ひやおろし(日本酒)との出逢い

日本酒の「ひやおろし」をご存知ですか?

昨年、娘に「金沢に3泊もして何するの?」と言われながら行った金沢。 
(ご参考:私達の旅行術: https://note.com/robin_fujiwara/n/n86562d203840

金沢の3店で食べたおでんの出汁から感じた加賀百万石の余裕。
(ご参考: 金沢おでん: https://note.com/robin_fujiwara/n/n31d7bcece959

昨年10月に金沢旅行までは「ひやおろし」を聞いた事もありませんでした。
その最終日の予定は、昼過ぎに金沢駅に行き、南浦和の居酒屋マスターに勧められた駅構内「黒百合」でおでんを食べ、4時頃の新幹線で帰京でした。
黒百合をみつけた入店したのが14時頃。 壁に「ひやおろし、入荷しました」と貼ってあります。 「ひやおろしって何?」と早速頼んだ私達。
よく冷やして出されたお酒は、芳醇だがキレもよく美味しかった。
ほろ酔いになった上に新幹線の発車まで2時間も余ったため、「壊れたようにお土産を買いまくった」(家内の弁)のは予定外でしたが(笑)

ひやおろしの写真ブログ: https://note.com/robin_fujiwara/n/n946c562e80fd

あれから1年、9月下旬に件の居酒屋マスターに「ひやおろし入れないの?」と聞くと「入れても飲んでくれる人がいないでしょ」と素っ気ない。 
「日本酒のボジョレだと言えば売れるのでは?」と言ったのですが、南浦和の「ゆづ葉」にひやおろしが入る気配はありませんでした(笑)

ひやおろし、を調べると、こういうお酒でした。
・その年の春に絞った日本酒に1度だけ「火入れ」して夏の間熟成させ、
 9~10月に「解禁」される
・火入れ2回で麹菌は死滅し、常温で保管・販売される普通のお酒になる。
 火入れをしなければ生酒、冷蔵保管しないと酸っぱくなる。
 ひやおろしはこの中間。
・「ひやおろしは夏の間放置しただけなので美味しい訳がない。酒屋が勝手
 に騒いでいるだけ」というブログもある。

今年も9月下旬になって1年前の金沢ひやおろしを思い出した私。 近所の酒屋を見たのですが置いている店はありません。 そうこうするうち9月25日隣駅で写真コンテスト(さいたま市展)応募写真を提出した帰り、会場の
向かいに酒屋があったので入ってみると・・・
ひやおろしが10種類以上冷蔵庫にありました! 店主と話しながら「コレ」と選ぶと「それは甘口だよ」と言われ、「それならどれがお勧め?」と会話を重ねて選んだのが福島県二本松市産の「奥の松」。 帰宅後早速(昼から)味見すると、1年前の金沢と同じ喜びが詰められていました。

更に、10月3日から2泊で越後湯沢に旅行した際、到着時に駅構内の酒屋が
店頭でひやおろしを売込んでいました。 冷蔵せず棚積みなので「アレ?」と思いつつ、店内の冷蔵庫を見るとひやおろしが数種類入っていました。 八海山とかもありましたが、私が選んだのは「峰乃白梅」。
かつては「越の三梅」(=越乃寒梅・雪中梅、そして峰乃白梅)と呼ばれた新潟を代表する銘酒の一角だったお酒。 私の好みなのですが、近年余り
見なくなりました。 ホテルの冷蔵庫に入れて720mlを3日間で大事に飲みました。 もちろん同じの喜び。

私なりの結論をお伝えします。
ひやおろしは技術的には「春に出来た酒を秋まで置いただけ」。 蔵元の中には手抜きひやおろしを作る所もあるようですが、私が飲んだ3銘柄からは強い「杜氏の意気込み」を感じました。

私が英国に1年住んだ時、11月のボジョレーヌーボー解禁を経験しました。 解禁日には各新聞が一斉に1面を賑わす「お祭り騒ぎ」ですが、ワイン自体は大して美味しくない。 歴史を調べると「売れないワインをどうすれば
売れるか考えた仕掛け人の発案」がボジョレの起源なのだとか。

私はまだ3種のひやおろしを試しただけですが、ひやおろしには杜氏の気迫がこもったものがあり、日本酒党が秋の訪れを満喫出来るかもしれません。

生きた麹菌が入っていて健康にも良いはずの「ひやおろし」をうまく宣伝
すれば、人気低迷中の日本酒復活のカギになるのでは、と思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?