2010年代の洋楽ベストアルバム100を聞く ~3.Kanye West『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』~

2009年のMTBアワードか何かの授賞式で、カニエウェストがテイラースウィフトのマイクを奪って「ビヨンセこそこの賞に相応しい。テイラーなんか引っ込んでろ。」(実際はそこまでは言ってない。)みたいなことを言ってから、カニエウェストが嫌いだった。

で、その翌年にでたこのアルバムは聴いてない。ちょうどはやりの洋楽についていくのを諦めかけたころだったのと、もともとヒップホップ系の音楽が主戦場でなかったからである。

で、このアルバム。先入観なしに聴いてみた。「カニエってこんなにポップだったんだ。」というのが第1印象。「ラップってライムがわからないと面白さ半減。英語が苦手な日本人には、敷居高いよね。」と思ってヒップホップ系の音楽を避けてきた感があるのだけど、このアルバムに関しては、美しいバックトラックが、ラップを引き立てていて、意味わからなくても聴ける感じ。ラップパートとメロディーパートの配分も丁度いい感じで飽きさせない。なるほど、当時のレビュアーがこぞって絶賛しているのも頷ける。

かつて、不良少年のための音楽だったロックが、万人向けのポピュラーミュージックに進化したのと同様、黒人貧困層のための音楽だったヒップホップが、今や人種も年代も超えてメインストリートど真ん中のカルチャーになった。その最たるものの象徴がカニエウェストなのかもしれない。

なんどか聞いてるうちに、全曲、捨て曲なしの素晴らしいアルバムだと思えてきた。私のなかで最もよく聞いたヒップホップアルバムになるような気がする。現在のお気に入りは、本当にファンタジー感の強い『Dark Fantasy』、ホーンセクションが勇ましい『All Of The Light』、『Runaway』、『Lost In The World』なども、美しいメロディーとラップパートのせめぎあいが絶妙でいい感じである。

ポップ度       ★★★★
ストリートギャング度 ★
総合評価       ★★★★



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