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Free: Paul Kossoff & Andy Fraser

1971年に空中分解してしまった後のポール・コソフとアンディ・フレイザーが関わったアルバム群。

Kossoff,Kirke,Tetsu,Rabbit (1972)

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 フリーの残党として当たり前に語られがちではあるが、実は意外性に富んでいるのが1972年にリリースされた「Kossoff, Kirke, Tetsu, Rabbit」。何が意外かと言えば、Freeの核は今じゃ誰もが知っているように、プレイヤー面はともかく作曲面ではPaul RodgersとAndy Fraserの二人が率いていた。だから空中分解したFreeでもFreeの音が作れるのはこの二人だろう、と思われていたが実はそうでもなかったと言う話。

 「コゾフ~カーク~テツ~ラビット」は、1971年の秋から冬にかけて録音されて、メンバーは今では知られている名前の通りだが、Free時代の核ではなかった二人が一緒にやってるだけで、アメリカ人のラビットと日本人のテツを入れた国際バンド。ところが出てきた音はFreeそっくりのサウンドで、ベースのテツはAndy Fraserを意識したのか、後ノリのラインベースを弾いて見事にFreeらしさが出ている。歌の方は鍵盤のラビットとドラムのサイモン・カークで、最後の曲は何とコソフ自ら歌う代物。キャリアを通じてコソフの歌が聴けるのはこれくらいじゃないか?ソロアルバムはギターばかりだし。

 時代を考えれば割と話題にはなっただろうし、Freeの音を継承しているのも認められやすい部分だったと思う。ただ、コソフのギタープレイがやや残念。凄くコソフらしいギタープレイで泣いているけど、あの熱気ではない。上手くセッションに参加して個性を出して弾いている感じでマイルド過ぎるのか、悪くないし熱演というレビューも見かけるが、どうしても全盛期とは違う。そりゃそうかと思う反面、半年前までは全盛期だったから余計にもの悲しい。それでも一生懸命弾いているのは分かるので聴くと感動はできる。できるけど、と言うのがこのアルバムの評価。あとは、ラビットのカントリー趣味が出過ぎたところはあるかもが、それで作品が面白いバランスになっているなら良いか。

 後のFreeではこのアルバムから2曲ほど取り上げて演奏して、見事なPaul Rodgersバージョンが聴けるのは完成形として嬉しい。もっとも再結成してまたAndy Fraserが脱退した後は、結局この面々がFreeになるからそれもそうか。今聞き直すと時代に合わせたのか、まだ20歳過ぎたくらいなのにこんなにレイドバックしてていいのかと思う作品。

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