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おくるま

僕は車が苦手だ。

すぐに酔ってしまう。
皆さんが想像している、ちょうど2倍はすぐに酔ってしまう。

車に乗ると、どんなに近い距離でも酔ってしまう。
なんなら、調子が良いと車に乗ることを考えただけで酔ってしまう。

潜在的に酔いやすいのだろう。

そもそも車に限らず、酔えるものはほとんど酔うタイプである。
車を始め、お酒、人混み、3D映像、自分、全て漏れなく酔ってしまう。

東京に来てからは、地元にいる時より車に乗ることは減ったが、それでも車に乗る機会はある。
地元ではクルマ社会のため、定期的に乗っていたが、東京では何かしらのイベントでないと乗る機会がない。

地元に居る頃は、定期的に乗っていたことで1回1回がワクチンとなり、車に対する抗体ができていた。
だが、東京ではイベント日しか乗らないため、1回1回が直接攻撃(ダイレクトアタックと読む)でやってくる。

東京で車に乗って行ったイベントに、良い思い出が無いのはこのせいだろう。

NSC時代の大ライブも同期とタクシーで行ったが、結果が振るわなかった。
つまり、そういうことだ。

昨年夏にも、同期と千葉県にプチ旅行に行った。
その際、往路だけで8回嘔吐させてもらった。

無論、復路も同等の数を叩き出したのだが。

トリオの頃は、相方がネタ合わせ場所に車で来ていた。
その車に乗って5分ほど離れた公園に行きネタ合わせをする。

勿論、その5分で酔ってしまう。

ネタ作りが進まなかったのも、車のせいだと思っている。というか、車のせいにしている。

ロケバスのようなものを見かけると、見ただけで車酔いをしてしまう。
あれに乗ったら酔うだろうなあと、考えただけで酔える体質になってしまっている。

大学時代も陸上競技のレースがあるたびに会場まで、部のマイクロバスで移動していた。
勿論、毎回酔っていた。毎回乗る前から酔っていた。

10000mのレースに出場しても、7000m過ぎまでは車酔いをしていた。
酔いが落ち着いてきた頃にはレースが終わっている、なんてこともザラにあった。

レースで結果を出せずに寮に帰る。
勿論、車で。ちゃんと酔う。
レースの結果が悪いからいっぱい練習をしようと思う。走りに行く。車とすれ違う。酔う。
外を走ると酔うからグラウンドを走る。1周400mのグラウンドをグルグル走る。酔う。
練習で疲れた体を休める為にお風呂に入る。湯船の渦を見る。酔う。

もう、無限車酔酔ループの完成である。

だが、ここで僕は1つの必勝法を見つけ出した。

自分で運転すれば酔わないんじゃね?

今までは乗る側だったから酔っていたが、自分で運転すれば酔わなくなると思った。

そこで、NSC時代にラーメン屋の配達のバイトを始めた。

だが、半年ほどで辞めてしまった。

辞めた理由は諸々あるのだが、ご存知の通り、車酔いをしたことが理由の1つである。
むしろ結構な割合で、それが理由で辞めたまでもある。

配達しているスープを世田谷通りに撒き散らしたことや、
クロネコヤマトのトラックに事故らせてもらったことも理由の1つにはあるが、何よりも1番の敗因は、配達のたび車酔いをしていたことである。

自分で運転をすれば大丈夫だと思っていたが、ちゃんとダメだった。
自分の運転に酔いながら、半年間耐えたが、改善されることなく辞めることとなった。

自分の運転でも、他人の運転でも、車という移動手段が苦手すぎた。
だから、陸上競技の長距離という競技を選んだのかもしれない。

遠くまで走れる脚力があれば車に乗らなくて済む。
そうすれば、車酔いすることもないだろう。

潜在的にそう思って長距離を選んだ可能性がある。

いや、それは絶対ない。そんな訳ない。

移動を目的としてスポーツを選ぶなら、乗馬クラブでお馬さんに乗っていただろう。

もしかすると、競馬のジョッキーたちは、元々車酔いがしんどかった人たちが解決策として始めたのかもしれない。

これに関しては完全にそうだ。

車酔いについて書いてる今も気分が悪くなり始めている。

僕は三半規管が弱々すぎる。

三半規管について調べると歳を取ると機能が低下するらしい。

つまり、20代という三半規管、現役バリバリの現時点でこの程度である僕は、今後、年齢を重ねるたびにもっと弱くなってしまう。
40歳、50歳になると今以上に車酔いをするのだろう。

あまり大人って車酔いしないものだと思っていたのに。

ゆくゆくはトミカを見ただけで吐き気を催すのだろう。

辛すぎる。

頼むからトヨタには、低燃費とかデザインは二の次でいいから、酔いづらい、揺れづらい、吐きづらいの三点に特化した車を開発してもらいたい。

そうでないと、僕は亡くなった時も霊柩車に乗って酔ってしまうだろう。

場合によっては、最後の晩餐は、酔い止め薬にすることも検討しなければならなくなった。

ここまでくると、あえて将来売れたらキャンピングカーでの生活も悪くないだろう。
俗に言う、開き直りである。
年老いた80歳頃に車への抗体もつき、酔わない体になれるかもしれない。

80歳まで免許を持つ理由もできる。

もし、それでも酔うのであれば返納したい。
老いではなく、車酔いが返納理由になるが。

小さい頃は大遠征をするたびに酔い止めを嗜んでいた。

勿論、酔い止めを飲んだからと言って元気になる訳ではない。
酔い止めを飲んだという実績1本で勝負していた。
多少は紛れていた気がしている。

人生も同じだろう。

幼い頃の僕が、酔い止めを飲んだという実績で勝負していたように、過去の実績や努力が今を作っている。

あれだけ頑張ったから大丈夫だ!と自分を半ば強引に思わせることで、成功体験へと昇華させている。

将来売れてキャンピングカー生活をするためには、今の努力が必要だ。下積み生活の今頑張らなければならない。

そうなると、今やるべき努力は1つだ。

よし、まずは二輪車免許を取得しよう。

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