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「氷上の王、ジョン・カリー」(映画鑑賞メモ)

5月31日公開のドキュメンタリー映画「氷上の王、ジョン・カリー」を、UPLINK吉祥寺の朝一番の上映回で見てきました。

私が男子のフィギュアスケートを特に好きなのは、剛と柔を両極端とするスペクトラムの好きなところを自由に表現できる部分。ただ、それが当たり前にできなかった、「男性選手は男らしく滑るべき」と言われた時代がそれほど遠くない過去にあり、それを変えたのがジョン・カリー。

私がフィギュアスケートを(テレビで)見始めたのは、80年代後半からなので、その当時はすでに、ジョン・カリーが、芸術を融合させた「新しいフィギュアスケート」を作ったあとの時代だったわけです。

フィギュアスケートの世界の話ではあるけれど、「男は男らしく」という、今も根強く残っているステレオタイプを扱っているという意味で、より普遍的なテーマの映画としてみることができると思います。

それにしても、古い映像でみるジョン・カリーの体や動きの美しさ。バレエのようで、バレエとは違う美しさでした。フィギュアスケートの振り付けについて、(おそらくカリーが?)「バレエと違って、フィギュアスケートでは体の筋肉を動かさずに移動できる」と語る部分があって、フィギュアスケートが単に「バレエ的」ではなく、独自の芸術であることを表す、わかりやすい例だと感じました。

そんな古い映像を見ながら、ところどころで、今滑っている何人ものフィギュアスケーターさんの姿が重なって見えました。現在のフィギュアスケートを見ることなく、カリーさんが亡くなられたのがとても残念です。

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UPLINK吉祥寺では、フィギュアスケートの衣装デザイナーの伊藤聡美さんの衣装展も開催されていました。

宮田大地「グラディエーター」(2018-19)。試合では遠くからしか見られない衣装ですが、パーツひとつひとつがとても細かいのです。

(了)

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