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キューバで出会った秘儀の占い(2)

二度目のハバナ滞在のとき、ぼくは飛び込みで、ある民泊の家を訪ねました。

女主人は家族の夕食の準備をしていたが、ぼくの姿を見るやいなや、すばやく鉄のゲートを開けてくれました。

ぼくをキッチンの隣にある六畳ほどの広さの部屋に通してくれました。部屋にはベッド、箪笥、エアコン、小さなテレビ、小さな洗面所(トイレ兼シャワー室)が付いています。あとで分かったことですが、客がこないときは、中学生の長男がこの部屋を使っているらしい。

この民泊を紹介してくれたメキシコ人の友達によれば、一泊25兌換ペソ(25ドル)という話でした。

女主人はマリアと名乗り、「朝食も、よかったら作るわ」と、さりげなく付け加えました。もちろん、追加料金で(笑)

この家は、日本風にいうと、「築70年の石造りの四階建てマンション」の3階。その3階を3世帯が分有しています。彼女はバルコニー付きの一番いい「物件」を所有して、民泊の経営を行なっているのです。

観光スポットであるハバナ旧市街に近いという好条件もあり、冬の観光シーズンにはバッグパッカーなど、若いヨーロッパ人が飛び込みでやってきます。

客が2人以上やってくると、夫婦の寝室まで客に明け渡して稼ぐのです。居間に間切りのカーテンを敷き、簡易のベッドを設えるのです。知恵を働かせて、狭い空間を幾通りにも使います

その年から、ぼくはこの家をハバナでの定宿にするようになりました。ロケーションや部屋や値段が気に入ったからではありません。

なんと、幸運なことに、マリアの内縁の夫、アンヘルさんが黒人信仰「サンテリア」の最高司祭(ババラウォ)だったからです。(つづく)



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