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ついったがXに変わった

「フッ……世の中わからんもんだ まさかお前も『X』の人間だったとはな」
「『尽逸汰(ツイッター)』の宿将、在波 津位鱈(アルファ・ツイッタラ)、ここまでです。この微譜(ビップ)がお命頂戴」

時は三国、数多の栄巣縁椅子(エスエヌエス)がユーザーの獲得という戦国の世を繰り広げている中、
要害の地を攻め落とされ敵方である『X』の手に落ちた『尽逸汰』の将軍、在波・津位鱈。

まさに土壇場の光景と言えよう、敵方の離間の計略にまんまとはまり、味方と思っていた微譜・煮譚楢(ビップ・にちゃんねら)を信用し、
十重二十重の計略にかかり尽逸汰の猛将在波は後ろ手に縛られ跪かされXの陣幕に引き立てられていた。


「ご自慢の青龍偃月刀はここじゃ もはやここから脱出する術(すべ)などあるまい」
「これほどまでの計略を重ねねば膝を地につかす事さえできんとはな……!手こずらせおって…」
「よもやこの男を捕らえる方法があったとは…」

Xの将軍達が口々に騒ぎ立てる。微譜はよく通る静かな声で在波将軍に言い放った。

「言い遺すことはありますか」

「貴様、このような方法で俺を負かして本望と言えるのか」



「何と?」

「間諜(スパイ)だったとはいえ貴様とて『尽逸汰』の将だったであろう。
最期にこの俺といくらか斬り結んで己の武がいかほどまで高まったのか知りたくはないかと言っているのだ」

━━にわかに陣幕内が騒がしくなる。このバズりに微譜にも僅かな動揺が走る。

「世迷言を…!その手には乗りません。武器を与えられたらその機に乗じて囲みを破るつもりでしょう」

「嘘は申さん。力比べが終わればこの命、貴様にくれてやろう。
この在波、戦場に活きる者(インフルエンサー)として戦いの中で華々しく散る事こそが望みよ。
さあどうするのだ!貴様も男ならこの在波・津位鱈の戦場の武(フォロワー数)を知ってみたくはないのか!!」

「ぐっ……!わ、私は……!!」

片手で剣刃を在波の首筋に保持するも、もう片手で頭を抱え明らかな迷いを生じさせる微覇。
しかしそのざわめく陣幕内に涼やかな声が透った。在波はすぼまった瞳孔でその声の主を見た。



「そのような迷った太刀を振り下ろしても首級(くび)は落ちぬぞ」


「貴様は……!言い論・増す駆(イーロン・マスク)!!」

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