誤字を愛でる⑬ ドアー、バッヂ、せしめる

今回は誤字の話ではありません。
意外なところに古い日本語が残っている、というお話です。

先日行った個人病院に、X線検査のできる小さな部屋がありました。その入り口に、注意書きを印刷した板が貼ってあります。そこに、こんな表現があるのが目を引きました。

(撮影の時に介助者がいる場合)「X線防護服を着用せしめること」
「ドアーを閉めること」
「フィルムバッヂ」

「せしめる」「ドアー」「バッヂ」... どれも、一昔前(ふた昔前?)の表記(言葉遣い)ですよね。この病院は比較的新しく、まだ開院して10~20年くらいだと思うのですが、この表示だけ時代が違う感じなのです。

こういう表示って、専用の業者が作っていて、そこから買って貼り付けるんでしょうか。それにしても表記が古くないですかね...?

もしかしたら、この注意書きの板は新しいものではなく、院長先生が、親御さんや恩師から引き継いだ注意書きかも...と思ってもみました。でも。注意書きの板は新しく、それほど年代物には見えません。

こんなところに、古い日本語がまだ残っているんですね。
言葉っていっぺんに変わるわけじゃなくて、少しずつ少しずつ変化していくのだなあ。同じ時代の中に、色々な年代の言葉が共存しているものなのだなあ...そんなことを考えさせられました。

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