誤字を愛でる⑤ カタカナにご用心

昭和6年生まれの私の母は、スパゲティのことを「スパゲチ」と呼んでいた。私の高校の先輩のお母さんは「スパゲテー」と言っていたそうだ。
慣れない音を、自分のものとして取り入れることは難しい。スパゲティとかスパゲッティという音は、彼女たちの世代にとってはハードルが高かったのだろう。

誤字を見ていても、カタカナの誤字は結構多い。Webで見かけるものはおそらく、多くがタイピングのミスだと思う。
「ベ」が「バ」になっていたり、「フェ」が「フォ」、「ウ」が「プ」になっていたりするのは、ローマ字入力する時にキーを一つ打ち間違えたのだろう、と推測できる。

タイプミスしたとしても、打ち終わったときに、字面を見て「これは違う」と感じるかどうかが、誤字を防ぐ大きなポイントになる。
カタカナは漢字のように意味を伴わず、音だけを示す文字だからこそ、違いを見つけにくいのかもしれない。外国語由来の言葉ならなおさらだ。

いまだに見かけるのが、コミュニケーションがコミニュケーションになっているもの。私も時々混乱するのだけど、英語の綴りを思い出すとわかる。communicationだから、「コミュ」だよね、って。
今は「コミュ障」っていう言葉もあるから、「コミニュケーション」という間違いは今後減っていくのかもしれない。

私自身は老眼のせいで細かいところが見えなくなり、カタカナでは濁点と半濁点を見間違えることが多い。画面に目を近づけて、再度の確認が必要だ。

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