見出し画像

Wishbone Ash

Wishbone Ash - First Light (1969)

画像1

 ギターの音色って良いな、とつくづく色々聴いてて思う。好みだけでしかないけど、どれがどんなギターの音だと聴いてて分かるほどじゃないにせよ、多分この辺のギターの音だと想像しながら聴いてるし、そこに微妙に好みのトーンも重なってくるし、更にそれぞれの音色も違うから繊細な楽器だと思う。そういうのをきちんと大切に出しているバンドもそうそう多くはないが。

 Wishbone Ashの1969年のデビュー前のデビューに向けての音源がオークションで発掘され、そのままリリースされたプレデビュー作品「First Light」。当然ながらファーストアルバム「WISHBONE ASH」に収録される楽曲がメインで、2曲だけ未発表のままというシロモノだが、これがまた素晴らしくてついつい何度も繰り返して比較して聴いてしまうくらいに面白い。やはり全てが美しい。大英帝国の繊細な美的感覚そのままで、どこを取ってもきちんと丁寧に作られて演奏されているし、ツインギターの美しさと言われるけど、もう二人共その繊細さがにじみ出ているから、その二人の絡みが美しいです。デビュー前のプレ音源ですらこの繊細さと完璧さと美的感かと疑うほどの作品で完成形そのもの。多少音の粒の粗さはあるけど、それでも1969年でこの音は見事なまでの宇宙感。

 そして待望の未発表曲2曲の美しさと来たら、なぜこれを出さないでいられたんだ?な感じの完成度の高さ。ギターソロのひとつひとつまで出来上がっているのに。特に2曲目「Roads of Day to Day」の素晴らしさと来たら後の「Argus」に通じるセンスそのままが発揮されている曲で、ファーストの「Phoenix」と似た曲調だったからオミットされたのかな。それにしても勿体無い。アルバムにはそれだけ自信があったからか。未発表ではないけど「Alone」の歌入りも素晴らしく、わざわざインストにしてリリースしなくても良いとすら思えた。ただ、セカンドの「Pilgrimage」に入ると少々浮くかもとは思う。曲単体ではこちらの方が全然良い。

 この繊細な音の作りは一体何だ?初期Queenも繊細な音作りを持ってたけど、現代に至るまでこういうバンドはあまり出て来ていない。ツインギターの美しさを誇るバンドはあるけど、こういうセンスと味わいを楽しめるバンドは少ない。Wishbone Ashも中後期はもう別バンドだし。

ここから先は

19,261字 / 14画像
この記事のみ ¥ 100

好きなロックをひたすら聴いて書いているだけながらも、聴くための出費も多くなりがちなコレクターの性は皆様もご承知の通り、少しでも応援していただければ大感謝です♪