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The Who - With Orchestra Live At Wembley 2019


 2023年4月時点で御大77歳とロジャー79歳…、このライブ音源の時は4年前だが、それにしてもその歳でこのライブが出来てしまっているのが凄い。同じ事はストーンズにも言えるのだが、The Whoも二人が生き残って活動しているし、ストーンズも今となってはオリジナルメンバーはミックとキースの二人のみだが、ビル・ワイマン自体は存命。ちなみにビートルズはポールとリンゴが存命ながら当然二人の活動はなく友人としてのゲスト参加のみ、キンクスは既に活動停止状態だがレイとデイブとミック・エイヴォリーが存命だから皆案外長生き出来ているが、その中でも現役で活動しているThe Whoとストーンズは格別だろう。ピートは早くから見た目が歳を増強していたので、今でもそのままと言えばそのままだが、ロジャーは相変わらずのルックスにまだムキムキの筋肉を自慢しながらのライブパフォーマンスだから恐れ入る。

 そんな懸念を些か挟み込みながら2019年にオーケストラと一緒にウェンブレーで演奏したライブアルバム「With Orchestra Live At Wembley」を堪能しているが、どこが死ぬ手前のジジイのライブなのか、とんでもなくぶっ飛ぶレベルのThe Whoのバンド名に恥じないクォリティを維持した凄い迫力の音が耳に飛び込んでくる。ドラムのザック・スターキーが若いから、と言ってもそれなりの年齢のハズなので、それが若さとパワーを出しているとは言い切れないし、サポートメンバーも若い連中が入っていないから、やはり御大二人の熱量にメンバーが付いていく事でThe Whoのパワーが充満しているとしか思えない。この頃のライブはベストセレクト曲集からはやや逸脱しており、もう少しマニアックになってきているが、それでも十分にメジャーな曲ばかりなのでさすがにThe Whoと舌を巻く。ライブの冒頭からもう大分前になってしまったテレビドラマとのタイアップでヒットを放った「Who Are You?」からスタートして、何と「Eminence Front」とThe Who的には地味な曲ながらピートのお気に入り曲へと進み、更に驚くべきはもっと地味な「Imagine A Man」が奏でられる。アルバム「By Numbers」の中にあっても地味ながら美しい曲と知られてはいたが、ライブではほとんど演奏された事がなかったので恐らく初登場のライブバージョンだろう。そして随分前になってしまったがそれでも最新作「WHO」からの「Hero Ground Zero」と続き、どれもこれもオーケストラが入っているが、全然それを意識する事がないままに進むThe Whoのライブの姿はやはり凄い。

 後半も「Ball and Chain」とこれもまた最新作「WHO」からの曲でお気に入りの模様で、ここからはあの「四重人格」のコンパクト版が演奏されるので、オーケストラが生きてくるが、やはり名盤名曲の嵐だとつくづく痛感する「四重人格」の凄さにはただただ圧倒されるばかり。間違いなく本ライブの終盤のクライマックスを見事に作り上げている往年のThe Whoと変わらないレベルの素晴らしさをとことん味わえる代物に改めて感動する、意外性に満ちたライブアルバム。やはりロックだ。


好きなロックをひたすら聴いて書いているだけながらも、聴くための出費も多くなりがちなコレクターの性は皆様もご承知の通り、少しでも応援していただければ大感謝です♪