第2章《ユウとカオリの物語 -ジェンダー編-》両想い(カオリのつぶやき)

わたしの恋愛は基本片想いだった。側にいられればそれでよくて、そもそも両想いになれるって思ってなかった。ただ、隠すことはしないのでバレることもあるし、相手もわたしを憎からず思っていたら付き合うことになる。
結局、相手から言ってくるわけで、わたしはそりゃあ嬉しいからお付き合いしましょってなるわけ。

あ、わたしが片想いしてない相手が言ってきたときは、ごめんなさいってなるわよ、当然。

まあ、そんな感じで両想いになると楽しいよね。しあわせだったりもする。
けど、これが曲者なのよね。
相手の気持ちが遠のいて片想いになってしまうと、結構辛い。
振られたんだから次に行けばいいっていう人はいるけどね、そういう人は片想いが基本じゃないんだと思う。

そもそも片想いがしあわせなわたしは、振られたとしても相手への想いは変わらない。片想いに戻ることになる。
わたしが好きなんだから側にいようって思っちゃうのね。
相手の気持ちは相手のものだし、それはそれでしかたない。けど、わたしの気持ちはわたしのものだし、まだ想ってるんだからしかたない。
そんな感じ。

けど、これって結構しんどいこと。
両想いになって付き合ってたことがあるだけに、かなり辛いんだよね。
で、そのうち薄れていく。薄れてって友達の感覚に戻るとホッとできる。

あ、そっか。片想いっていずれ淘汰されるんだな。
片想いのまま終わった恋はいくつもある。片想いだからいつのまにか薄れたんだろうな。いつのまにか自然にだから、薄れて友達感覚に戻ればそれでOK。そうして、今でも友達って人もいる。

両想いになった人への片想いも淘汰される。
けどさぁ、、淘汰していく過程は辛い。いつのまにかじゃないからね。

隣で寝息をたてているユウを眺めながら、そんなことを考えていると、なんだかザワザワしてしまって、ユウの鼻をつまんだ。

「あ、、ごめん。寝ちゃってた、、」
飛び起きたユウが、わたしを見て変な顏をした。
起こされてムッとしたかな、、ごめんなさい、、

「ああ、、カオリ、一人で飲んでて寂しかったよなぁ。。」
そう言って、ユウがわたしを胸元に抱き寄せた。
あれ?ユウの胸元濡れてるよ?

「わたしね。。片想いはもう嫌なの。」
ふと口をついて出た言葉に、ユウが吹き出した。
散々笑って目尻を拭いながら、わたしの顔を覗き込んで言った。
「だったら、大丈夫だね。何も心配しなくていい。」

わたしのザワザワはスゥっとひいていった。
安心ってこんな感覚

つい今しがた、わたしの腕の中でかわいい声を聴かせてくれてた彼女が、今はわたしの頭を撫でている。
わたしたちはずっと、こんな関係を望んでたんだなぁ。。

☆☆ 二人で小説書いてます。「ユウとカオリの物語」シリーズ ☆☆
過去のものも、よければ読んでください。
https://note.com/moonrise_mtk/m/mafeab246795b

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