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クリエイター(的職域)の事業ドメインについて考えてみる

なぜ、言葉にまつわる仕事ばかりが舞い込むんですか?

ども。Rockakuっちゅうコピーライター事務所の代表やってる森田です。今回のテーマはこの書き出し↑1行目で言う「コピーライター事務所」みたいな言葉の話。自分の仕事をカテゴライズする看板というか……ちょっとそれっぽく言えば「事業ドメイン」についてです。

現在、弊社ではコピーライターを募集しているんですが、エントリーメールとか面接とかの過程でこんな話がよく出ます。※採用は2019年の話です

「なぜ、言葉にまつわる仕事ばかりが舞い込むんですか?」

この話題は採用のシーンのみならず、同業の人との酒の席なんかでもちょいちょい出てきてるネタではあったんですけど、あんまりちゃんと考えてきませんでした。

でも、言われてみれば確かに、
「キャンペーンのキャッチコピーを書いてほしい」
「ウェブサイトをコンセプトから練り直したい」
「ブランドメッセージをつくりたい」
「企業理念を再構築したい」
「サービス開発の中で言葉について監修してほしい」
「採用サイト向けのコンテンツ取材をお願いしたい」
「新製品のネーミングとコンセプトをつくりたい」
「社内からの情報発信力を高めたいのでライティングの研修をしてほしい」
などなど、Rockakuという会社には、言葉にまつわる仕事が集まってきます。「なぜ?」と聞かれても、「いつの間にかこうなっていた」としか答えようがなかったんですよね。

いくら考えても自分の中からは答えが見つからないので、「自分の外」に答えを求めてみることにしました。つまり、僕に対して「なぜ、言葉にまつわる仕事ばかりが舞い込むんですか?」と(しかも不思議な生き物を見るかのように)質問してくれた人たちの立ち位置を考えてみることにしたわけです。

で、その結果、割とあっさり答えらしきモノが見えてきました。そうなんです。僕に対して「なぜ、言葉にまつわる仕事ばかりが舞い込むんですか?」と聞いてきた人たちは、組織的にきちんとした制作会社に所属する同業者=コピーライターさんがほとんどなんですよ。それでまあ、合点がいきましたよね。


中華料理屋とチャーハン専門店の違い


ここでいう組織的にきちんとした制作会社とは、企画・設計・コピー・デザインなどをワンストップで請け負うプロフェッショナルチームのこと。多くの場合、クライアントや代理店からの依頼は、「このパンフの制作、まるっとお願いしますね」とか、「企画からデザインまでお願いできますか?」って感じになるわけです。

これによって大きな規模のお仕事を獲得しやすくなるわけですが、その代わり、コピーや言葉周りの仕事が単独で舞い込むケースは極めて少なくなりますよね。よほど有名な実績があったりしない限り、制作会社所属のコピーライターさんに、コピー単独の依頼が舞い込むケースは少ないのではないでしょうか。

これに対して組織的にきちんとしていない制作会社……というか、コピーライター事務所と勝手に名乗っている株式会社Rockakuです。あらかじめ「コピーライターしかいない」と言い切ってしまっているので、そりゃあ、コピーとか言葉周りの仕事しか舞い込みません。だって、デザインもコーディングもできないんですから(それでもディレクションまるごとの依頼は少なくないっすけど)。まあ、当然の帰結です。

はい。蓋を開けてみたらすっげえ単純な答えでした。つまり、これが「事業ドメイン」の差。もっとざっくりわかりやすく言えば「看板」の出し方の差です。

この文脈で言うコピーライターがチャーハン職人だったとして、まっとうな制作会社所属のコピーライターさんたちは、中華料理屋さんに勤めているチャーハン職人。んで、まっとうではないRockakuはチャーハン職人しかいない、チャーハン専門店……みたいな感じです。なかなか乱暴な例えですけど、たぶん、そういうことでしょう。Rockaku飯店にはチャーハンが食べたい人しか来ないわけです。

僕は正直、どっちが正しいかはよくわかってはいません。ただひとつ言えることは、きちんとしていないRockakuの方が、できることは遙かに少ないということ。でも、チャーハン……じゃなくて、言葉については、「専門家」としてしかアサインされないので、ある程度自由度が高くなるケースが多いかも知れません。言いたいことも言えるし(むしろ言うのが仕事だし)、やりたいこともわりとできていると思います。

とはいえ、これは結果論。最近、自社の「事業ドメイン」についてはボチボチ考え直す時期に来ているなあ……なんてことも思いはじめています。逆に「チャーハンかどうかは関係なくて、とにかくご飯をおいしく焼いてください」という依頼が来て、結果的にチャーハンを納品している……みたいな感じも少なくありません。あ、いや、今更なんですけど、もうこの例え、わかりにくいから止めていいですかね。


カテゴリと事業ドメインの違いについて


と、ここまでの約2000文字くらいでnote書き終える人多いですし、その方がきっと読みやすいし、ストレスなく「スキ!」ってなるのかも知れませんけど、僕の場合、それをただのマクラとしてしか書いてません。ええ、実に厄介ですね。

本題はフリーランスで活動しているデザイナーさんやライターさん、カメラマンさんに、イラストレーターさんなどや、小規模な制作事務所……が自らのやりたい仕事と接点を持つための事業ドメインづくりについてです。

そもそも、なんでこんなnoteを書いているかと言えば、下記のツイートが微妙に盛り上がっていたからなんですけどね。

これについて、もうちょっとちゃんと書いておきたいなあと思ったら、もう2300字オーバーですよ。はあはあ。

さて、昔の自分を含め、特にフリーランスか、個人経営の制作事務所の人たちって、「デザイナー」とか「ライター」とか「イラストレーター」とか「カメラマン」とか、こういう肩書きを「事業ドメイン」だと思い込みがちだと思うんですよ。

でも、それって、ただの職種カテゴリでしかない。僕がここで言う「事業ドメイン」というのは、そこからもう一歩踏み込んだ言葉だと思ってください。

因みにきちんとした解説を挿入しておきますが、さっきから僕がろくな説明もなしに連呼している「事業ドメイン」とは、「.jp」とか「.com」とかのドメインではないですよ。Domain=領地や領土、領域、分野などを示す言葉であり、ここえ僕が話そうとしている「事業ドメイン」に関して言えば、いわゆる企業ブランディングの世界で使われる「CI=Corporate Identity」を構成する重要な要素のひとつ「DI=Domain Identity」と同義だと思っていただければよいかなと。

<参考資料>
 CI=Corporate Identityを構成する4つの「Identity」


・DI=Domain Identity=どんな事業を軸とするのか?
・VI=Visual Identity=どのような見た目を持っているのか?
・MI=Mind Identity=どのような精神を持って活動していくのか?
・BI=Behavior Identity=どんな規範や指針を持って行動していくのか?

わかりやすく言えば、VI(ロゴマークとかコーポレートカラーとかね)と同等に重要なモノで、そもそもDIがなければVIもつくれない……程度には大切なファクターってことですよ。

で、これを企業ブランディングから個人レベルに落とし込んで考えるとどうなるか……例えば、「ロゴが得意なグラフィックデザイナー」とか、「インタビューに強いライター」とか、「フードなら何でも描けるイラストレーター」とか。その職業カテゴリの中で、何を軸としているのかを考えること。

それが第一歩だと思います。ただ、そのままだと説明的すぎてしまったり、逆に仕事の幅を狭めてしまったりと言うことだってあるので、そこはバランスです。

僕が今まであまり具体的なキーワードをつけず、「コピーライター事務所」という事業ドメインを使い続けてきたのは、そもそもコピーや言葉周りの仕事は切り分けが難しくて、限定しすぎると商機を失いやすいってのと、「コピーライター単独ではなくて、チームで言葉について考えますよ」というニュアンスを含ませていたことに起因します。あとの事業内容はサイトで公開している実績でカバー。まあ、小狡いやり方ですが、間違ってはいません。

実際に、これが功を奏して、幅広い仕事をいただけていますし、多くの新規案件で「コピーや言葉を専門にしてて、チームで動けそうなところが他になかった」なんて言っていただけるケースがとても多いわけですよ。ただ、そろそろ何か、具体的な専門性を出した方がいいような気もしてたりしますが、それはまた別のお話に。


自分は何屋なのか?と向き合って、言葉にする


ってことで、ちょっとぐだぐだしてきましたが、「やりたい仕事がなかなか思うように舞い込まない」という悩みは、多くの人が普通に抱えているモノだと思います。

でも、それに対して、具体的な手を打つ人ってけっこう少なくて、「今は我慢だ!」って、努力を重ねて、ちょっとずつキャリアアップして前進していく……というケースが王道だったと思います。

もちろん、それはそれで正しいんですけどね。でも、せっかくここまで読んでいただいたのなら、これを機に向き合っていただきたいのは「自分は何屋なのか?」という問題です。

心意気とか、自意識の話ではなくて、それを何人に理解してもらえているか?までを含めて「自分は何屋なのか?」について考え抜く必要があります。

なんでかというと、いろいろな個人、企業を見てきた中で、「上手くいかない……」という状況の多くは、「自分は何屋なのか?」が定まっていないか、定まっていても、伝わっていない……というケースがすごく多いと感じてきたからです。

自分ができる仕事、やりたい仕事、やりたくない仕事、お金を生み出しやすい仕事、お金に関係なく続けたい仕事……これらをしっかり文字として書き出して、整理しながら、伝えたい相手に伝わるかたちで言葉にする。これではじめて、あなたに「職種カテゴリ」以上の意味と指向性を持った「事業ドメイン」が生まれる……ことになるはずです。たぶん。

さてさて、我が社はこの先、「何屋」を標榜しましょうかね。




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