ウェブディレクターさん、ウェブデザイナーさんに知ってほしい、コピーライターの「使いどころ」

独立したとき、
僕は(ほぼ)ウェブディレクターだった


毎度おなじみの方も、初めましての方も、こんにちは。株式会社Rockakuというコピーライターだけの会社をやっている、森田と申します。

僕がやっているRockakuという会社は、元々、2007年に僕がフリーランスになって立ち上げた個人事務所でした。当初は「広告代理店にいたわけでもないヤツがフリーランスになったってコピーの仕事なんてなかなかないよ。ウェブディレクターやりなよ」というアドバイスを諸先輩からいただくこともありました。

当時はFlash全盛期。また、中小企業のウェブサイトの新規制作や、2000年代初頭のホームページブームから一周してのリニューアルなどが多い時期でもあり、僕の周りにいるウェブデザイナーさんたちは、大手広告代理店のFlash案件をこなしつつ、同時に、中小企業のサイトを独力でつくり、めちゃめちゃ稼いでいる人が多かったように思います。

同時に、ウェブ制作が複雑化しはじめた時期でもあるんですよね。ただ、見た目にかっこいいサイトがあればお客さんが来るという時代ではなくなりはじめていて、情報の編集、構築が重要になりはじめていました。そこに目をつけたのが、先ほどのアドバイスをくれた先輩(フリーのウェブデザイナーさん)だったわけで、その先輩が振ってくれた最初の仕事も、とある教育系のソフトウエア会社のウェブサイト制作の案件でした。

「もう、森田くん、全部やってよ」という指示のもと、その先輩が得意とするデザインとコーディングの前の工程を担当させてもらいました。

コピーライターになる以前は雑誌の編集者もやっていて、かつ、コピーライター時代はチラシ・販促物の設計などもよくやっていたので、「台割り(ページネーション)」や「レイアウト構成」の考え方を基礎に、サイトマップ、ワイヤーフレームもつくり、CMSページのカテゴリ設定&コンテンツルールも組み上げ、さらに全ページのコピーも書いて、レイアウトの意図をデザイナーに伝えてデザインしてもらう……というかたちでプロジェクトをすすめていき、初のウェブ案件はことのほかスムーズに進みました。

この案件をきっかけに、僕はコピーライターとウェブディレクターをハイブリッドにこなすパッケージを確立し、なんとなく、「こういうスタイルも悪くないかも」と思うようになりました。(その数年後にはウェブライティングの講師として宣伝会議から講師デビューして、さらにASCIIから書籍も出すことになるんですけどね)

しかしその後、予想に反して、飲料メーカーからネーミングのお仕事が来たり、ブランディングの会社からクレドのライティングの依頼が来たり、カーケミカルメーカーと販促物監修の長期契約を結んだり、CMの企画をやったり、動画コンテンツのナレーションを書いたり、採用サイトのインタビューコンテンツの企画・編集・取材・執筆をまるごとうけたり……仕事の幅は徐々に広がり、今ではブランドやサービスのコンセプトワークなどを手がける機会も増えてきました。

あれから12年。Rockakuの「コピーライターとしての仕事」のやり方や幅は大きく変わりました。でも、一方で、「ウェブ制作とコピーライターの関わり方」が、あまり新しくできていないのでは……と、感じるようになりました。

この12年間の中で、ウェブの世界は大きく変貌を遂げたと思います。Flashの件もそうですけど、あの頃のように全工程をウェブデザイナーがひとりで担うような仕事はかなりレアになったように思います。

ウェブディレクターの役割の多様化も著しく、その意義を自ら再定義していくような勉強会や団体の活動も盛んです(僕自身も何度か登壇させていただいています)。また、オウンドメディアの増加や、マルチデバイス対応も大きいのではないでしょうか。

こうした変化の中で、僕たちコピーライター、とりわけ、大手代理店の広告文脈に属していないコピーライターは、何を求められているのか。

正直、まだまだ、「このデザインに合わせてコピー書いてもらえませんか?」という依頼が多いように感じます。

これって、すごくもったいないと思うんですよ。「僕らの仕事が少ないからもっとくれ!」という意味ではなくて(それもありますけど)、ウェブ制作の現場に、もっと早い段階から、もっと深く、僕らを関わらせてもらえたら、きっと、サイトのクオリティはググッと上がると思うんです。


ウェブ制作における
コピーライターのポテンシャル
<その1:コンセプトメイク編>


例えばですが、「ビジュアル提案からスタートしたんだけど、コンセプトが定まらないせいで提案が通らない」みたいなニュアンスでのご相談がけっこうあります。多くの場合、コンセプトメイクの仕事の柱は「言語化」です。

なぜなら、クライアントの担当者はもちろん、稟議を行う上長や経営者、現場でそのサイトを使って営業などを行う人たち、さらには、制作スタッフに至るまでが理解・共有し、向かうべき方向性を定めるものが「コンセプト」であり、多くの場合、それは言葉だからです。

この「コンセプト」は、多くの場合、ゼロから創作できるようなものではありません。その企業、ブランド、サービスの中に内在し、蓄積されてきた価値や信念を探り、わかりやすく、そのクライアントらしい個性が光る表現に落とし込まねばならないわけで、コピーライターやライター職が基礎的に身につけている「取材=言語化のためのリサーチ」というスキルがかなり重要になってきます。

「コンセプト」が言語化されることで提供すべき価値の基準が明確になる。その後に続くデザインや写真、あるいはシステムの仕様までも、一気通貫の価値基準の下に制作され、クライアントも、その基準に沿ってGOを出せるようになるわけです。

これって、半ばブランディングの話でもあるわけですが、そういう観点も含めて、ウェブ制作の企画段階からコピーライターがアサインされていれば、「ビジュアル提案からスタートしたんだけど、コンセプトが定まらないせいで提案が通らない」みたいなことは起こりにくくなると思います。いや、起こりにくくなりますよ。マジで。


ウェブ制作における
コピーライターのポテンシャル
<その2:編集・構成編>


ここからの話は、僕が編集者出身だという部分も少なからず影響はありますが、コピーライター(特に代理店ではなく制作会社系)の多くは、パンフレットやカタログの制作も得意としています。ページごとのタイトル、リード、キャプションなども書いていますが、もっと大きな視点で言えば、その本全体の情報の流れを考え、ページネーションに落とし込むスキルも、基本的にはコピーライターの職能です。

この職能をウェブ制作に当てはめるならば、サイトストラクチャやサイトマップに相当します。もちろん、細かなテクニカル面での仕様までは網羅できないケースもあると思いますが、コンテンツの位置関係はもちろん、サイトへの流入経路(例えば雑誌広告経由の流入に対してどんなファーストビューとキャッチコピーがあるべきか……など)を加味して「情報(≒言葉)の塊としてのウェブサイト」を設計していくというのは、間違いなく僕らコピーライターが得意とする領域です。そんなこんなで、サイト全体の編集・構成においても、コピーライターは大いに使える人材となるはずです。


ウェブ制作における
コピーライターのポテンシャル
<その3:コンテンツ編>


続いては、コンテンツです。Rockakuの場合、採用サイトの依頼が特に多いのですが、ここでも、コピーライターとして、いろいろなかたちで関わってきました。

まず、前段でも書いていますが、採用サイトのコンセプトも込み込みでつくっているケースが多いので、コンテンツにも統一感を持たせることができるのは大きな強みだと思います。

これはどういうことかというと、例えば、「唯一無二のチームワーク」というコンセプト(コピーとしてはもうちょっと練りたいですが)を掲げている採用サイトがあったとして、そこに代表挨拶、社員インタビューのコンテンツが必要とされているとしましょう。

当然ながらインタビュー取材が必要になりますが、事前に質問をまとめていかなければなりません。この質問の内容をくみ上げるのもコピーライターの得意技だと思います。(少なくともRockakuの売りではあります)

まず、登場する人たちの役割、人選の意図を人事担当者と共有して、コンテンツとしてのミッション=読み終わったときなにが伝わっていれば正解か?を定義し、それにそったかたちで質問事項を策定。取材をすすめます。その中で、必ず、採用コンセプトである「唯一無二のチームワーク」と紐付いたエピソードや想いを引き出すようにファシリテーとしていく。こうすることで、より血の通ったコンテンツが生まれていく……というわけです。

これはもちろん、採用コンテンツの限ったものではありません。コンセプトから一気通貫で言葉を発信していくこと。それが、コピーライターを案件にぶち込むのメリットの1つだと思ってもらえたら嬉しいです。


ウェブ制作における
コピーライターのポテンシャル
<その4:言葉の管理編>


ここまでいろいろ書いてきましたが、ここまで書いてみた結果、ぜんぜん収まらないことがわかったので、最後に一番重要なことを書いてみたいと思います。

長年にわたって、マス、ウェブ、印刷物の仕事をしてきて感じているのが、媒体ごとに関わる人間が異なるケースが多いという問題です。

そうなると、当然、言葉も散らかってきます。コーポレートサイト、パンフレット、採用サイトなどで、使っているキャッチコピーやタグラインがバラバラになってしまうことも少なくないですよね。

もちろん、戦略的な意図があればいいのですが、それでも、ユーザー側にしてみると、いちいち覚えていられなくなる。混乱する。全体の印象が薄くなってしまう……ということもしばしばでしょう。でも、できることならそんな事態は避けたいじゃないですか。

こうした問題にメスを入れ、明確なルールをつくり、「言葉の運用の道しるべ」をつくることこそが、僕らコピーライターの役割だと思います。

え?「なんだかウェブ制作とは別の話になってないか?」って?

いえいえ、そんなことはありません。ここまで書いてきたことは、広告や雑誌の世界では標準化されてきたことですし、もちろん、ウェブでもそこに力を入れている人たちもいらっしゃるでしょう。

でも、明確な制作手法も、蓄積されてきた慣習も、あまりない確立されていない中で、常に新しいことに挑戦し続けてきたのが、ウェブ制作の担い手であるウェブディレクターさんやウェブデザイナーさんたちだと思っています。

だからこそ、言葉の専門家としてもっとお手伝いしたい。もっとお手伝いできることがあるのでは……!という想いがずっとあって、この記事を書いてみることにしました。

近々、この記事の内容をベースに、事例を交えたトークイベントも計画中です。もし、ご興味のある方は、お気軽にお声がけください。

株式会社Rockaku
代表取締役社長 森田哲生
info@rockaku.jp

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ありがたやー
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Rockaku森田

コピーライター事務所でおなじみかもしれない株式会社Rockakuの社長やってます。

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コメント1件

私もコピーライターとしてWEBの案件をやるとき、これらのポテンシャルをなるだけ発揮できるようにしてます!兼ウェブディレクターもやりつつですが!
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