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オナイウ阿道についてわかってきたいくつかのこと

オナイウ阿道が躍動している。

躍動しているなんてもんじゃない。ここまで15試合に出場して10得点と、得点王街道を驀進中。

今季まだ3分の1しか終了していないというのに、大都会関東からド田舎山口へ移籍した途端、突如?ブレイクして過去4シーズンの総得点に並ぶゴールを挙げてしまっている。

「サッカー界の大田泰示」と呼んでも差し支えないだろう。


正直なところ私は、この「オナイウ阿道」について、レノファに山口に移籍してくるまであまり知らなかった。

もちろん名前は知っている。インパクトのある名前に、高校総体3位と五輪代表という実績。

ただ、名前と比してそのプレーぶりについては、贔屓チームの選手ではなかったこともありよくわかっていなかった。

「怪物」「高い身体能力」「なんかやりそうなポテンシャル」などふんわりとしか知らなかったのだが、まさかの山口移籍にてプレーをまじまじと観る機会を得た。

千葉では3シーズンで62試合に出場しているものの、うち50試合が途中出場。今季レノファでは開幕からレギュラーの座を確保しているため、シーズン出場時間は既に自己最多を更新している。私としてもけっこうな時間プレーを観ることが出来た。

なので、このあたりでひとつ、オナイウ阿道とは一体何者なのかを記してみようと思う。

どだい僅か15試合分の素人の知見であるため、もっと過去から彼を知る人からすれば当たり前であったり、見当違いであるかもしれないが、そこは入門編と思ってご容赦いただきたい。


それでは、オナイウとは何なのか、どういった選手で、何故ここまでなかなか活躍できなかった選手が山口で爆発しているのか、その心の内へ分け入ってみよう。(ナレーション:松重豊)


①身体能力が半端ない

まず彼を観た誰もが思うところが「オナイウ半端ないって、あいつ身体能力半端ないって」だろう。これについては誰も異論はないと思われる。


②五分のボールに滅法強い

高い身体能力というのはそれだけでは意味がない。問題はそれをどうプレーに活かすかだが、オナイウの身体能力を存分に体感できるのが「五分のボール」に対するプレーではないかと思う。

ぽいんぽいーんと跳ねているボールに対しておしくらまんじゅうをさせたら随一というか、ルーズボールというか球際というか、誰のものでもないボールを自分のものにしてしまう能力は極めて高く感じられる。


③ポストプレイは得意ではない

「身体能力の高いセンターフォワード」ということならさぞかしポストプレイも得意だろう、と思いがちだが、ここまで観た限りポストは上手くない。

これはポストプレイというものが、身体能力だけでなく技術への依存度が高いという証左なのだろう。日本には「体は大きいがポストが上手くない」というセンターファードが多い。逆に佐藤寿人など、体は大きくないもののポストが上手い選手もいる。

オナイウも持てるパワーを活かして相手ディフェンスを押さえ込もうとするのだが、手を使ってファウルになってしまったり、しっかり背負った状態では堪え切れないことが多いように見える。パワーは申し分ないはずなので、このあたりは体の使い方など技術がまだまだなのだろう。

また、楔のボールを受ける際に胸や肩などで「トンッ」とダイレクトで落とす、というプレーを好んで選択するが、体感的には8割がた相手ボールになっている。同様に、せっかく上手くキープしてもその後のパスがアレということが多い。まだまだ精進が必要だ。

あと余談だが、相手デヘンスの背後を突く「裏抜け」もすこぶる苦手ぽいので、ここはチームメイトで裏抜けの大家である岸田和人や高木大輔にしっかり伝授していただきたいところ。


④体勢は不十分なほど良い

ドンピシャのクロスに合わせるとキーパー正面に打ってしまったりするが、こぼれ球への反応だったり、下がりながらの謎ボレーだとか、反転しながらの謎シュートなど、無理な体勢であればあるほどトンデモないシュートが放たれる。

逆に止まったボールを蹴るのは苦手なんじゃないかと。本人がプレーするのかどうかは知らないが、ゴルフは苦手だと勝手に決めつけている。


⑤余裕は無いほうが良い

先ほどの体勢不十分とも関連するのだが、(恐らく)本能的にプレーする度合いの高い選手なため、変に考える時間があるとよくない。(失礼)

十分にスペースがあって、余裕をもって前を向いた状態だと謎プレーが発動しがちである。


⑥タッチ数は少ないほど良い

これも④⑤と関連してくるが、ダイレクトやツータッチ以内で選択されたプレーは成功率が高い、気がする。

逆に3、4歩ドリブルするとその後の選択肢はよく分からない感じになる。



上記を踏まえて、オナイウがボールに関与する際、どういった状態のときが期待値が高いのかを簡潔にまとめてみたので、観戦の際の参考にしていただきたい。

まだまだ観察途上であるので、これからさらに強みや弱点など、新たな特徴が発見されてくると思われる。引き続き調査を続行したい。


そして最後に、なぜここまで、そのポテンシャルを期待されながら発揮しきれていなかった男がブレイクしているのか。

ひとつには、本人のコメントにもあるように「スタメンで使ってもらえているので監督からの信頼を感じている」というのはあるだろう。十分な出場機会を与えられることで伸び伸びとやれているのではないか。ここまでの努力やレノファ加入後の練習で得たものがようやく花開いたというタイミングだったのかもしれない。


さらに私の考える要因としては「今年のレノファに来た」というのが大きかったと思われる。

ここまで挙げてきた特徴から、霜田レノファの志向する「敵にも味方にも高いインテンシティを強いるハイテンポなサッカー」というのがバッチリ嵌っているのではないか。

この長州力ばりのハイスパート・フットボールこそが、オナイウの本能に加えて、練習で仕込まれた動きを最大限に発揮できる条件となっている、と本紙は睨んでいる。

先日の大分戦なども、相手は明らかにグラウンド(寝技)の攻防で探りを入れてきているのだが、レノファはお構いなしにトーキック→ストンピング→ブレーンバスターと矢継ぎ早に技を仕掛けまくっていた。(残念ながらリキ・ラリアットは決まらずに引き分けとなったが。)

逆に、霜田レノファがじっくりとポゼッションしていくようなサッカーを志向していたら全然だったかもしれない。このあたりは仮定の話になるが。


ということで、なんかこう…自分にピッタリなチームに来てしまったんだよ、オナ。

今は余計なことは言わないでおくから、残り27試合も頑張っておくれ。

期待してるぞ。



それではみなさん、Até breve, obrigado.


※トップ画像はレノファ山口公式より引用しました。

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