2010年代の洋楽ベストアルバム100を聞く ~9.David Bowie『★(Blackstar)』~

70年代、80年代のデビッド・ボウイは好きだった。カルトヒーローだった70年代、ポップ路線の80年代。両方ともかっこよかった。世間的な評価はさんざんだった映画『ビギナーズ』の主題歌『Absolute Beginners』も大好きだった。90年代以降の彼の音楽はあまり聴いていない。

このアルバムは結果的に彼の遺作となった。70年台とも、80年代とも違うサウンド。より実験的なサウンドだ。正直いって、一聴して好きになるタイプの音楽ではない。ジャズっぽさもあり組曲のような構成の表題曲『Blackstar』をはじめ一癖も二癖もある曲のオンパレードである。節回しや、低音の効いた声からボウイらしさは感じられるものの、80年台の彼とは最早別人。70年台の彼ともまた異なった趣である。

彼はもともと、音楽的探究心が強い人なのだろう。スーパースターとしての名声を得た後も、一つのスタイルには収まらず、どんどん音楽性を変えていった。その行き着く先にあるのが、このアルバムという気がする。もっと聞きこまないとこの良さはわからないのだろうな。

比較する意味で、初期のヒット作『ジギースターダスト』と最大のヒット作『レッツダンス』を聞いてみた。『レッツダンス』はもちろんだが、グラムロック時代の代表作『ジギースターダスト』にしても、やはり先鋭的な部分とポップな部分がいい具合にバランスしており、非常に聴きやすい。やはり、私はこっちのボウイ派だな。

カルトヒーロー度 ★★★
実験的精神    ★★★★
総合評価     ★★


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