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淡い色彩の裏には強い信念あり?~Bunkamuraザ・ミュージアム「マリー・ローランサンとモード」


マリー・ローランサンというと、ずいぶん昔まだ美術鑑賞し始めたころによく目にした画家のひとりというのが自分の印象。その後はあまり展覧会では目にすることが多くなかったのはなぜだろう。狂乱の時代のパリで活躍した画家たちの一人なのだが、フジタ、ピカソ、モディリアーニなどと比べるとなぜか影が薄い気がする。

あの特徴的な淡い色彩が、なんとなく乙女趣味で当時のパリの雰囲気にもそぐわない気がして、自分の中でもどこか敬遠気味になっていたからなのかもしれない。

それが今回改めて間近で鑑賞してみて感じたのが、あの色彩に対するマリーの強いこだわりであった。
淡い色調だからつい水彩画のようにサラサラと徒然なるままに描いていたと思いきや、その筆致はとても力強く何度も何度も重ね塗りをして形作っていることが分かるのだ。その筆使いはゴッホにも劣らないくらい、一筆一筆から彼女の気持ちを感じ取れた。

油彩画は重ね塗りをするとどちらかというと暗い色調になりがち。そこに革命をもたらしたのが印象派で、短い筆致で色彩を置いていく手法をとった。
それに対してマリーは、筆致自体は長く太いものだが、あまり混ぜ合わせず明るい色と暗い色とを併存させている。腕に覚えがあればついつい色を混ぜたくなるところであろうに。

新たな発見ができた、良い展覧会であった。
Bunkamuraもこの展覧会を最後に長期休館になるとのこと、みなさまもお近くのお越しの際はぜひ。

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