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80s-90s U.K. Progressive Rock

Anathema - Eternity (1996)

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 バンド名だけは聞いた事あったけど通らなかったAnathemaの作品。ポーランドのプログレハード系統で聴ける陰鬱さとは異なるが大英帝国のロックは根本的にその湿り気が大量に含まれている。その辺も興味あったけど異なるジャンルに進んでいた。ちょっと前にゴシック・メタルに傾いて、お嬢様限定で聴いてて今でも自分の中で残っているから新しい扉が開けたが、ゴシック・メタルはデスボイス系はダメ。男のナルシスト系はイマイチと思ってて、Paradise Lostは凄いと思ったけど、あまり男声のゴシック・メタルは聴かなかった。今回のAnathemaは正にその世界だが、Paradise Lostと双璧を成すバンドと言われている。

 1996年にリリースされた3枚目のアルバム「Eternity」。近年の作品だと作風が変わっているから、バンドの本質を聴くには初期が一番勢いあって面白い。ゴシック・メタルではないけど自虐的耽美。歌がデスまで行かずに迫力のある低い歌声レベルで楽曲は英国独特の重さと荘厳さがあり、明らかに他国を威圧するサウンドと曲もその世界を出している出来映え。全体のレベルが高いから曲が抜き出て来ないが、重厚感は凄くてSE的な、後に来るデジタルな遊びも入って時代を考えればかなり面白い試みに気づく。病んだ90年代に人気を博した。演劇仕立て過ぎて邪魔に感じたけど曲はさすがのアルバム。

Anathema - Alternative 4 (1998)

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 90年代のロックの中で幾つも実験的な音を作り上げ、また革新的なスタイルを打ち出していたバンドは多数あったし、目立つ存在でもあったが、それでもメインストリームのロックの地位はかなり厳しかった。

 陰鬱哀愁耽美系の大御所になっているAnathemaの4枚目のアルバム「Alternative 4」。前作「Eternity」から大幅にその路線を変更しているが、元々はゴシック・デス系のメタルバンドの類に入れられていた音だけど、自身達のスタンスを変えてもテクニカル面ではプログレ畑が本領だった。世に出る手段でメタルの世界観を使ったのかもしれないが、それぞれの作品が骨のある作品は当然ながら、ひとつづつ刺激を与えてくれる。

 「Alternative 4」は1998年作品で音質の古さはあれど、楽曲の組み立てや進み方は古くなく、練り込まれている。よくぞここまで深化したと唸らせられる世界観で、1998年の時点でこのレベル感。

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