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silent 2話感想文(DC版含む)

silent放送1周年記念?木曜更新の各話感想文2話です。
結局放送されたのが完成版では?という気もしますが、私はsilent制作陣を全面的に信頼しているので、課金して(しかもお安くない)円盤を買ったファンに届けようとしてくれたDC版を信じる。
放送されたのしか見てないよー、シナリオブックもDC版もネタバレしないでーという方はここで閉じてくださいね。よろしくお願いします。

トークインベントで村瀬Pが仰っていた「世の中の考察はほぼハズレ(でも楽しませてもらいました)」という言葉は常に胸に刻んでおきたい。
これは考察とかではなく、ただの私の偏愛の叫び集です。

※確認不足のシーンもあるかと思います。申し訳ございませんが、ご指摘下さると助かります。
不快に思われる方はどうかここで閉じて下さいませ。

1話の最後、想くんへの気持ちを募らせたまま迎えた第2話。
満を持して想くんのモノローグ回。
これ毎週人を変えて(つまり視点を変えて)続いていくのかと思ってワクワクしたけど3話の湊斗くんで終わりだった……。
前半のピークだった5話までにそれぞれに感情移入させるために荒技だけど効果的だったと思う。

DC版には放送中にSNSで公開された未公開シーンの卒業式のお母さんのシーンが入ってて、先にシナリオブックで読んでた想くんの「免許がんばるわ」ってセリフがどうなってるかドキドキしたけど結局入ってなかった。
だってでも、いかにも想くん言いそうじゃないですか?
お母さんに「だって助手席に乗せたいんだもん」って言われて、「免許がんばるわ」って。
この返し卒業式の男子高校生らしくてすごく好き。そしてすごく切ない。

この想くんのお母さん、律子さん。
実はちょっと苦手で……。
ドラマ的に嫌な人(本当にいじわる、物語を進めるだけの役割の人、裏切り者など)が出てこないのでsilent好きになったところもあるから、嫌いってわけではないけど、最後まで苦手だった律子さん。
でもシナリオブックで補完された部分ですごく納得。
想が発症したころに病院に通ってるシーンのモノローグ。
受け入れられない律子と落ち着いているように見える想の対比。

想M「小さい頃からちょっとでも何かあると大げさに心配してすぐ病院に連れていくくせに医者の言うことは信じようとしない。今回は特にそうだった。」

「silentシナリオブック p53上段」

これー!!!この文章を想くんが読んでくれることによって、律子さんへの理解が深まっただろうに。
この毒まではいかないけどモンペな感じ。子供のことを考えてそうで、実は自分が大事な感じ。
このお母さんなんか苦手って最後まで感じてた私の感覚間違ってなかった!ってこの部分読んだ時になった。
ちゃんとそういう設定だったんだねえ。ちょこちょこお姉ちゃんと萌ちゃんがこういう事言ってたけど、あの2人が言うと対想くんの気持ちも入るから、このモノローグ上手だなって思った。
このすごく嫌な人じゃないけど、なんか苦手って塩梅もうまい。

さて、2話といえば全話通してもかなり重要なシーンであろう、大学生の想と紬の公園のシーン。
その前に大学で想くんが紬からの電話に出る気になれなくて入る想のモノローグ。
“耳が聞こえなくなるだけならまだ良かった。
 自分が苦しむだけならまだ良かった。”
この、男の子らしい幼い正義感と愛情がものすごく佐倉想で、もどかしいというか切ない気持ちになるんだけど、最後まで想のこの性質がすべての原因になっていくのが『正しいか正しくないかではなく、生きてる人を描いてる』ドラマだなあって思う。

そしてここでまたカットされてる想のモノローグ。

想M「悲しい顔するんだろうな、泣き出すかな」

「silentシナリオブック p54下段」

ねえええー!!!
私がモノローグ大好き芸人だからそう思うのか。
絶対これあったほうがいいよね。うーん、後半とダブると言えばダブるんだけど。
あとやっぱり読むのと聞くのじゃ印象変わるのもあるのかもな……。
でもここ、たたみかけて欲しかった。もっと切なくなりたかった。
でも(これもずっとそうなんだけど)それは想くんの気持ちであって紬の気持ちじゃないんだよっていう……。そのすれ違いが恋する男子なんだけど。ああああ、切ない。

そして紬ちゃんが想くんの方に来る前に鏡で前髪直すじゃないですか。
そこの想のト書き。
『想、愛おしいなと思って見て、見てないふりでそっぽを向く』
わあああもう!!!天才か!!!目黒連さん良い演技です!!!
そのあと駆け寄ってきた紬の前髪がせっかく直したのに乱れてて直してあげて……ああ、完ぺきすぎる。

電話の話の時に紬ちゃんが
「佐倉くんの声聞くたびに思うんだよね、好きな声だなあって」
って言うこの言葉。
どれだけ想くんが嬉しくてつらかったか、これもまた何話もかけて解き明かされていく。
分かる、何気ない一言が大切であり傷でもあることって、ある。

そして結局打ち明けられなくて。想くん、って呼んでもらって。
はい、1話で重要だったシーン。
タワレコの視聴機で仕事中の紬がスピッツのアルバム『フェイクファー』の6曲目を聴いていた意味。

さよなら、君の声を抱いて歩いてく
ああ、僕のままでどこまで届くだろう

スピッツ『楓』

これは隠れオマージュというか分かる人には分かればいいくらいの種まきだったと思うけど、分かった人はのたうち回ったよね……なんてことするんだ。しかもこれ、まだ続きますからね。脚本、鬼か。(褒めてます)

そしてここでまたカットされてる想のモノローグがシナリオブックにはあって。
名前呼んでもらって、ごめんね、って想くんが困ったような笑顔で言うところ。
みなさん思い出せましたか?

想M「好きになってごめんね」

「silentシナリオブック p58上段」

そして一人歩きだして泣き出してしまう想。

想M「俺じゃなきゃよかったね」

「silentシナリオブック p58下段」

なんでー!いやでも完成形が正解なのでね、これはもう私のモノローグが大好きという性癖なんでしょう。
この想くんの一人よがりで幼くてだからこそ大事で切ない恋心。silentの真骨頂だと思う。

そうしてようやく、時間軸が今に戻ってきまして。
駅前で落ちるパンダを数えてる紬ちゃんです。ここまで内容濃すぎて、えっと今ってなんだっけ、ってなるよね笑。
実は1話から全然時間経ってなかった。すごい。

この「パンダ、スペース、落ちるって検索して」って湊斗が紬に言うセリフも可愛いだけじゃなくて2人の歴史を感じさせていい。
付き合ってる2人にしかないこのノリというか、共通言語というか。
しかもそれは3話でわかる。うまい。
一世を風靡した湊斗くんの優しさの象徴だった『コンポタ』も、これって伏線だった?ってちょっと思ってるので、それはまた出てきたら書きたいと思います。
泣きだした紬の背中をさする湊斗くん。ここで何も聞かないのすごい。圧倒的彼氏。

そして一方、想と奈々。イヤホン4万円もする?ってカフェで会話するシーン。
ここもSNSで未公開シーンが公開されて、カフェ出てから奈々がイヤホン返す時に聞いといてね、っていうシーン、DC版には入ってないんですね。
未公開は全部入ってるのかと思ってたから、やっぱりここでももう一度取捨選択してるのか!ってその編集魂に脱帽、敬服。
てことはこの世にはまだ出てない撮影済の未公開シーンがあるかもしれないってこと……?うう。なんでもするので全部見せて下さい。

ここから湊斗に想から紬の連絡先分かる?ってLINEくるのが本当にうまくて!
本当は自分が連絡を取りたくて想と話したくて勇気を出して連絡したのに、ずっとずっと返信待ってたのに(既読になってるし)紬の連絡先教えてって連絡が来て『え?』ってなるんだけど、
1話でミスリードされてるからやっぱり紬と想を会わせたくなくて(紬>想だから)そう思ってるように見える。
いや想くんもさあ……でもこの湊斗には返信できなくて、でも結局甘えて頼っちゃうところ、分かってくれてると思っちゃうところがものすごく佐倉想で、佐倉想の萌えポイントでもあるので。

そしてようやくあのカフェで紬と想が会うんですが、想くんが差し出したスマホのアプリに向かって喋りながらテンパっちゃう紬ちゃん。
ああ、絶対に想くん、高校生の時に橋の上で告白されて「録音するから待って」ってスマホ触りながらテンパってた紬ちゃん思い出してるやん……涙。
ただただ今の様子が可愛いというのももちろんあるし、あの時を思い出したのもあるし、紬変わってないなあって思ったはずで。
こういう2人の時間をちゃんと積み重ねていくsilentが好き。信用できる。

そしてこのあと、DC版ではカフェを出てじゃあねって逆方向に歩き出す2人のシーンがあって。ここでもかみ合わないタイミング。うまい。

このあと、紬と湊斗がそれぞれ真子と拓実に(おそらく想くんのことを)話してる時に差し込まれる、想くんが1人で部屋で仕事してるカットの効き具合が凄い。一瞬なのに全部持っていかれてしまう。今の想くんの生活をここで見せるのうまいよなあ。

そしてDC版ではあのみんなが100万回見たであろうもう一度カフェで想と紬が会うシーンの前に、紬が春尾先生と話すシーンがあって。
あの彼と約束できました、って嬉しそうに話す紬に春尾先生が
「手話ない方がいいかも、覚えてやったぞってこっちの都合でしかない」
って言うんだけど。
silentって何かモヤっとしたり、これって……と思う事があっても登場人物がすぐにそれを指摘するようなセリフを言うのでまじでストレスが溜まらないんですよね。
それも言い訳がましくなく、その人の意志を持って話してくれるからいろんな考え方があるなって捉える事ができる。
このシーンも春尾先生なら言うかもなって思える言葉で溜飲を下げる事ができて良かった。

あのカフェのシーンねえ、良かったよねえ……。
こうやって書きだしてみると2話すごいな。いやずっとすごいんだけど。
“今は泣かせない人がいるの?”って切り込むところが、めっちゃくちゃ高校時代のイケイケにモテてた佐倉想のまんまで良かったです。うううわあどの口が言うとんねんってなったけど。
高校生の可愛いお付き合いだったとしても、8年越しに会った女の子にそういう事を言っちゃえる間柄だったっていうのもわかるし、
見てる側は“わああああそれ!湊斗なんだよ!”ってなるのもうまい。はあ。

あと特筆すべきは、
映像で見ても伝わったけど、シナリオブックで改めてがーんと思った最後のシーン。

紬「教室行って、手話、勉強してる」
想、頷いて
想「(手話で)指文字、わかる?」
紬「(何度も頷いて)指文字ね!覚えた!全部覚えた!」
想「(指文字で)あ」
紬「あ!」
想「(指文字で)あ」
紬「あ!」
想「(指文字で)あ」
紬「あ!」
想「(笑い出す)」
紬「ねえ、遊んでるよね?」
じゃれあうように笑い合う二人。
(中略)二人、なんとなく別れにくく、見つめ合う

「silentシナリオブック p80上段」

がーん、ですよ、がーん。
もう一瞬で高校生の時の空気感に戻っちゃうんですよ、この二人は。
湊斗と紬、お似合いだなあ、いいカップルだなって思い始めてたところに、これはがーんとなっちゃう。
なんかやっぱりそっかあ、って思った瞬間に電話かかってきちゃうんですよね、湊斗くんから。
ここで見てる側は湊斗くんにシンパシーを感じてしまう。
そして当然、紬が想と楽しそうにしてるから湊斗はショックを受けてるんだと思わせられる。
はあああああ、うまい。

誰が1人に過剰移入っていうよりは、ああ、この人の気持ちも分かる、この気持ちも分かる、全員好きになっちゃう、ああもうどの未来も選べない!ってなるのがsilentが見応えあるところ。

最後に。
1話では役者目黒連に転がり落ちたんですが。
2話で想くんがフリック入力しないのが解釈一致~!やっぱり湊斗くんがバリバリ商社マンやってるのに比べて、この想くんの時が止まってる感が……うううって胸を熱くしてたら、あれは中の人がフリック入力できないからだ、というのを目にしまして。
えええ!?待って、目黒くん!?イマドキの若者なのに!?ってびっくりして興味が出てきて、Snowmanの動画を漁るようになり……あああ想の中の人が楽しそうに笑ってる、歌ってる!?お、踊ってる!!??てゆうかなにこの素晴らしい愛しい若者たちは……!ってあっという間に沼落ち……笑。
4話までの間にその時この世で手入るすべてのSnowmanの円盤をかき集めることになったのでした。

ではまた来週!次回運命の3話ー!

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