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【経験談】新卒入社した会社が新興宗教に関わっていた話

今年で26歳。
 
一生涯でいったらまだまだ若い年齢ではあるが、私も人並みにいろいろと経験をしてきた。楽しいこともつらいことも。
 
最初のうちは比較的一喜一憂、喜怒哀楽が激しい方だったと思う。
しかし、平凡な人生を歩んでいる割に あまりにも色々あるもんだから、段々「これもまた人生」といろんなことを受け流すようになった。
 
そんな私の「これもまた人生」な少し変わった体験についてこれからいくつか書いていこうと思う。
まずは、社会人一年目にしてぶつかったとある経験から。
 
 
※少々センシティブな内容です。信仰の自由は理解しているので、あくまで無宗教家庭の体験談として聞いてください。
 

※10/15 追記
トラブルを避ける為、宗教を特定出来るような内容は避けています。ざっくりした内容で申し訳ありません。


高校時代にライブハウスで写真を撮り始めた私は、卒業後 写真の専門学校に進学した。(前記事参照:私とライブハウス)
 
昔から何かと気が早いため、専門一年の秋には既に入りたい会社を見つけていた。
就活の時期になっても新卒採用募集は出ていなかったが、もうそこに入社することしか考えられなかったため 就職担当の先生に我儘を言い続け、なんとかかんとか求人を引っ張り出してもらうことに成功。
無事第一希望の会社に新卒入社した。
 
 
教育にとても熱心な会社だった。
新人研修では、実際の業務内容ではなく ディベートのようなことをよくしていた記憶がある。同期は私含め4人。
 
入社二ヶ月が経とうとしていた5月下旬。初めて同期4人で飲みに行った。
お酒も入り、場が温まってきた頃。
 
 
同期1「この会社って◯◯(宗教の名前)の人が多いんでしょ?」
同期2「あー、うん。言っていいのかな?」
同期3「いいんじゃない?私と同期2はそうだよ。同じ教会だった先輩の◯◯さんに誘われて入社したんだよね」
私 「ほえー」
 
 
…んー?聞いたことのない宗教だな…?
 
お手洗いで席を外し、個室に入って急いで調べた。
当時の私は新興宗教のことを何も知らなかったが、調べて出てきた『カルト』という文字になんだか嫌な予感がした。
 
急に怖くなりその場で母に電話。
 
 
私「ねぇ、◯◯ってやばい?なんか会社に信者の人がたくさんいるらしいんだけど」
母「…とりあえず今すぐ店を出て。出たら電話して。」
 
 
聞いたことのないトーンだった。
適当に言い訳をして店を抜け出し、母に電話を掛け直すと
 
 
母「絶対にダメ。今すぐ辞めなさい。明日。」
私「いやいや明日って 母「冗談じゃないから。」
 
 
え、そんなヤバいの…?
 
恐怖と戸惑いとショックで思考が停止している間に両親の緊急会議が開かれ、翌日父と退職届を提出しに行くことになった。
とんでもないスピードからただならぬ出来事であることを察した。
 
よくよく考えたら、やたら内面的な話をする研修だった気もする。
先輩達が "合宿" と言っていたのも、会社のじゃなくて宗教だったのか…?
 
別に勧誘をされたわけではないが、急に全てが怪しく感じてきた。
 
 
 
次の日会社の最寄駅の改札を出ると、本当に父がいた。マジじゃん。
 
会社へ向かう道中で擦り合わせが行われた。
親と嘘を擦り合わせることなど後にも先にもあの日だけだ。
 
両親が一晩考えて作ってくれた『急遽祖母の介護が必要になったが、家族皆仕事を手放せないため止むを得ず私が辞めるしかない』というウソウソ退職届を持ち、親子で会社にかちこんだ。
 
 
ベテランサラリーマンな父は、人事担当者の前で見事なまでに平然と嘘をついていた。
こうやって様々な修羅場を乗り越え 私達家族を養ってきたのだと思うと、なんだか目頭が熱くなった。
 
親が真面目な顔で嘘をつく場面を見るのもきっとあの時だけだ。
 
もちろん、入社二ヶ月の新人は大して引き止められることもない。
学生時代から焦がれてきた第一希望の会社は、こんな変わった理由であっけなく退職となった。
 
 
 
その後は本当に空っぽになった。
なんてったって私は、専門一年の時からその会社のことしか考えていなかったのだ。
そこのカメラマンになれないくらいなら写真の仕事なんてしない方がマシだ、とさえ思っていた。
 
完全に自暴自棄になった私は、その後なぜか不動産事務に焦点を当てて職探しを始めた。
正直この頃の思考回路はもう覚えていない。
 
 
一社内定を貰えた頃、母校から呼び出しを食らった。第一希望の求人をむしり取ってきてくれた恩人からの連絡だった。
どうやら自暴自棄になっている私を見かねて 同級生の誰かが連絡をしてくれていたようだ。
 
別にもう写真の仕事じゃなくていいです…と言う私に対し、先生は根気強く説得してくれた。
内定していた不動産事務の方が給料も待遇も良かったため正直気は進まなかったが、もう何もかもどうでもよかったので勧められた会社を受けることにした。
それが今の職場だ。
 
あれから6年。なんだかんだ今もカメラを握っている。
思い返すと、今の仕事の方が私には向いていたと思う。人生終わった、と心底落ち込んだあの経験も 一つの正解だったのかもしれない。
お陰様で今ではすっかり笑い話に出来た。
 
これもまた人生。
 

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