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スーパールーキー・根尾昂の前半戦を振り返る

皆さま、こんにちは。
今回は長いプロ野球シーズンも折り返し地点に来た、ということで

『スーパールーキー・根尾昂の前半戦成績を振り返ってみたい』

と思います。


恐らくドラゴンズファンの皆さまも日々の報道で「根尾はプロの壁にぶつかっている」とか、「最近の根尾は良くなってきている」とか、パラパラと色んな情報が耳に入ってきているかと思います。

先日のフレッシュオールスターではウエスタンリーグ代表として出場し、4打数ノーヒットと結果が出なかった根尾ですが、前半戦成績も下記の通りあまり良いとは言えない成績でした。

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▽64試合
▽251打席
▽打率.181(規定ワースト)
▽1本塁打
▽15打点
▽6盗塁
▽14失策
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今回の記事では、3/15の二軍戦開幕から前半戦終了までの約4ヶ月間の根尾の成績を改めて振り返ることで、彼の成長の足跡を辿りたいと思います。

1. 打撃: 引っ張り&フライ打球増えプロのレベルに徐々に順応中

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まずは根尾の打撃について見ていきます。

冒頭で通算成績について書きましたが、開幕から一貫して「通用していない」訳ではなく、実際は月を追うごとにどんどん打撃内容・成績は改善傾向にあります。

「3-4月」「5月」「6月以降」の三つのフェーズで分けて見ていきましょう。


【3-4月】引っ張れない&ゴロ打球多くプロの壁にぶつかる

コンディション不良により春季キャンプのメニューをまともに消化できなかった根尾は、開幕から1番ショートで起用されるものの結果が出ず。

3打席に1回の割合で三振を喫するなど三振の山を築き、バットにボールが当たってもフィールドの左側に打球が飛ぶ「引っ張れない」ことがほとんどで、また外野への飛球も少なく「ゴロばかり」でした。

結果が出なくともスタメン起用は続きましたが、徐々に打順は下がり4月頭からは下位打線を打つようになりました。

上がり目は見られないまま、4/16には阪神戦で左人差し指を負傷し、以降3週間弱離脱することになります。

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▽22試合
▽92打席
▽打率.143
▽1HR
▽4打点
▽OPS .420
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【5月】怪我から復帰し徐々に打撃内容良くなる

5/4に守備から途中出場で復帰すると、5/7より7番ショートでスタメン復帰。

打撃結果は相変わらずで打率1割台に三振割合も悪化してしまいますが、打撃内容は徐々に良化。

少しずつセンターから右、引っ張り方向の打球が出始め、ゴロ・内野フライが減り外野への飛球が増加。ホームランこそ出ませんでしたが2本のスリーベースヒットを放つなど、着実に内容が良くなってきました。

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▽19試合
▽63打席
▽打率.131
▽0HR
▽7打点
▽OPS .372
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【6月以降】引っ張り&フライ打球増え、成績も向上
6月以降はさらに打球に力強さが増し、打撃成績にも反映されるようになります。

引っ張り方向への打球はさらに増え、外野への飛球だけでなくライナーの打球も増えるように。打率も少しずつ上昇し、5月には.140台で停滞していた打率もこのひと月あまりで.181まで上げてきました (これでも全然低いですが)。

打撃成績の向上に伴い打順も3番に固定されるようになり、先日のフレッシュオールスターでも3番を任されています。

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▽23試合
▽96打席
▽打率.253
▽0HR
▽4打点
▽OPS .645
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以上、打撃面ではこの4ヶ月で着実に成長を遂げているのが分かるかと思います。今後は持ち味であるフルスイングを継続しつつ、三振をさらに減らし確実性と両立させるのが課題でしょうか。

また現時点では打率が2割にも満たない状況ではありますが、将来は上位打線を任せたい逸材のため、一軍で期待される打順での出場を続けるのは意味があると思います。

後半戦も「3番ショート」での活躍に期待です。

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2. 守備・走塁: ほぼ一人でショートのポジション守る、エラーも徐々に減少傾向

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次は根尾の守備・走塁について考えていきます。

まずは守備ですが、根尾は怪我で離脱した期間を除き、ほぼ一人で二軍のショートのポジションを守り抜いています。スタメンでの出場時はフルイニング出場を続け、チーム内のショート守備機会のうち84%を一人で守りました。

他球団選手の守備イニング数のデータがないため詳細はわかりませんが、試合数から判断して恐らくウエスタンリーグでもっとも多くショートの守備に就いていると思われます。

ショート守備における確実性の面で行くと、現時点ではウエスタンリーグの守備規定到達者の中ではワーストの成績。特にエラー14個は12球団全ポジションの中で最多の数字となっています。

一方で14個のエラーのうち8個は4月までのもので、5月以降は6個と守備におけるミスは徐々に減少傾向。

こちらも引き続き二軍内野守備走塁コーチ・荒木と共に、じっくり守備の安定性を高めていってほしいと思います。

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走塁面については、データが少ないため盗塁にフォーカスして紹介します。

根尾は今季ここまで6盗塁を決めていますが、失敗は7/4の1回のみの成功率86%とかなり優秀な部類です。

盗塁企図は7月以降に増え始め、6月末までに55試合で3回しか走らなかったのが、7月以降は9試合で4度盗塁を試みています。

今後も体調万全ならどんどん走ってくることが予想されるため、引き続き高い成功率を維持したまま盗塁を増やせるかどうかは注目していきたいと思います。

3. 後半戦3つの見どころ

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最後に、7/15から始まる後半戦に向けた展望について書いていきたいと思います。

個人的には根尾の打撃・守備について以下の3点について注目していきたいと考えています。

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1. 打席消化ペース
根尾は現在64試合に出場し251打席を消化 (残り50試合)。これは歴代の高卒野手と比較しても、かなりハイペースで経験を積んでいることになる。

二軍打席を与えれば与えるほど選手は育つ訳ではないが、一軍へのお試し昇格も合わせて打席機会の配分は選手それぞれの状態を見極めながら適切に行われるべきである。

今後も二軍で経験を積んでいくのか、それとも一軍の舞台を経験させるのか、首脳陣の方針に注目。

*参考: 主な高卒野手のプロ1年目の二軍試合数&打席数
山田哲人 114試合 460打席
筒香嘉智 102試合 451打席
浅村栄斗 99試合 386打席
鈴木誠也 93試合 364打席
西川遥輝 80試合 317打席
今宮健太 81試合 306打席
高橋周平 68試合 288打席
岡本和真 69試合 257打席


2. プロ一年目の最終OPS
根尾の現時点でのOPS (出塁率と長打率を足し合わせた指標)は、.493とウエスタンリーグ規定到達者の中でワーストの成績。

二軍成績がどんなに悪くとも一軍で活躍するかどうかとの関連性は薄い・・と言いたいところだが、直近10年に指名された高卒野手の二軍での1年目OPS (100打席以上)が.500以下の選手で、一軍規定打席に到達したことのある選手は一人もいない。

■過去10年に指名された高卒野手の二軍での1年目OPS (100打席以上)
.400以下: 5人 (規定経験者: 0人)
.401 - .500: 17人 (規定経験者: 0人)
.501 - .600: 36人 (規定経験者: 5人)
.601 - .700: 27人 (規定経験者: 9人)
.701以上: 16人 (規定経験者: 4人)

二軍におけるプロ1年目の成績がその後の将来性を占う上で重要な指標であるかどうかは懐疑的だが、せめて.501以上はクリアしてもらいたい。


3. 他ポジションでの起用はあるか
前述した通り、根尾は現在ショートのポジションでフルイニング出場を続けている。一方で一軍での出場を視野に入れたとき、ショートのポジションはオールスターにも選出された名手・京田が立ちふさがる。

正直京田も「不動の」レギュラーという訳ではないが、現時点の根尾ではお試し起用として機会を与える以外ではつけ入る隙はなさそうで、来年・再来年におけるレギュラー獲得を考えるとセカンドなど他ポジションでの出場を視野に入れるべきである。

ショートの守備も盤石ではない状態でセカンドなど他ポジションでの出場機会を増やすことは現実的ではないかもしれないが、一応5/17に1イニングだけサードのポジションに就いたことがあることから、首脳陣としても上記の懸念は持ち合わせているはず。

今後根尾がショート以外のポジションに就くことがあるかどうかについても、今後注目していきたい。
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以上、根尾の前半戦成績と今後の見どころについて考えてみました。

先日の報道では根尾の一軍練習合流について触れられていましたが、個人的には前半戦の成績を見るにまだまだ二軍での修行が必要だと思います。

他球団に目を向けると開幕スタメンを勝ち取ったロッテ藤原や、フレッシュオールスターMVPで既に一軍でヒットも放っている小園などライバルたちの活躍が目につきますが、我らがスーパールーキー根尾には焦らず来たるべき時に備えてじっくり研鑽を積んでほしいと思います。

まぁその辺は本人が開幕前に掲げた今季の目標が「土台づくり」なのを考えると、まったく心配する必要はないのかもしれませんが。


ということで以上、ロバートさんでした。
ありがとうございました!

データ参考:
NPB
プロ野球データFreak
日刊スポーツ ファーム情報

*2019/7/13 中日新聞プラスへの投稿分を転載

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