Artifactは戦略性が面白いからこそ流行らない

steamを開発し割れのはびこっていたゲーム業界に革命を起こした、あのvalveがだした新作ゲームArtifactやっていますか?
Artifactってなんだがすごい難しそうにみえて、嫌煙する人も多いと思います。私もはじめて見たときは全然ルールが理解できませんでした

それでもやってみようと思って、今ではすっかりドハマリしています。

なぜやってみようと思ったか。それは、ハースストーンをはじめとしたデジタルカードゲームが好きということ、とにかく複雑そうに見えるがやってみたら慣れるし楽しめるようになることがわかっていたから(それは、アグリコラやCOJやDreadnoteといった一見複雑だが非常に奥深いカードゲームを体験してきたからです)。

そう分かっていても、Artifactをはじめた当初は覚えることが多すぎてわけわからなくなっていました。必死にくらいついていたら朝日が昇っていました。幸いピック表があるのでとりあえず強いカードはわかる状態からのスタートです。(なぜ強いかは使っていって理解していきました)。ゲームの流れは繰り返せば簡単に身につき、非常に多い各種キーワード能力も、ゲーム中は毎回注釈をみていたので、自然と覚えました。ここまでが初日ですね。つまり、ルールを覚えるのに丸一日使いました。
二日目は、やっていくうちに細かい発見が非常に多かったです。左のレーンが大事とか、どこに配置するかによってヒーローの生存率が全然違うこと、クロスレーンでヒーローを殺されて何もできないレーンができてしまったこと(これが強い!)、黒にだけ標準で打点があるから黒には警戒する必要があるが他の色相手は多少ヘルスが低い状態でも問題ないこと、とはいえシグニチャーカードには虐殺されることが多くシグニチャーカードをよくよく確認して配置や倒すべきヒーローにも工夫が必要なこと、緑と赤にだけ巨大なクリープが存在すること、そしてその巨大なクリープ対策は黒の殺害というスペルだけであること、マントを買うだけでヒーローを守れること、とはいえ3レーン見渡してどのヒーローにマントをつけるのが効率的か考えねばならぬこと、マナを残して優先権を渡したほうが相手の動きに対応できるがそれでヒーローを殺されたら元も子もないしもしかするとむやみに先手をゆずる損失になるかもしれないこと、ヒーローをすぐ倒すより次のターン最初のイグナイトで倒すほうが強力なことなど、多くの発見がありました。


そして、Artifactの面白いところの一つは、2日目も3日目も新しい発見を楽しんでいたら、自然と50時間近くプレイしてしまうような奥深さです。回を重ねるごとに、より深い、新しい発見があります。結局のところ、アグリコラやCOJやDreadnoteといったゲームもそのような発見はありましたが、Artifactはダントツで多いです。
何がこのゲームをそこまで奥深くしているのでしょうか。一つの答えは、勝利条件にあります。普通のカードゲームは相手のライフを0にしたら勝ちですが、このゲームは2回0にすると勝ちです。なおかつ、0にすればいいのは3つのレーンの中から選べます。どのレーンを0にするかというのは3^2=9通りあり、守るべきレーンも同様に3^2で9通り、すなわち81通りの勝敗の決まり方があるのです。互いに優先権を放棄しながらダイナミックにアクティブプレイヤーのうつるArtifactの特長となるシステム(実は、Dreadnoteの『クロスカウンターシステム』に似ているという意見をきいて確かにそうだと思いました。)は、勝敗の決まり方をさらに複雑にします。限られた手札、お金、各レーンの状況、レーン間の相互作用が絡み合い、毎回勝ち筋を考え続ける楽しさがあります。

一方で悲しい話もあります。ツイッチの初日視聴者数は1万人を切り、そして毎日減り続けているそうです(うわさ)。しかし、まあそうだろうなと僕は思います。

僕はすみねこさんの詳細でわかりやすいルール紹介ブログや現代カードゲームの始祖MtG(マジックざギャザリングは遊戯王やハースストーンのもととなっており、さらにシャドウバースは日本版ハースストーンとしてスタートした歴史がある)を考案したあの「リチャード・ガーフィールド」の語る記事も読みましたが、やってみねばわからないところがあるというもやもや感が晴れなかったのを鮮明に覚えています。僕のようにドハマリする人ですら、ルールの把握に疲れるのだから、一般の視聴者に難しすぎるのは言わずもがな、です。カードゲームが好きな人なら絶対にドハマリできると思うんですけどね、面白さを知るためには10時間くらいは必要かもしれません。(これ、Civilizationやアグリコラについていつも言われていることに似てますね)。

それでも僕がやり続けられた理由は3つあります。

①そのような状況でもゲームを楽しめるようになった数多くの成功体験

②カードゲームの始祖リチャード・ガーフィールドが草案したこと

③あの世界的ゲーム会社のValveが開発したことです。

受験勉強みたいなものですかね?苦労の先に成功が目に見えているから努力ができました。とはいえ一般人にそのような耐久力を要求するのは酷なので、流行らないです。そんなことはじめから分かってましたがね。


しかし、売れ行きの伸びにも、期待もあります。Valveは過去に全く流行っていなかったCS:GOに様々な改善を加え楽しみ続けられる構造にした結果、今のように大ヒット作になりプロスポーツ化したらしいです。(先日そういう記事を見ました。詳しくないです。検索してね。)なので、Valveが見放さなければ、まだ何かあるかもしれません。


ところで、僕はこれまで本当に好きなゲームはサービス終了してしまうといった、苦い経験をしてきました。それは、僕が好きなゲームは、戦略性を問われる非アクション性のゲームなのですが、戦略性をとうゲーム性はカジュアルプレイヤーを排斥してしまう性質があります。ほら、あなたも将棋が全く勝てなくてやめたでしょう?(あるいは、友達は誰も将棋の相手にしてくれないでしょう?)。戦略性の高いゲームは、はじめたばかりカジュアルプレイヤーにはどうしても、勝率が低すぎる、とか、頑張っても勝てない、という状況を必然的に生むのです。そうしてカジュアルプレイヤーがゲームからさり、プレイ人口がへります。弱い人たちがやめると、今までそこそこ勝てた人が、勝てなくなり、辞めます。加速度的に弱い人から順に人が減っていきサービス終了というのは、戦略性のあるゲームにはさけられない試練なのです。

ここ数年でも、僕が最も課金したCOJPや、紙のカードゲームを再開するきっかけとなったドレッドノートはサービス終了しました。ドミニオンは、本家のサーバーがなくなり、よくしらない会社に権利が売られました。(今はまた、その新しい会社のサーバーでプレイできる様になりました。)最も長い時間プレイしているアグリコラに至っては、プロも何も過去に全く何も大会も開かれず、全世界のあらゆるボードゲームを集めたボードゲームアリーナにすら無いというのが現状です。
世間でちやほさされるのはゲームで言えばFGO、ボードゲームでいえばごきぶりポーカーやカタンといった戦略性のほとんどないようなゲームです。

ハースストーンはそのエキサイティングな体験(ぶっ飛んだカードの効果)で、シャドウバースは絵で、DQライバルズはドラクエブランドの強さで成功しましたが、Artifact開発もとvalveの次の一手が待たれます。(そもそも、この辺のデジタルカードゲームは、COJやGwentといったものより単純化されたわかりやすさがありますが。)



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