよ」
このセリフにどれだけの女子が救われたことでしょうか……。
ああ、湊斗くん。
でもここでも紬ちゃんはコンポタって言うんだよなあ。
そしてシナリオブックには「帰りに自販機で買おう」ってセリフまである。ううう。コンポタめ。

そして湊斗の優しいモノローグは続きます。
“その誰かが店に来たらどうしよう”
“その頃にはもう、その誰かは、”
“想は、”
この湊斗くんの想へのこじらせ方が大変好きです!!!
湊斗くんらしい詩的なモノローグも好き。
紬が湊斗と想の間で揺れるように、湊斗も想と紬の間で揺れてるんだよね。
1話の感想文で、
“しかし私はこの時点ではまだ男女の過去と現在の三角関係的な恋愛ものなのかなあ、よくある男女の面倒くさい事にならないといいけど、なんて思ってた。“
って書いたんですが、よくある男女の三角関係だけど、この湊斗くん目線が入るのが本当に良くて。これがsilentの勝因だと思う。
話を戻します。
このモノローグを聞かせながら、紬と想が一緒にいるところを見せて(嫉妬してる……?)って思わせておいてから、あの優しく切ない声で、聞こえないのに、「想!」って呼びかける湊斗くん。
あああ、この辺のどちらとも取れる展開のうまさに何度唸ったことでしょう……。
見てる側はまだ湊斗くんの本心を知らないので三角関係のフラストレーションはたまっていくし(本当はちがうんだけど湊斗イライラしてるように見えるし)、紬のヒロイン感は増していく。
これが最後に一気に崩されるあの瞬間私はsilentと心中することに決めたのでした。

場面転換。
想と奈々が会うシーン。
しかしほんとにsilentって丁寧に丁寧に積み重ねていくので、ここまで来ても想くんはまだ紬とカフェで話した後の時間軸にいます。
想くん、8年誰とも連絡取ってなくて友達奈々しかいなかったのにいきなり激動の1日すぎる笑。
ここでSNSで公開された未公開シーンにもあった、想くんが奈々ちゃんに向かって「落ち着く」って言うシーンがDC版には入ってて。
ああ、もう、そりゃ本心かもしれないけど、それを奈々に言っちゃうところがー!佐倉想なんだよなー!となります。どんどんみんなの想いが絡み合っていきます。いいぞいいぞ。

このだいぶ後に奈々のことを「2人で唯一会う友達だから」とか「奈々としか喋らないから声が必要ない」って想くんが言うの、そんな事ある……?って思ったけど、やっぱりそんな事あるのかもしれないなあ。うう。想くん。

さて、家に帰ってきた紬。
(そんなすぐ洗濯物たたむ?って思わないでもないけど、混乱した気持ちの時に単純作業をしたい気持ちはわかる)
光くんが
「(佐倉くんに対して)湊斗くん的には俺になんも言うことないんか」
「……って思うんじゃない、知らないけど」
って言うんだけど、この時点で湊斗の気持ちを唯一的確に分かってる光くん、ほんとにいい子で泣ける。

そしてカフェにいる想くんと奈々ちゃん。
ここで想に湊斗から電話かかってきて、この湊斗の想を傷つけるかもしれないって思いよりも自分が信じたくない気持ちを優先してしまうところ、やっぱりこじらせてて好き。
「おや?湊斗くん?」ってなんとなく腑に落ちない気持ちが見てる側に芽生え始める。うまい。
あと、なんで想くんが奈々に手話教室のHP見せたのかはいまいち分からないんだけど、奈々が想が持ってる想のスマホを触ってスクロールする感じ……う、うまい……!これは女子が見たら警戒アラーム鳴るやつ。
そのあとのフォークくださいって言いに行ってくれた想くんを見てる感じとか、「家族の前でしか声出さないの?」って聞く感じとか!
あああもう警戒アラーム鳴りまくり。
さすが夏帆さん、絶妙な女子を演じるの上手すぎる。

その奈々ちゃんの後に春尾先生が「大学の時にボランティアで……」とか言うから、春尾先生と奈々ちゃんの相関図の年齢調べちゃったよね笑!
奈々が手話教室のHPじっくり見てたのもそうかなって思ったりして(そうだよ!)ああ、初見楽しかったなあ笑。

湊斗の会社まで会いに行く光。
DC版では
湊斗「車、気を付けてね」
光「(笑って)いつまでそれ言うの」
湊斗「(笑って)ごめん」
ってシーンが入っていて、光が湊斗に執着する理由がなんかあるんかな?って思わせててうまい。
シナリオブックとDC版で一番解像度が上がるの光くんと萌ちゃんだと思うんだけど、本当は2人ともちゃんと愛を持って描かれてたんだなあって……もったいないけど仕方ないよね。
だからこそDC版で出してもらえてほんっとにありがたいです!!!
だからこそこんなに!感想も書いちゃう笑!!!

この後も本放送にはなくてDC版に入ってるシーン。
萌ちゃんが自分の部屋でネイル塗ってる時に光から電話かかってきて、光に八つ当たりされて萌が不機嫌になるんだけど。
若い二人同士らしい会話で可愛いし、当人同士で話すことじゃないって思えるほど大人じゃなくて弟、妹って立場が可愛らしいし、ネイルしてる萌ちゃんがめっちゃらしくて可愛いし、ひよりちゃんの演技可愛いし。
この後から本放送で律子さんが入ってきて、お兄ちゃんの様子見てきて交通費あげるからって言うシーンで、なんで萌ちゃんが機嫌悪かったのかこのシーンがあると分かる。
本放送ではいきなり理由もなく不機嫌MAXで、ブラコンだから紬のこと気に入らないのかなあ……ああこういう面倒くさいタイプの子かぁと思っちゃったの、もったいない。

この後みんなが100万回リピートしたシーン。
タワレコの前でばったり会う想と紬。
仕事終わるまで待ってるね、って。
はあ、目黒連さん良い演技です。
そしてこの後の待ち合わせ、シナリオブックのト書きでは、

街灯の明かりの下で本を読んでいる想。
本を持つ手元が影になる。
顔を上げると紬が本を覗き込むようにして、わざと影をつくっている。
想、微笑んで、紬を避けて本を読み続ける。
紬、本を追いかけて、影をつくろうとする。
何度か同じ事を繰り返して、笑えてくる二人。

「silentシナリオブック P103 下段」

ってなってるんだけど、きっと雨降っちゃったからカフェで待ち合わせになったんだよね。
silentロケが多いからかもしれないけど、雨でもロケ強行してるからかもしれないけど、わりと雨も味方になっててやっぱり“持ってる“ドラマって天も味方するんだなって思う。
お店の内と外で手話で会話するのすごく良かったし。
しかしこのト書きも2話の最後と同じく「笑えてくる2人」なんだよなあ。
ね、2人でいると笑えちゃう。
でもだからこそ、紬が想に今は好きじゃないって言っちゃって、それもこの時の本心なんだろうけど、泣けちゃうんだよね。
えー二股とか思わせない丁寧さがほんとに好き。
そしてこんな時でも(きっと2人分の)伝票持って席を立つ想くんがとても良いです。好き。人となりがどんどん分かってくる演出うまい。

そしてここもSNS未公開シーン公開で世に出た、本放送にはなかった春尾先生と湊斗くんのシーン。
いつもの居酒屋さんで、友達が耳聞こえなくなったの受け入れられないんです、って話をするところ。

春尾「家族とか、恋人とかって、未来を見据えて一緒にいるじゃないですか。でも、友達って、今を一緒にいる人というか。瞬間を共有して楽しむ相手だから。」
湊斗「(頷いて)はい」
春尾「だから、急に未来が変わっちゃうと受け入れられないんですよ、きっと」

「silentシナリオブック P106 下段」

実は湊斗くん、別れる決心を徐々に決めていってたと思うんだけど、わりとこれパンチ力あったんじゃないかなあ。
この会話を受けての「すんなり受け入れて手話まで覚えて」ってセリフだし。
何回も書いてるけど、こんな風に人と人が影響しあって物事が進んでいく物語がすごく好きです!
それでこそ人と生きてる意味があるというか。
でもだからこそ、人間関係断ち切っちゃった想くんのことも浮き彫りになってきて、切ない。けどドラマとしてめっちゃおもしろい。最高。

そしてここはシナリオブックにしかないシーン。
どうしても脳内再生してほしいので引用します。
萌ちゃんが想くんの部屋に来るところです。

想のアパート・前(夜)
想、帰宅し外階段を上がっていく。
萌、想の部屋のチャイムを何度も押している。
足音がして階段のほうへ目をやると、想がやってくる。目が合う二人。
想に駆け寄る萌。
想「(ん?)」
と、萌の頭にポンと手を置く。
萌、想を見上げて、
萌「(手話で)……交通費ちょうだい」

「silentシナリオブック p107上段」

萌の頭にー!ポンとー!手を置いてほしかったよねー!!!
でも生方さんこのシーン書いてくれてありがとう。最高です。

この後の想と萌の会話の中でDC版にしかないセリフで、
“萌、少しイラっとして
萌「別にお兄ちゃんがいいならいいんだけどさ。萌関係ないし。」“
って萌が結構強く言って、兄妹ケンカっぽくなるんだけど、
この後紬の家まで行く想に割とびっくりしちゃった訳が分かってスッキリした。
合わせてこのシーンもシナリオブックにしかなくて、さらにスッキリ。

想「じゃあ、ここで」
奈々「帰らないの?」
想「ちょっと行くとこある」
奈々「出た。イヤホンの子だ」
想「(頷く)」
奈々「(冗談交じりに)告白でもするの?」
想「病気隠してたこと、ちゃんと謝ろうと思って」
奈々「(へえ、と頷く)……」

「silentシナリオブック p109下段」

紬に会いにだけ紬の家の近くまで行っちゃうのって、想くん結構すげえなって思ってたけど、ここまでちゃんと段階を踏んでもらえると納得できるし、
ああやっぱり想くんも突飛な行動する子じゃなくて、ちょっとずつ覚悟決めたんだなあって思えて良かった。
この後にアパートの近くにいるんだけど話せる?ってなるのは分かる。

そして想と向き合うことになっちゃったてんとう虫湊斗くんですが。
想にちょっとそこで待ってて!とか、ほら、行くよ!って言う湊斗くんいい。
こじらせてたけど、面と向かうと昔に戻ってていい。

紬と電話してる時に
「落ち着いて、急がないでね、転ぶから」
とか言うの、湊斗ばっかり紬のこと好きみたいに聞こえるけど、これを湊斗に言わせるくらい紬も甘えてたんだろうなって思って切なくなったり。

そしてここでようやく湊斗くんの想への本心が分かるわけなんですが、ここまでの積み上げが相当すごいので見てる側へのショックも大きくて、
今まで見てたことが全部ひっくり返る爽快感(感情としては心臓ちぎれるくらい切ないんだけど)が本当にやばい。
一気に湊斗の気持ちに寄り添ってしまう。
それにわりと紬の前ではポロポロ泣いてた想くんだけど、この3話の最後、湊斗が泣きながら訴えた事が分からなくて流す涙がはじめての悔し涙で、ほんとに目黒くんのお芝居が素晴らしいよ……。

高校生の想と湊斗の素晴らしい回想シーン。
シナリオブックにしかないセリフ。
想に湊斗が追い付いて、

湊斗「なんで逃げんの」
想「うわ、湊斗の声だって思って」

「silentシナリオブック p114下段」

湊斗の!声だって!思って!!!
あああああ、本当にこの脚本は鬼すぎる(褒めてる)
ここも撮って欲しかったけど、もうあの2人の笑いあう顔でなんもいらんって気持ちになったので良いです。素晴らしいです。

そして全部ひっくり返された事によって、ここまで三角関係とか二股とか、ヒロインぶってた紬が一気に外野に放り出されるのがたまらなく良い!
このドラマ相当やばいぞ、と思い始めた3話でした。

来週は運命の4話です!

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