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“在り方”をみつめるヒント

在り方、という言葉が市民権を得て久しい。 ただこの言葉、とても曖昧かつ意味の広い言葉で使われており。イマイチ捉えきれていない方も多いのでは、と僕は考えていて。 この度行われる #ぷりバス対談 に先立ち、在り方というものの僕の定義をお伝えしておくべきではないか、そう思いこのnoteを書くことにした。 断っておくが、僕の考えが全て正しいとはもちろん考えていない。 あくまでその思考の一助になれば、という前提であることをご理解頂きたい。 というのも、在り方とは千差万別。唯一無二の

    • 3-8.貫徹

      新人さん? 端麗な容姿とは裏腹の低い声に面食らった僕は慌てつつ、小一時間前に与えてもらった名前を名乗る。 途端に彼女の表情が綻ぶ、と同時に笑い出した。与えてもらったものに文句などないが、確かに可笑しな名前ではある。 とは言うものの笑ってもらえた事による安堵によってか、無駄に入っていた肩の力が抜けたような気がして落ち着けた。 そっか、あなたはオーナーに連れてこられたのね 関西地方でもその特殊な方言に似つかわしくない標準語で語られた内容は、衝撃の強さで以て再度僕の頭の中を

      • 3-7.利用

        オーナーに連れていかれたのは繁華街の仲町にある場所、いわゆる“夜のお店”だった。 似合わない蝶ネクタイをした、コワモテのお兄さんに軽口を聞くオーナー。もしかしたら、とんでもないところに来てしまったのかも。 バーで働いてはいたものの、こういう世界は大人の話、僕には到底縁のない世界なんだと勝手に高を括っていた。 ひょっとすると、勝手に作ったサービスが多額の損害を与えたとかで、僕はこのお店に売られてしまうのか、だとしたらこうしよう、よし逃げる道はあそこだな、なんて良からぬ想像と頭

        • 3-6.才気

          卒業式から編入学、転居まではあっという間だった。 新しい根城として選んだのは古都京都、これまで居た九州の田舎町とは言葉はもちろん、文化も全く異なる。 とは言えやることは何も変わらない、さっさと働き口を探してこれまで通りの生活をまとめることが前提なのだろう。 大きな街だ、選ばなければ仕事など山のようにあったのだが、何より驚いたのは時給の高さ。 1.5倍、下手をすれば2倍、さぞかし難しい仕事なのだろうと若干の恐怖を抱き。 選んだのは家から自転車でほど近い、カラオケ店。 転居翌

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        • 全ての大人たちへ
          30本

        記事

          3-5.一転

          その年は、春が来るのが遅かったような気がする。 5年という月日のせいなのか、卒業というのはこんなに物憂げに迫ってくるんだな、なんて思っていた3月のある日。 僕は来る卒業、そして京都への引越に向け、一人暮らしのアパートの中を整理していた。 僕には“思い出の品”というものが極端に少ない。 友人たちとの交流で家に遊びに行ったりするとまま見かける、昔の写真とか卒業アルバムとか。 そういった類のものが何一つ存在しない。 だからと言って寂しさなんかはほとんど感じていなかった、という

          3-4.残夢

          僕はパチンコというもので、結果的に大勝している。 始めた検証は、上手くいった。 検証の角度を数パターン持っておくことで、どんな現場でもある程度対処できたし、数回あった反省点はいずれも自分の感情に起因するものだった。 ノブオさんから頂いた退職金と、様々なアルバイトで持っていた貯金は、使い方を知らないガキが使い切るには割と簡単な額で。 少なくなってきたからと言って焦ることもなく、感情には触れない範囲でまた、通帳の残高だけがどんどん増えていった。 反面感じる、虚しさ。 同じお

          3-3.空虚

          意外と、というかやはり、というか。 禊と称して行った懺悔の行脚では、結局僕の欲しかった答えは見つかる事はなく。相応に生まれる、新しい疑問。 それと共に、毎年繰り返される加齢からなのか、これまで無かったはずの感覚が自分の中に湧き起こっていた。 疑問とは、みんな自分自身を知らないのではないか、ということ。 感覚とは、お金が欲しい、ということ。 アオキと会ってからというもの、好きな時に好きなだけ、自分の思った通りにお金でもって欲を満たすという行為をする人達を見て、羨む心がある僕

          ぷりxキャリ座談 vol.1「プロ論”」 前編

          季節外れの寒さがひと段落し、ようやく春の訪れを感じることができるようになってきたかな、と思えるそんな夜。 対面を予定していた都内某店へ向かう歩道を歩いていると、道路脇にあった桜に軽く新緑が混じる、そんな美しい情景を見てこの企画の背景を思い返していた。 「ぷりんすxキャリ捨て人」という、Twitter界では一つの次元を形成する二人に対談の企画を持ちかけたのは、実はつい2週間ほど前のこと。 既にそれなりの関係値を築いている二人はこの座談企画を快く受け入れてくれ、僭越ながら僕ロッ

          ぷりxキャリ座談 vol.1「プロ論”」 前編

          ぷりxキャリ座談 vol.1「プロ論”」 後編

          対談の内容は、2テーマ目に移る。 全く似ていないと表現した二人の掛け合いで、テーマは枠を飛び越えどんどん昇華されていく。 その様を見ながら、僕は今回の対談に用意したテーマの浅はかさを若干なりとも感じながら耳を傾けていた。 敢えて端折っている部分も多々あるのが心苦しいが、引き続きご覧頂きたい。 ---------------------------------------------------------------------------------- 対談テーマ②:

          ぷりxキャリ座談 vol.1「プロ論”」 後編

          3-2.同情

          アオキの寮は大きな国道沿いに立っていて、タクシーを捕まえるのは造作も無かったんだが。 結果的にそこから15分ほど走ったところにある繁華街で降り、彼と大将の会話から行きつけなのであろう居酒屋でビールが運ばれてくるまで、会話は何一つなかった。 余程、機嫌を損ねてしまったのかな 相変わらずビールは苦手だ。 乾杯はビールなんて誰が言い出したのか、ただでさえ苦いビールが、早い時間から賑わう店内とは真逆の雰囲気からか余計に苦く感じる。 僕は、野球を愛したと言い切れると思う。 だから

          3-1.義理

          大学から判定通知が届いたのは、面接から1ヶ月を数えようとしていた頃。 筆記試験に感じた手応えとは裏腹、全くと言っていいほど答えを出せなかったあの面接があったからか、多少の驚きと共に目に飛び込んできたのは、赤色で書かれた合格の文字。 それまでの僕は、試験というのは点数を競うものだとばかり思っていて。 高校入試のそれとは別のその合格のふた文字が、人間として、いや大人として認められたような気にさえなって。 だからこそ僕の中の期待は、あくまで淡く。それだけに嬉しかった。 通知を持

          2-11.自覚

          大学への編入試験に面接という舞台があることを知った僕は、生まれて初めて自分自身に課題を出した。それは 自分を偽らない 簡単なことのようで難しいものだ。自分を偽ることを半ば強要されてきたような人生だったからか。 課題が功を奏したのか、何となく見えなくなっていた自分というものを改めて見つめることが出来たものの、人と接することは苦手じゃないと考えていた僕にとって、面接は格好の修行の場でもあった。 空気を読む、ということは出来ていなかったかもしれない。 何か疑問があれば包み隠さ

          2-10.答辞

          前にも言った通り、僕の通っていた学校は5年制。 大学へは一回生でなく、三回生への編入という形での入学となる。 受験の時期も大学によりけりで、何校も受験可能であることなど、何かとメリットも多いことが分かった。 相変わらず進学の目的そのものははっきりしていなかったものの、立派な大人になるという人生の目的を思い出した僕にとって、大学の存在はその近道であるような気がしていたんだ。 授業中に眠りこける、などということは不思議となかったからか、受験勉強に際し聞いたことのあるフレーズを思

          2-9.思念

          毎日毎日飲んだくれやがって、なんでお前はそんなに金持ってんだ 他の客がいなかったから?カウンター越しだから?いや違う。 暴力というものではない、叱咤による方向性の示唆など何しろ初めてで、僕は反応すら出来ずにいた。 カツさんから放たれる言葉は難しくなく、何もかも入ってくる。 これまでの自分の堕落、大して触れてもいない社会への不満、そして立派な大人になりたかったという後悔。 三方の間で、心は揺れていた。 お前はここに何しに来てんだ 不意に聞かれた質問に素直に頭は反応した。そう

          2-8.熟考

          通っていた高校は5年制という特殊なシステムであり、例えば大学へ進学したい場合、3年次に編入できる制度がある。 僕はその制度を利用して大学というものに挑戦してみることにした。 挑戦、とあえて表現したのは些かの違和感があったから。 その時はまだ、誰かに背中を押されて初めて進路を決めた、という思いが拭えていなかったからだ。 工学系の高校であるが故に編入先も工学部が主体、他学部への編入は今の学校で取得した単位は認められない、つまり修学に時間がかかる。 何よりも、これまで野球と店以外

          2-7.口実

          我慢の先には、破綻しかない 涙と懺悔を持って僕にそう示してくれたノブオさんに、不満など口に出来るはずも無かった。事実そんなものは感じておらず、むしろふつふつと燃え上がる感情の矛先は、自分自身に向けてだった。 そう思わせてしまった理由は何なんだ、僕の我慢なのか。 だとすると、我慢って何だ。 目の前に蹲るノブオさんの背中が、やたら大きく見えた。 幼少期から、自己主張の記憶はほとんどない。 周りにはやし立てられ、その期待に乗っかることが二番煎じの自己主張だと思い込んでいたんだ。