見出し画像

疲れた頭を癒す眼福~東京国立近代美術館「MOMATコレクション」

ゲルハルト・リヒター展鑑賞後、もう一つの楽しみが常設展であるMOMATコレクション。
今回出会えた、お気に入りを紹介していきたい。

国吉康雄 誰かが私のポスターを破った(1943)

国吉康雄、好きなんだよなあ。
若くしてアメリカに渡り、一時はアメリカの美術界の第一人者にも昇り詰めるが、太平洋戦争勃発が彼の活動に影を落とす。本作はそんな頃の作品なのだが、彼の心情が投影されて物語性に富んだ見ごたえのある仕上がりとなっている。

小倉遊亀 浴女 その二(1939)

国吉が苦悩していた数年前、日本だって厳しい時代を迎えていたころだ。
ところが本作の清涼感はどうだろう。ちょうど蒸し暑い今の季節にぴったりだ。この作品を見ると、浮世絵から連なる日本絵画の伝統を感じる。写実性がすべてではないことが一目瞭然である。

速水御舟 渓泉二図(1921)

二幅あるうちの一つ。これだと分かりにくいのだが、その手法はキュビスムそのもの。日本画にキュビスム!
常に新たな日本画を追求していた御舟なればこその作品と言えまいか。

佐伯祐三 ガス灯と広告(1927)

「このアカデミックが!」とヴラマンクに叱責された佐伯の到達した作品。それまでの伝統を踏まえつつ、当時勃興しつつあったモダニズム芸術を取り入れた作品。この壁面の質感といったら!
これを観たらリヒターはどう感じるだろうか。

パウル・クレー 花のテラス(1937)

何を描いているか正直よく分からないが、観ているだけで楽し気な気分になる。幼気な作品ではあるけど、これを意図して描くのはまさに天才のなせる業であろう。

菊池契月 鉄漿蜻蛉(1913)

自分としては次にブームが来ると思う作家No.1、それが菊池契月なのだ。このモダンな画面、どうだろう。この作家は人物画も素晴らしいのだ。過去に回顧展もやっていたようだが、残念ながら見落としていた。バカな自分。。

川端龍子 新樹の曲(1932)

みんな大好き川端龍子(笑) これも大きい作品。画面下部にある柵により本当に庭先を眺めているかのようだ。でも向こうに見える木々はどうも珍妙な形ばかり。なんとも遊び心に富んだ楽しい作品である(本人は大真面目だったかもしれないけど)。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?