成年向け同人音声台本:ダークエルフ少女との旅モノ その3(製作中)(非R-18部分まで)

《ひゅぉぉぉ……ざわざわ》

 青年に案内で町を回っていると、様々な光景が見えてくる。
あなたと同じようにこの町へ品物を下ろしに来たらしい行商人達の姿、この町に住居を構えて住人達や、商人達の賑やかな声と笑顔。

ルーナ
「あっ、あれ!行商人さん!
空の凧と良く似たので遊んでる子供達がいるわ!……随分ちっちゃいけど」

 言われて見れば空に浮かんでいる大凧と良く似た形をしている。たこ糸で結ばれたそれは、さながら小さな小凧のよう。
極小さな風の精霊石(せいれいせき)を結びつけて、子供達は誰が一番上手に操れるかを競っている。

青年
「あれは多分、凧師(たこし)に弟子入りを希望している子供達ですね。
あぁやって、最初は小さな玩具から凧と風の扱いに慣れていって、腕が認められるようになったら次の凧に挑戦させて貰えるんです。
なんせ、凧も精霊石も無料って訳じゃないですからね……まずは、慣れて貰わないと危ないし費用が嵩むので」

ルーナ
「へー、そうなんですね。なんだかすごいなぁ……。
皆小さいのに、あんな子供のうちから、もうやりたい事が決まってるのね……」

 この町の人間にとっては馴染みの光景なのだろう。
何てこと無い様子の青年に、そういうものかと頷きながら。
何処にでもあり日常にふっと。自分達の知らないものが、当たり前の顔をして存在しているという、不思議な感覚を味わう事になるのであった。

ルーナ
「でも、どうして皆そんなに凧師になりたいんですか?
見てると、すごい危なそうだし……。あんな風に空を自由に飛べるのは、確かに楽しそうではあるけれど……」

 言いながら再び大凧を見上げて、首を傾げるルーナ。
確かに理由が分からないと、あなたも首を傾げていると、2人の困惑を楽しむかのように、青年は少しだけ笑い。それから理由を説明してくれた。

青年
「ははは!ご尤もな疑問ですね。
隠すことでもないので言ってしまいますと……あの大凧に乗って手に入るものが、この町の一番の名産でして。
まぁ、所謂うちの町の花形職って奴なんですよ」

《ごそごそ……》

青年
「これがその名物、風翠石(ふうすいせき)です。
風の精霊ヴェントリウス様の影響を強く受けている風が、岩を長い時間をかけて結晶化させて出来る宝石……この町の名産です!」

 青年が、少し誇らしい気な様子と共に懐から取り出したのは、小さな原石がくくり付けられた簡素な作りのペンダントだった。
原石自体を咥えるように固定したそれは、石としての部分をまだかなり残っているが、その先端……風の風化によって鋭く尖ったであろう先の部分は、確かに彼の言った通り、光を引き込んでは、きらりと鮮やかな緑色を跳ね返している。
すき通った綺麗な湖……或いは、風に色があるとしたらこんな色なのかもしれないと思わせるような、澄んだ綺麗な翠色(みどりいろ)であった。

ルーナ
「わぁぁ……すごい綺麗……。
生えたばかりの草の新芽が、水と混ざって溶けたみたいな……素敵な色!」

青年
「おー、まるでエルフのような例え方をされますね?
若いお嬢さんにそう言って頂けると、この町の一員として嬉しい限りですよ!」

ルーナ
「えっ、あ、や……え、エルフの方と一緒なんて恐れ多いです!
えへ、えへへへへ……!」

青年
「あははっ!まぁ、若い方の感性は豊かですからね。あぁいった精霊様に近い方たちの感性に似る時があるのかもしれませんねぇ。
もっと上の方の、強く風を受けている所なら、 結晶になる部分も多くなるので、とても美しい大きな風翠石になったりするんですけどね。
モノによっては、アクセサリーへの加工用は勿論、大口の取引などもあるようですよ?」

ルーナ
「ふわぁ……そうなんですか!
これだけでも綺麗なのに、もっと大きいものなんて……すごい綺麗なんでしょうねぇ」

青年
「それはもう!町の名物に偽りなしっていう美しさですよ!
……昔は私も凧師を目指したものなんですが、残念ながら風を操るのが、どうにも下手でして……。
けれど、凧師ではない私でも、このぐらいの……小さなサイズの原石ならば取り合え扱えますからね!
これでも十分美しいですし、何せこれ位なら割と気軽に手を出せる金額でご案内も出来ますしね、あはは……♪
という訳で……お嬢さんも気に入って下さったようですし。お一つ、如何です?」

 過去に挑み、叶わなかった夢を恥じているのか。青年は気まずそうに頬をかく。
けれど、別段それに僻んでいるという訳ではないようだ。少しばかりでも、この風翠石という町の名産を町の外から来たものに紹介できる事を誇りに思っているのであろう。
あなたの目から見ても、美しい宝石なのは間違い無かった。
これが本格的にカットされ加工されていれば、確かに彼が誇りたくなる気持ちも分かるだけの品になるであろうというのが十分に分かる。
尤も……その場合は、流石に行商人のあなたにとっては手が出せない金額になるのであろうが。

 この原石を使った簡単な加工がされたモノは、彼の言うとおり少し奮発すれば十分に買える金額になっている。
それに、これでも十分にルーナの感性を魅了して止まないようで、キラキラとした瞳を吸い付かせるかのように、彼女は息を呑んでじっと原石を見つめ続けている。

 金銭の都合や、理由を付ければ残念そうな顔はしながらもルーナは引き下がってくれるだろう。
そのぐらいには、あの子が物分りの良い娘だという事をあなたは良く知っていた。
けれど、僅かな金額でこの瞳の輝きが保たれるのであれば……多少の出費ば構わないと、そう思える。
だからあなたは、青年に向かって黙って銀貨を一つ渡し、頷いたのであった。

ルーナ
「えっ、行商人さん、それ……!」

 驚いた顔をし、あなたを振り向くルーナ。
そ知らぬ顔をして、そのまま青年から小さな原石を飾りつけた、ペンダントを購入するあなた。
そして彼女の手を取り、少し強引にそれを手渡してみせる。彼女は遠慮しがちな所がある。
こういう時は多少強く渡すくらいで丁度良いのだ。

ルーナ
「え、えぇっ!?だ、だめよ行商人さん!だって、そんなっ!
私何もしてないのにプレゼントを頂くなんて!
とても綺麗だけど……私、貰えないわ!?」

青年
「はは、まいどありがとうございます♪
お嬢さん、男から渡されたプレゼントは、無碍に断っちゃ男を廃らせるってもんですよ?
尤も、私はお二人がどういう関係か分からないので、心底そちらの方が嫌いとかなら話は別ですけど」

ルーナ
「そ、そんな事ある訳ないじゃないですか!
行商人さんは、一人だった私を旅の同行者にしてくれて。
すっごくすっごく感謝しているのよっ!?嫌いだなんて絶対ないわ!!」

 青年の言葉にルーナが怒った様に反論をした。少女の怒りをぶつけられた青年は、ひぇっと呟き大げさに肩を竦ませるようにしながら、ちらりとあなたに視線を向けて、小さく笑って見せる。
フォローのつもりだったのか、それともここまでが料金の内と言うつもりなのかもしれない。
何れにしても、確かにこのシチュエーションは利用させて貰った方がよさそうであった。
 あなたは憤るルーナの手をペンダントごとそっと握り、彼女の顔を見て。

——それならば遠慮せずに受け取って欲しい、君が居ると旅が楽しいから。日頃のお礼という事で、ね?

 そう言い聞かせるように言葉を紡ぎ、ダメかなと首を小さく傾げるあなた。

ルーナ
「あぅ……もう、行商人さんったら。
ずるい……そんな風に言われたら、私断れなくなっちゃう……すごく、ずるいわ」

 あなたの言葉に、ルーナが顔を赤くし拗ねたかの様にフードを深く被り直して顔を逸らす。
けれど手に持ったペンダントをその背けた顔の前に持ってきて、嬉しそうにじっと眺めるのであった。

ルーナ
「……とっても綺麗。
今回だけ、今回だけよ?行商人さん、すぐにそうやってプレゼントをくれそうだから、今回だけ貰いますっ!
……えへへ、ありがとうございます♪」

 そう言ってあなたに再び振り返り、嬉しさと恥ずかしさがない混ぜになったような照れた笑顔をあなたに向けるのであった。

青年
「話がまとまったようでよかったです!
さて、あとは何処か見たい所ありますか?取引所の他にも、良ければもう1つ2つご案内しますが」

 ルーナとあなたのやりとりを楽しげに眺めていた青年の言葉に、あなたは少し考えてから、2つ店の場所を尋ねる事にした。
それは、この町にいる間泊まるのに良い宿の場所と、あと……大人の遊び場になる酒場の場所を、であった。

青年
「は?……あ、いえ宿は構いませんけれど。
その、そちちのお店は大丈夫ですか、お連れにお嬢さんがいらっしゃるようですし、ちょっと……」

 流石にそういった店を連れの前で、しかも姿はよく見えずとも明らかに女の子の前で尋ねるとは思っていなかったようで、驚いたように青年が目を大きく見開く。
慌ててあなたに口を寄せ、ちらりとルーナに目線を送っている。

 が、肝心の彼女が大人の店と聞いて、怒るような、何処か期待してるような。
興味が無いという顔をしながら、チラチラと伺うように様子を見てくるので、酷く困惑しているようであった。
困ってしまっている青年に向かって、彼の心配を解して(ほぐして)やるため笑顔と共にあなたは、一つ言葉を伝えてやる事にした。即ち。

——大丈夫、この娘(こ)こう見えて人の年齢なら成人してるし、結構ムッツリだから。そういう場所は大好きなのさ。

と。

ルーナ
「はぅっ!? あ、ひ、ひど……わ、私そんなエッチな娘じゃないですって、行商人さんっ!!??」

青年
「はぁ……成る程?そういう事でしたら、構いませんけど……?」

 何とも言えない不思議そうな顔をしながら、青年はこの町の夜の店を教えてくれた。頼めば、酒を飲んでそのまま奥の部屋も借りられるというのだから、十分合格点の範囲だろう。

 あなたは青年に礼を言い、チップを幾らか渡し、分かれた。
チップに喜びつつも、あなたと背の低いルーナを眺めて、青年が物言いたそうな微妙な顔をしているのがとても印象的であった。

ルーナ
「あぁぁー……!?
あ、あの人絶対私がとんでもなく、はしたない子だと思ってたわ!
ねぇ、行商人さんのせいよ!?
もぉーっ……あんな恥ずかしい事、言い触らさないで頂戴よぉ!?」

 顔を真っ赤にして、恥ずかしさに目元に涙を浮かべながらルーナがあなたの服の袖を掴みぐいぐいと引っ張ってくる。
いつの間にか、あなたの贈ったペンダントが胸元できらりと輝いていて、動きに合わせてきらりと輝く様子は、とても愛らしいものであった。

 あなたはそんな少女の様子に、笑い声で返答し教えてもらった宿へと足を向かわせる。お楽しみは、もう少し遅く……夜になってからで、十分なのだから。

ルーナ
「ねぇっ、行商人さんってばぁ!?
笑って誤魔化そうとしないで!うー……行商人さんのバカっ!
私……絶対絶対っ、そんなお店行ったりしませんからねっ!?」


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