見出し画像

おじさん

1年半ほど前、兄貴夫婦に赤坊が産まれた。
その子にとって僕は叔父さんとなる。

とても喜ばしいことだが、僕がその報告を受けたのは出産から1ヶ月ほど経った頃だった。

僕は知らないうちに叔父さんになっていた。

兄貴本人は何も教えてくれなかった。

赤坊の名前も半年以上教えてもらえず、地元の同級生がコソッと教えてくれた。

血の繋がりがある僕より先に、僕の同級生が赤坊の名前を認知していた。

まあ、長男の兄貴は昔から、あまり多くを話したがらない人だった為、しゃーなし案件だと思うことにした。

先日、大母上様からありがたいことに本気の仕送りを頂いた。
この歳になってもご両親のお世話になっている。
恥ずかしい限りだ。

大母上様にお礼のお電話を差し上げたところ、次男夫婦ももうすぐ子供が産まれると聞かされた。

また聞いてない話が出てきた。
またまた叔父さんになるようだ。

次男は籍を入れた時も後日談として報告してきた。
身内の結婚はあらかじめ聞かされるのが相場だと思っていたが、そうではなかった様だ。

そして結婚式を開催する際も、"そういえば結婚式するわ"とギリギリになって僕に伝えてきた。

僕は追加招集で身内の結婚式に参加した。
もし、その日にアルバイトのシフトを出していたら出席できない所だった。

まあ、次男の兄貴は昔から、サプライズが好きな人だった為、しゃーなし案件だと思うことにした。

とはいえ、僕の身内は何故だか僕に対して重要な話を内緒話として扱う傾向があるみたいだ。

僕は4人兄弟の3番目に産まれた。
上から、男、男、男、男の4人兄弟だ。
めっちゃ男すぎる兄弟だ。

僕の実家は宮崎県で牛を育てている。
牛200頭〜300頭を減価償却資産として保有している実家で育った。
現在、兄2人が家業の牛使いを継いでいる。
弟は国立大学を卒業後、県庁に入庁した。
よく出来た弟である。

両親からしてみると、跡を継いでくれる兄2人と、国立大学を卒業して県庁に入庁した弟がいる為、3/4当たりと思っているだろう。
充分、子ガチャを成功したと思っているだろう。

僕もそう思っている。

3/4当たっているのだから。充分すぎる。
それを免罪符に僕は好きにしていいとも思っている。

僕が芸人になると報告した時、両親は1度も反対をしなかった。
"自分の人生だから後悔のないように"と反対をしなかったのだと思っていた。
だが、今思うと報告をした時、3人当たったからお前は好きにして良いよの顔をしていた気がする。

兄貴2人とは年子である。
中学時代、中1、中2、中3の各学年に"蓑毛"という激レア苗字が存在していた。
蓑毛姓の人口密度が異常に高い、世にも奇妙な中学校を生み出していた。

少年野球をしている時も、スタメンに蓑毛が3人入っていることもあった。
家族経営と思われてもおかしくないスターティングメンバーだった。

そんな兄貴たちとは、幼い頃ちゃんと喧嘩もした。
思春期らしく1年以上口を利かなかった時期もあった。
兄貴たちと会話をする時は弟が全部仲介に入っていた。
1番歳下の弟が1番しっかりしていた。

1年ほど前に兄貴の結婚式で実家に帰った時、家族会議が行われた。
議題は、バイトをしながら芸人をしている僕と、国立大学を卒業後、県庁で働いている弟の入れ替え戦についてだった。

今までは生まれた順で三男、四男としてもらっていたが、さすがに弟がしっかりしすぎている。

その為、この度三男と四男を入れ替えることとなった。
3番目に生まれた四男と、4番目に生まれた三男ということになった。

まあ、元四男の兄貴は昔から、1番しっかりしている人だった為、しゃーなし案件だと思うことにした。

兄弟の編成が、上から男、男、男、男の4人兄弟に変わった。

この歳になって、僕には甥っ子と兄貴が増えた。
世知辛い世の中だ。

だが僕は諦めていない。
いつかは三男の座を奪い返し、ゆくゆくは長男になろうと思っている。

その為には、国立大学卒に勝る学力が必要になってくる。
基礎学力をつける為にデジタル教材を始めようと思っている。

これで僕が長男になれれば、アグネス・チャンも驚くだろう。

どうして長男になれたのですか?と聞かれたらこう答えたい。

天神だからできたこと。と。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?