Sailing Before The Wind 『REVISED STANDARDS』インタビュー 01

<Interview : Ryohei Wakita / Answer : Bitoku Sakamoto>

■約3年振りの新譜『Revised Standards』が3月2日からライブ会場先行発売という形で発表されましたね。まずは前作『SANCTUARY』を発表してから今まで大きなメンバーラインナップチェンジもなく、安定した活動を送られてきましたが、Sailing Before The Windとして何か変化したり、進化したと感じている事はありますか?

進化と合わせて、"深化"したと感じています。

ラインナップの安定とそれぞれの努力によって、ライブでもしっかり曲を表現できるようになりました。

7年前からプレイしているような曲も、ようやく本来の形で、真のニュアンスで鳴らせるようになってきた感触があります。昔はテクニック的に追いつけなかったり、魅せきれていなかった曲もあったので。
根本の精神性自体は変わりないですね。ステージングは「オンリーワン」のまま、音楽的なテーマも「メタルコアとメロハーの融合」のままです。

一方で、バンドを取り巻く環境は大きく"変化"したと思います。サポート・応援してくれる人の数は確実に増えました。仲間は消えて、そして増えました。

SNSに上がるライブ動画によって、"視覚から入る人"が年々増えているとも感じます。僕らはライブ撮影OKなので、そこは自由に楽しんでもらえたら良いですね。

■Sailing Before The Windの活動の核になっているのはもちろんBitoku君ですが、ライブメンバーの存在感も重要なピースだと思います。長くライブメンバーを務めるボーカルのRyoichi、ギターのKosukeとDaisuke、ドラムのHirokiそれぞれのプレイスタイルの特徴と、それらがどのように現在のSailing Before The Windのサウンドにフィットしていると考えていますか?

実は、今回の制作には4人とも関わっています。その内容を説明すれば自ずとフィット具合が分かるので、紹介させてください。

Ryoichiにはボーカル全般を担当してもらいました。
彼個人の制作環境が良くなった結果、オンラインでのデータやりとりを増やせたのはかなりプラスに作用しています。たくさんのアイデアをトライできるようになった結果、最初のボーカルデモなんて、今の2倍コーラス入っていましたからね笑。QueenかBlind Guardianみたいになっていた可能性も…?!。

Daisukeには、そのSouthern Crossのコーラスで参加してもらっています。彼の場合は、ライブでの役割と、作品が生まれる背景に対する影響が大きいです。Ryoichiも含め、2人が歌えることが、サウンド面の深化に繋がりました。幾重にも折り重なるコーラスパートに、メロハーからの影響をしっかり消化できた自負があります。

Kosukeには一部を除き*、ギターを全て弾いてもらいました。

(*Southern Crossのイントロ/中間/アウトロで登場するメロディリードと、Northern Wingsの一番最後に登場するアルペジオのみ自分が弾いています。)

ギターソロは、Kosukeが弾いた何パターンかを元に、2人でアレコレ言いながら細部を詰めに詰めて完成しました。ソロの構成自体は自分が弾いていたプリプロが元になっているので、今後はより彼の色を出せる場を設けたいですね。SBTWの曲に速弾きはないので気づきにくいですが、もっとテクニカルな曲も弾きこなせるスキルの持ち主なので。

Hirokiにはドラムフレーズのアレンジをお願いしました。一度ドラムフレーズをあえて多めに詰め込んでもらって、そこから取捨選択を行って、という流れです。バンドのライブ感が、反映された仕上がりになりました。ドラマー以外が考えるドラムには発想の限界がありますから、頼んで良かったです。

このように、4人はもう"ライブ"メンバーの域は超えています。今作と今後のライブを機に、彼らに1ミュージシャンとして、もっとスポットライトが当たることを願います。

■『SANCTUARY』には新旧Sailing Before The Windに在籍したメンバーらが制作に関わっていました。今回はフィーチャリングゲストとしてSailing Before The Windとも共演しているSienna Skies (オーストラリア)のボーカルThomas、A Scent Like Wolves (ボーカル)NickとAlが参加していますね。Sailing Before The Windにとって彼らはどのような存在なのでしょうか?

1バンドずつ、経緯とゲストパートの中身を説明します。

Sienna Skiesは、SBTWが初めて"ツアー"を一緒にした海外バンドです。2015年のSBTWといえば、SANCTUARYもまだリリースされておらず、客観的にバンドを評価できる要素は何もなかったです。それにも関わらず、フロアからライブを見てくれていた姿や、僕らみたいな"格下(あえてこの言葉を使います)"に対等に接してくれた態度は、忘れられません。あの立ち振る舞いには影響受けましたし、バンドにとってもツアーの経験は非常に大きな1歩となりました。

Southern Crossはそのツアーを元に書いた曲なので、"音源では絶対歌ってもらう"と決めていました。ギターのMichaelに連絡したら、即答で「やるよ!」と返事が返ってきたのは、本当に嬉しかったです。
相当キャリアのあるバンドですから、マネージメントやレーベルの都合で断られる可能性も覚悟していたので…。
ゲストパートのメロディ・載せ方などはこちらで指定しました。録音は、ギターのNickが所有するスタジオで行ったとのことです。

ASLWに関しては、2度のツアーを経て、普通に友達ですね笑。特にAlからはしょっちゅう連絡が来ますが、9割方彼が飼っている愛犬の動画です。
ゲストパートは歌詞・載せ方共にほぼ向こうが作ってきました。
「スクリームだけを入れて欲しい」と伝えたところ、クリーンも入れてきたのは驚きましたが笑、結果オーライ。フルアルバムを2枚出しているだけあって、経験にも裏付けられた音楽的センスは素晴らしいです。

録音はGrant McfarlandによってThink Loud Studiosで行われています。August Burns Redの最近のアルバムを手掛けているエンジニア/場所です。
これはエンジニア目線での情報になりますが、Grantがエディットして送ってきたボーカルデータには度肝を抜かれました。明らかに作曲者の意図を汲み取ってくれた処理が施されていて、こちらで手を加える必要がほぼ無かったです。

■Sailing Before The Windがこれまでに発表してきた作品やマーチャンダイスのデザインにおいて、意識していることがあれば教えてください。本作のアートワークに込めた想いや色彩的なこだわりについてもお聞かせください。

デザインに関しては"既視感のある光景"が共通項にあります。何かの二番煎じとかパロディとかいう意味ではありません。例えば、前作SANCTUARYのジャケを初めて見た時、"どこか"で見たことある気がしたんです。でも間違いなく新しさもあって、それが自分の描いていた作品像にピッタリはまりました。

これは、音楽的なこだわりである"新しい懐メロ"と相通じる内容です。
SBTWのメロディは、新鮮でありながらも、どこかノスタルジックに響くことが共通項だと感じます。

本作のアートワークは、その前作に引き続きキョウグさん(@kyoguDrDDD)https://twitter.com/kyoguDrDDD にお願いしました。もう何度もタッグを組ませてもらって信頼関係がありますから、大まかなイメージだけ伝えて、あとは一任しました。
そんなキョウグさんの言葉をそのまま借りると、"点と線が繋がり結晶となることで「新たな羅針盤が形成される過程」"がコンセプトとなっています。大きな結晶の二つが北南を指していて、左右から展開している点線にもちゃんと意味があります。

結晶部分については、原案からほぼ変わらずです。色彩についてのみ、何パターンか試してジャッジしました。決め手は先の通り、既視感と新しさの両立です。ちなみにCDディスクデザインも最高です。フィジカルでしか見れない特権ですね。

タイトルについては、アートワークも踏まえて決めました。デザイナー側が曲を聴いて影響を受けるように、こちらもデザインに影響を受けることで、共同制作に価値を生み出すのを目的としています。
「REVISED STANDARDS」は、"新しい基準"という意味です。"修正/改訂された基準"という意味も込めています。もちろん修正"する"側が僕らです。これは、視点を変えるとアートワークが「既存の羅針盤(基準)が分解される過程」にも見えることと結びつけています。
既存の基準を、今一度自分達で創り直す。楽曲自体にも、そういう要素とエネルギーを込めています。

<02 へ続く>

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